ケンドウヤになってはいけない

ケンドウヤになってはいけない

剣道家を目指しなさい。ケンドウヤはダメです。
けんどうや？
ケンどうや？
剣道屋？
いまより若いころ剣道の先生に言われた言葉を思い出した。先生は関西訛りがあるので、東京育ちの私は時々戸惑う。
「剣道のことしか分からない人間になってはいけない」という意味らしい。と、何となくその時は理解したのだけれど、長いこと忘れていた先生の言葉を突然思い出した。
きっかけは・・・

新しい小手の購入を思い立った。最近は便利で、通販で購入できるし、サイズが合わなかったら交換可というショップもある。
ウェブサイトのショップの解説にあるように自分で小手のサイズを計って注文したら、これまた便利なことに翌々日には小手が送られてきた。
梱包をほどいて小手を取り出して、？？？
見た目は悪くないんだけど・・・なんとなく違和感があるぞ・・・
間もなく気が付いた。手の内（手のひら部分の皮）にビニールが付いていない。
新品未使用の小手は汚れを防止するために、ビニールが縫い付けられている。同時にそのビニールは未使用の証でもある。と私は思っていた。
過去にかなりの数の小手を購入したが、そのどれも必ず手の内にはビニールが縫い付けられていた。
見た目は汚れてはいないけれど、これでは新品未使用という証がないではないか。ひょっとしたら注文流れの商品が送られてきた？サイズ違いでショップに返送された小手が、私のところに送られてきた？
素手で扱う物だから、なんだか気持ち悪いなあ。コロナ禍の渦中だし。
そこで、交換をしてほしい旨ショップにメールを送ったら、連休明けの午前中にショップから電話が来た。私は早い対応に感心した。
ショップの説明は
「間違いなく新品だ。ものによってビニールが付いていないものもある。製造工場からビニール無しで送られてくるものもある。当店はそれをそのままお客様にお送りしているから問題ないです」
あらら？製造工場のせいだって言いたいんかなあ？
ビニールが付いているかいないかは、未開封か開封済みかってことじゃないでしょうか？私にしたらいくら新品だと言われても、開封された商品としか思えませんよ。
「当店は業者の間でも日本一検品が厳しい店と言われています。ですからご安心ください」って言われても安心できない私です。
要するに交換には応じないということですか？
「他に商品に問題がありますか？なければ交換の対象とはなりません」
「私が責任をもって検品しましたから、問題はありません」
急に強気になったけど，言ってることの矛盾に気が付いていないようですね。
製造工場から送られてきたものを「そのままお客様にお送りした」って、言ってたじゃない。どんな厳しい検品してるんだろう？
こりゃダメだ。
話は平行線で私は全く納得できないけど、稽古用のつもりの安い小手だから時間の無駄をしたくないので、話は終わりにしましょう。と私から切り出した。
ショップの方はまだ何か言いたそうにしていたけど、電話を切らせていただいた。
よっぽど社長が怖いんだろうなあ、店員さんは。

「剣道屋はダメです」という言葉が谺した。