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2020年10月13日08:39

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キリシタン紀行 森本季子ー255 聖母の騎士社刊

天草・歴史の幻影ー113

一、河内浦キリシタン(2)

●アルメイダの活躍
 ルイス・デ・アルメイダは虚弱であった。彼の伝記には「病気になる」「病床に臥す」という言葉が所々に出てくる。それにもかかわらず、彼は実によく宣教の旅をした。九州の南北、東西はまことに小まめに彼の足跡をしるしている。その旅行日程を見ると、地名をあげるにいとまがないほど、目まぐるしい。アルメイダに限らず、当時の宣教者の多くはそのようにして、福音の種をまいて歩いたのかもしれない。
 それに、アルメイダは自分の開拓した畑・宣教地が少しでも有望だと、それを他の同僚に委ねて、自分はさっさと未墾の地を求めて旅立つ、という風だった。
 河内浦にやって来た折も、いずれ神が、いずれ神が他の畑に遣わされる時までの働き人、と自分を見なしたのではなかろうか。
 私は想像してみるのだが、
 痩身中背で、五十前の年齢よりはずっと老けていたアルメイダ。髪もひげも半ば白い。旅から旅の年月に日焼けして、日本人とあまり変わりない浅黒い顔色。その顔の中に、人の心を引き付ける柔和な目が輝いている。しかし、一たび口を開けば、相手が領主であろうと、堂々と存念を述べて一歩も引かない。自分の命など初めから顧みない人の強さである。

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