『劇場版　ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

横浜駅にシネコンができて、映画館が少し身近になりました。
そんなわけで一週間前、まったく予備知識が無いまま、「そんなに評判なら」という動機で、『劇場版　ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観てきました。
昨年の痛ましい事件のため、多くのスタッフを失った京都アニメーションの再起作でもあります。
「画面の美しさが評判の異世界もの」という程度の認識しか無く、主人公の少女が「架空の歴史の中、20世紀初頭にあたりそうな世界で、手紙の代筆を請け負う代書人」という基本設定も、上映開始前の検索で知ったという泥縄鑑賞でした。
しかし、やられました！TVシリーズも原作小説も観たことがないにかかわらず、2時間目が離せませんでした。今さらですが、傑作です！
まだ上映中ですのでネタばれは避けますが、ざっくり書くと「純粋培養の戦士として育てられ、人間性の何たるかを充分に理解できていなかった主人公が、様々な人の手紙を代筆する中で人間性を回復していく」というシリーズの縦糸に決着がつき、彼女は自分の中で処理し切れていなかった「愛している」という言葉の本当の意味にたどり着きます。
泣かせどころを仕掛けつつも安易なお涙ちょうだいに終わらないストーリー、周囲の人々とのやり取りから浮かび上がる彼女の人間性、そして背景の一枚一枚が絵画であるような緻密で美しい映像と、見どころ満載でした。
気持ち的には「沼にはまった」というところで、今原作小説を読み始めています。これからTVシリーズにも取りかかるつもりです。もう10年若かったら、同人誌の一冊も作っていたでしょう(^_^;
『鬼滅の刃』のウルトラ級ヒットの前にはやや霞んでいますが、本作もなかなかのヒットとのことです。本作で、主人公ヴァイオレットの物語はきれいに完結していますが、作品世界はサイドストーリーを描く余地が充分にあるように思えますので、今後の展開に期待したいと思います。
　
最後に、この作品が遺作になってしまったスタッフの皆様に、改めて哀悼の意を表します。