カップルや家族連れに人気の観光スポットの一つに【水族館】というのがあります。
動物園や遊園地の場合、これからの季節は熱中症が心配になりますが、
水族館は屋内でクーラーも効いていて熱中症のリスクも少なく、理想の観光スポットですよね。
ただ泳いでいる魚たちを見ると、
狭い水槽に閉じ込められて窮屈なんじゃないかと感じる人も多く、
実際に魚に聞いてみた人がいるんですね。
「君たち水族館の魚は、狭い水槽に入れられて、
人間にジロジロ見られて、さぞかし嫌な思いをしてるんだろ?」
「何言ってんの。
ボクたちはこの【水槽】という、生まれながらに外敵が全くいない安全な住処をゲットして、
待ってるだけで何故か勝手にエサも貰える上、
君たち人間という、見てるだけで面白いヘンテコな生き物が向こうからやってくるので、
娯楽にも事欠かないんだよ。
だからボクたちは【可哀想な存在】ではなくて、間違いなく【最強の勝ち組】なんだよ」
なるほど、そういうものなのかもしれませんね。
緊急事態宣言による長期間の外出の自粛で気分が落ち込み、
【コロナ鬱】などと呼ばれる状態になった方もいるかと思いますが、
そういう鬱状態になるのは、何も人間ばかりではないようですね。
オーストラリア・クイーンズランド州に【ケアンズ水族館】という施設があり、
地元でも大変に人気の水族館なんですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、
三月半ばからずっと、営業を停止していたんですね。
当然施設内には、お客さんは一人もいないという状態が続いたわけですが、
そんな中、館内の魚たちが次々と【鬱症状】を示し始めたそうですね。
水槽の隅にうずくまったり、
拗ねてエサを食べなくなったりする魚が続出したそうでして、
要するに彼らは、人が来なくなった寂しさのあまり、
ふさぎ込んでしまったという事みたいですね。
人間も拗ねると、部屋の隅で膝を抱えてうずくまったり、
『お腹空いてないもん』なんて食事をボイコットしたりなんて事しますから、
魚も人間も、拗ねた時の思考回路は同じみたいですね。
スタッフでもある海洋生物学者の方は
「ガラス越しに見てくれる人がいなくなったことが原因です。
多くの人は、水槽の中の魚たちが、ガラスの外や通って行く人を見ているとは思っていません。
しかし実際は、人をよく観察して、その反応を楽しんでいるのです」
と仰ってるんですね。
こちらにしてみれば『魚を見てた』つもりですが、
実際は『魚に見られてた』という事になるわけでして、
結構知能も高いんじゃないですかね。
ケアンズ水族館は、魚たちの鬱症状を緩和するための解決策として、
一緒に泳いでくれるダイバーを雇いましてね。
ダイバーが魚と一緒に泳ぎ、人との接触が増えた事で、
魚たちの良い刺激となり、鬱症状の改善が見られたそうですね。
中には子犬のようにダイバーに抱っこされたがったり、
足にすり寄って遊んでもらいたがる魚もいるという事ですから、
そんな話を聞いてしまうと、これから焼き魚は食べ辛くなりますよね。
微笑亭さん太
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