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2020年09月28日08:14

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GMTIPSその1(ふぃあ通2019年10月の「鈴吹太郎のGM講座」まとめ)

FEARが毎月配信しているWEBラジオ「ふぃあ通」(http://www.fear.co.jp/radio/fearradio.htm)に「鈴吹太郎のGM講座」というコーナーがある。
鈴吹社長が講師となり、きくたけ先生やゲストの方を交えてGM講座をするコーナーだ。

今回はTRPGのテクニック、個々の論。
序盤のジャブ、普通のテクニック。
名付けて「GMTIPS」です。

ゲストはTRPGフェスで皇帝になった三枝チャージ先生。

お便りへのリアクションが長く2通もあったのでほとんどそれで全部でした(笑)。
まずはお便りの紹介から。

●お便り1「クライマックス戦闘にPLが慣れてきて作業的になってしまう。盛り上がるクライマックス戦闘のやり方を教えてください」
社長「俺今日つまらない回答しかできないから先に回答していい?」
社長「ご存知の皆さん多いと思うんですが、俺が作ったゲームってクライマックス盛り上がらないゲーム多いんです。『殺します』って言ったら『はい死にました』みたいな」
社長「最後に使うリソースを溜めて、それを放出するのが盛り上がりになるじゃないですか」
社長「そこまで積んできた話次第なので、そういう意味では作業的になっちゃうんですよ。『相手を倒します』って言ったら終わる」
社長「あるTRPG大好きな作家さんの名言があって『俺は戦いたいんじゃない。勝ちたいんだよ』と(笑)」
社長「俺もそうで、クライマックスはいつも戦闘は盛り上がらないゲームばっかりなんです」
社長「好きなように演出して好きなように勝てればいいっていうのしかないんです。だから戦闘を盛り上げるTIPSは知らないんです。すいません」
きくたけ先生「でもそこは逆に、そこまでストーリーを積み上げた上での戦闘っていうのがあるので、そこが盛り上がりますよね」
社長「そこはそうですね。どうかっこよく倒すか、というのを言うってのはこだわってますね」
きくたけ先生「そこは社長と俺のゲームデザイン感が全然違いますよね」
きくたけ先生「俺は、ダイス振るまで未来は決まらない、っていう夢をもたせたいと思ってます」
きくたけ先生「でもその結果どうなるかというと、ぎりぎりの戦闘を作るとみんなどうやったら勝てるかってがちがちになってしまう(笑)」
社長「よくあるよくある(笑)」
社長「そういうときは、GMが5人目のPLになるといいって昔から言ってきた」
社長「こういうデータ作ってきたんだけど、どうやって勝つ? っていう相談をしちゃう」

社長「まあ、そんなわけで俺はあんまり役に立つTIPSはありませんよ、という話」
きくたけ先生「逆に言うと、システム的、もしくはシナリオレベルで、クライマックスに至るまでに盛り上げるストーリーを積み上げられてるっていうテクニックとも言えるんですよね」
きくたけ先生「それをもっと単純化すると、ただエネミーを出して戦っておしまいっていうので今やってるなら、社長がやってるみたいにストーリー的に組み立てればいいてのも言える」
きくたけ先生「よくあるけど、ラスボスがPCの父親だったり息子だったりするだけでも盛り上がる(笑)」

社長「俺の友達がやった話なんだけど」
社長「そのときアリアンロッドで、物理防御も魔法防御も厚い敵がいて、その回では倒せず次のシナリオでどう倒すかを探るっていう予定だった」
社長「ただ、PCの中に貫通ダメージを出すサモナーがいて、PLたちが色々頑張ると『10ラウンド耐えきれれば、倒せそうなんだけど、どうする?』となった(笑)」
社長「それでGMは素直に頭を下げて『今日のところは攻撃全部効かないってことにしてください』ってお願いをしたのよ」
社長「PLたちはよしわかったってことで『うわー、攻撃も物理も貫通も効かない!? どうやったら倒せるんだー?!』って大いに盛り上がった、という(笑)」
きくたけ先生「それは盛り上がる(笑)。下手すると盛り下がるけど(笑)」
社長「そういうデータ的な仕組みでも盛り上がることはあるよね、っていう話」

きくたけ先生「簡単な方法だけど、いつもより強い敵を出すってだけでも退屈はしなくなるので」
きくたけ先生「危機感を与えるっていうのも方法のひとつ」
きくたけ先生「あと『3ラウンド以内に倒さないと何かペナルティがある』っていうのも」
社長「あぁ、それはよくあるね」
きくたけ先生「さっき社長がやったみたいに攻撃が効かない敵がいて、パズルギミックを何分以内に応えると攻撃が効くようになる、でもいいし」
きくたけ先生「もっともっとシンプルなやつだと、大体パーティは戦士が先行すると思うんだけど、そのとき間に壁をばーんと出して分断して敵を出すとか」
きくたけ先生「ギミック1個で、面白さってのは全然変わってくる。俺はそういうの大好き(笑)」
きくたけ先生「また別の方向だと、ボスキャラクターにキャラ付けをするってのもある」

きくたけ先生「俺色々言っちゃったけど、三枝先生、俺の言ってないネタを喋ってください(笑)」
えまさん「結構たくさん言いましたよ(笑)」
三枝先生「えぇ、僕が言いたいことほとんど言われちゃいましたよ(笑)」
きくたけ先生「えー、皇帝でしょー(笑)」
三枝先生「失敗談なら。僕、ヒーローものが好きなので、車の上で戦うみたいなシチュエーションをやってみたかったんです」
三枝先生「それで、セットアップに行動値判定して失敗したら落ちてこのラウンド戦えない、みたいなのを考えたんです。次のラウンド成功したらまた登場するっていう」
三枝先生「そんなとき、行動値低いキャラクターがずっと失敗してほとんど登場できなかった、ていう失敗が」
きくたけ先生「あるある(笑)」
三枝先生「だから、そういうギミックを考えるときはなるべくペナルティじゃなくてボーナスを上げるっていう方がいいと学びました」
三枝先生「例えば今の話なら、成功したら行動値が上がってより自由に動ける、みたいな」
社長「あぁ、それはいいね」
三枝先生「ペナルティの方が緊張感が出るので楽なんですけどね。ただもしファンブルとかが偶然続いてしまうと可哀想なことになってしまうので」
きくたけ先生「昔セブンフォートレスっていうキャンペーンの最後の方で、とても強いっていう設定のボスが出たんですが、、、データのかみ合いが非常に悪く」
きくたけ先生「何もできないで倒されてしまうという事態に」
きくたけ先生「どうしようかなってなり、普通にゲーム的には失敗じゃないですか」
きくたけ先生「でも、その後そのボスがPC達にライバル心を燃やすというストーリーに持っていったら大いに盛り上がる、という(笑)」
社長「当時矢野君が絶賛してましたね」
社長「バランスとか失敗したときにギャグにしてしまうっていう荒業がありますよね。俺もやったことあります。毎回はできませんが」
きくたけ先生「PLの温度を見ながら、ですけどね(苦笑)」


●お便り2「よくNPCが見捨てられてしまう。シナリオだから仕方なくと進めることもできるが、どうしたら魅力的なNPCになりますか? イラストを描く、割って入らなければ確実に死ぬ以外でアイデアがあったらお願いします」
一同「あーあるある(笑)」
社長「これも最初に謝らないといけないんですが(一同笑)」
社長「プロになる前のプライベートセッションの頃の話なんですが、わたし、いつもNPCは絶賛されてたんです」
社長「中島さん(社長の本名)のお姫様はとにかくかわいい、と言われてたんです。それで見捨てられたこと一度もなかったんです」
きくたけ先生「自慢だ自慢(笑)」
社長「そんなわけであんまりテクニックとかはないんですが」
社長「俺の人生で一番上手くいったと思ってるのは、アリアンロッド・サガ・ブレイクの1巻の酒場のシーン」
社長「国境にあるお城、要塞を破壊してくれっていうシーンなんですが、実は城が意識のあるエクスマキナだっていう話」
社長「本当は、特殊部隊の不可能ミッションものというハードボイルドな話だったんですが、それが逆転した瞬間があって」
社長「酒場のウェイトレスが城の分身で、割と世界観的に虐げられてる設定で、それをPCたちがかばっちゃうんです」
社長「『こんな扱いするんじゃねえよ』っていう風に怒っちゃうんです。そうすると話が変わって、城を国境からこっちに持ってきてしまえば、こっちのものになるじゃんって」
社長「自分たちの国なら君をそんな風には扱わないっていう、突然ヒロインを助ける話に変わっちゃうんです」
社長「元々城を破壊する話だったのが」
社長「あの話は、城を浮かせて移動させる話ってよく言われるんだけど、実はそこよりもこの酒場のシーンの方が面白いと思ってる」
社長「あれが、PCがNPCに感情移入した瞬間」
社長「簡単なポイントは2つ。『良い子である』こと。PCに対して素直で優しくて思いやりがあってけなげ。別に女の子である必要はない」
社長「そして2つ目。『その良い子が虐げられている』こと。この2つ」
社長「俺たちが敵をやっつけたら、この子は酷い目に合わないのだ、っていうモチベーション」
社長「あれが、俺のTRPG人生で一番うまくいった話のひとつ」

きくたけ先生「PL、PCがNPCに感情移入して話が変わることってたまにあって」
きくたけ先生「昔『星を継ぐもの』っていうリプレイがあって、本当はPC1の幼馴染が敵だったっていう設定だったのが、PCたちがとても感情移入しちゃって」
きくたけ先生「最初は『バカめ、ずっと騙されおって』みたいな予定だったのが『わたしもずっと苦しんでた』みたいになった(笑)」

きくたけ先生「こういうのをもっと能動的にやるなら、キャラ設定つけるときにライフパスとかふるじゃない」
きくたけ先生「そのときに『その設定いいね、面白いね。仲間とか家族とかいないの?』ってさりげなくふる」
きくたけ先生「そしたら『じゃあ、妹がいることにしよう』みたいな感じになったら、それをシナリオと絡めていく(笑)」

三枝「全く同じ話をしようと思ったので、また僕の失敗談を(笑)」
三枝「NPCを人質にして『こいつの命が惜しかったら戦うのをやめろ』みたいなやると、そのためにリソースを払わないといけないんじゃないかってPLさんが警戒する」
三枝「そうすると、なんとなく作業感というか、システムチックな視点になってしまうので」
三枝「これはまずい、と思ったので『このNPCは書割なので、皆さんが助けようと思って宣言すれば、ボスが手を下す前に止めることができます』と言いました」
三枝「そうすれば、まあ、データ上は見捨てられることはないんじゃないかな、と(笑)」
きくたけ先生「あるある(笑)」
社長「俺も結構やる。『この子は戦闘には参加しないので死にません。気にしないで大丈夫です』って言っちゃうの」
社長「この戦闘に君たちが全滅したらこの子も殺されますが、戦闘能力のないヒロインよりも君たちの方が優先的なターゲットなので」

お便りでかなり時間を使ったので、ここから皇帝三枝チャージ先生のTIPSを。

●三枝先生「PC紹介してるときに、大体は拾ってほしいという気持ちのはず」
三枝先生「全部は無理だけど、拾えるものは拾いたいのでセッションシートにひたすらメモする」
三枝先生「今回のヒロイン、君の過去のこのNPCと同じってことにしてもいいかな?って相談する」
三枝先生「そうすると、GMと一緒に物語を作った感が強くなるので、いいんじゃないかなーと」
社長「当事者性を強く印象付けるってことですね」
三枝「特にオープニングフェイズでの発言ってのはそのキャラクター性がよく出るはずなので、なるべく後でも拾ってあげる」
三枝「先日、中華料理店のアルバイトをやってるPCがいたので、エンディングではその中国料理店の人っぽい似非中国語のキャラを出したりした」
社長「PCの設定をメモしてなるべく使えるものは使う。素晴らしいですね」
きくたけ先生「わかりやすいですね」

次回も今回の続き「GMテクニックその2」だそうです。



はい、まとめはこんな感じですかね。
結構削ったんですが、ちょっと雑談っぽく色々混ざってるんでエッセンスだけ整理(笑)。

○クライマックスを盛り上げる方法
・クライマックスが盛り上がるようにストーリーを積み上げる。
・勝てるかわからないガチ戦闘ではGMは5人目のPLになる。『どうやったら勝てるか一緒に考えよう』
・ラスボスをPCの知り合い(父親、息子、妹)にする。
・危機感を煽るギミックを使う。『3ラウンド以内に倒さないとペナルティ』『純粋にいつもより強い敵を出す』『前衛と後衛を分断する』。
・ギミックの時は『失敗したらペナルティ』よりも『成功したらボーナス』がお勧め。
・ボスが何もできなくなりそうだったらギャグにしてしまう。

○見捨てられない、感情移入できるNPCを作る方法
・『良い子であること』『その良い子が虐げられていること』。PCが活躍してその子が解放されるようにする。
・シンプルに肉親(親、娘、妹)とかにする。セッション開始前のライフパスを振るときとかに積極的に設定を絡める。
・ゲーム的に守るのは難しいこともあるので『このNPCは戦闘に参加しません。宣言だけで助けられます』と明言する。
・(実は別の話題だけど)自己紹介のときにPC設定を片っ端からメモしておく。使えそうな設定をそこから見つけて相談する。


昔書いたマスタリング五ヶ条で「戦闘するシーンとロールプレイするシーンは分ける」ってのもあったけど、
やっぱりゲーム的な処理と心情的なロールプレイを同時にやるのって結構PLにはストレスなのよね。
どうしても悩んじゃうし、GMとしてシナリオとしても悩んで欲しいし。
そういうときに「ゲーム的に勝てるかどうか」っていう要素を外してあげるっていうのはとてもわかりやすい方法で、フィロスもよく使います。
そうやってロール的に盛り上げたら、あとはGMも一緒になって全力で「このめっちゃ強いボスどうやったら倒せる?」と一緒に考える(笑)。

後半の見捨てられないNPCは、、、フィロスは結構ぶっちゃけちゃうこと多いなぁ(苦笑)。
いつも一緒に遊んでくれる仲間は、そういうわびさびとか王道展開が好きなPLさんが多いので。
ぶっちゃけると「ああ、そういうことなら、見捨てないように軌道修正しよか」ってなる。
まあ、最低限嫌われないNPCの造形は必要だけどね。

さて、次回も引き続きGMTIPSとのことなので、楽しみですね!



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