無言歌は続く

　今宵一枚目の音楽は　メトロポリタン歌劇場新開館公演ライヴ
　Disc14-15　ヴェルディ:歌劇『オテロ』全曲

　ジェイムズ・マクラッケン
　モンセラート・カバリエ
　ティト・ゴッビ、他
　ズービン・メータ(指揮)

　録音時期:1967年3月11日　　嵐の夜　キプロスの総督オテロはトルコ艦隊に勝ち帰還　勝利の歓喜のなか　ヤーゴは自分を差し置いて副官になったカッシオを妬み　その恨みを任命者オテロに向ける　一計を案じたヤーゴに酒を無理強いされたカッシオ　酔ってモンターノを傷つけ　オテロから罷免され
　ヤーゴは消沈するカッシオに　オテロの妻デズデモナにとりなしを求めるよう進め　これもヤーゴの企みだ　ヤーゴはカッシオがデズデモナと話している様子をオテロに告げ　さも二人が逢引きしているようにみせ　妻を愛するがゆえに疑念を抱くオテロ　デズデモナはカッシオへの赦しをオテロに　ますます疑念を深るオテロ　ヤーゴはデズデモナのハンカチをカッシオが持っているのを見たと作り話　もはやオテロの疑念は激怒へ
　何も知らないデズデモナは　再度オテロにカッシオの赦しを請う　オテロは自分が贈ったハンカチを見せろと云ふが　デズデモナはそれができず　実はそのハンカチはデズデモナが落とした際に女中のエミリアが拾ったが　夫ヤーゴが奪い取っていた
　ヤーゴはオテロに物陰から　カッシオと自分が例のハンカチを手に話す　そのハンカチを見て妻の不貞を確信したオテロは　妻を殺すことを決意する　オテロはヴェネツィアに帰任る　総督にはカッシオが任命される　怒りと嫉妬に燃えるオテロは　人々の前でデズデモナを罵倒　夫の言動に不吉な予感を覚えるデズデモナは　女中に死んだら婚礼の衣装を着せてと告げ　オテロが来て　カッシオとの不倫を責め　デズデモナを殺害　その直後に　エミリアがハンカチは夫が奪ったものと言い　カッシオに殺されたロデリーゴが死ぬ前にヤーゴの陰謀の全てを白状
　すべてを知ったオテロは自害し　妻の遺体に最後の接吻を求めながら息絶える

　こうして書くと物語を再構築できてまた楽しめる　頭の中で物語が構成できていると見ることも聞くこともさらに楽しくなる 　余談だが　シェイクスピアはイヤーゴ　つくづくイヤーゴ　お前は悪いやつだ

　朝は9時過ぎに柿ばたけへ　今日も一人剪定作業　ちょっと寒いね　11時近くに帰宅　昼にインスタントラーメン出前一丁を作って食べる　一人前を半分　それに金谷ホテルの食パン　一斤あるので　両サイドを切り落として八枚切りくらいにする　両サイドははちみつをつけていただく　ちょっと焼いてもおいしい　残りは再び冷凍　でも一枚ずつラップに包むのを忘れる　あとでしておくとしよう　

　午後は風が強い　といふことで選定はやめた　川越の種屋にはちみつと秋収穫のじゃがいもに柚子を持っていく　それに千両　赤と黄色　夫婦とも元気で一時間半くらいおしゃべり　帰りに直売所で牛蒡とハムカツを購入　牛蒡は細いもの八本くらい入り　ハムカツは一枚　今夜のおかずだ　母が私が川越に行っている間にけんちん汁を作った　けんちん汁は具が多いのでおかずは一点のみで十分　ハムカツを紙にくるんでオーブントースターで加熱　一番低音で加熱5分を三回くらい　くるんだ紙が油でびっしょりだ　唐揚げもメンチも3時近くでは売り切れてなかった　荒川を越える橋の上　遠くにスカイツリーの姿が見える　新宿のビル群も見える

　今日はベートーヴェンの生まれた日だ　250歳　生まれたのは1770年　イギリスが産業革命期に入った頃だ　フルトヴェングラーのベートーヴェンの交響曲全集が二つあるな　ちょっとそっちを聞いてみようか　ちなみにレコードである

　頭の中でリンゴの皮を剥く

　私たちは日々の現実を思い浮かべることができる　よくいく場所　食べ物　習慣化されているのは思い浮かべることができるが思い過ごしの可能性もある　例えばリンゴの皮むき　頭の中で考える　まずリンゴ　それからナイフ　そして刃を当てる　簡単かな　でもどんなリンゴだった　大きさは　重さは　形は　他のリンゴとどこが違う　色の着き方だって皆違う小さな斑点や瑕　ナイフはどんなナイフ　柄の形は　木だった？　プラスチック　刃は欠けていたかも　どんな風にむく　皮が途切れないように　ナイフを動かすかリンゴを動かすか　それとも4つに切ってから一切れずつ皮を剥くか　この作業はリンゴの皮を剥くと云ふ行為を正確に頭の中で映像化できるか　と云ふもの　リンゴの形や色が　ナイフが台所用に変わったり　途中でうまく切れなかったり　集中力を高める作用がある　ここでわかるのは　私たちの頭の中が如何程　現実を把握したり正確に再現することが　意外に不得意であったと云ふこと　頭の中が暴走することさえある