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2020年06月07日01:36

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古楽の楽しみ、他XLVII(随時追記)

古楽の楽しみ 2020/4/27(月)放送分
▽18世紀のフランス語のカンタータ(1)
ご案内:関根敏子/今週は、18世紀におけるフランス語のカンタータをご紹介します。1日目はジャン・バティスト・ステュックの作品をお送りします。

フランスでは18cに入ってから
イタリア由来の器楽曲はソナタ・歌曲はカンタータが流行(楽器を奏でる・歌う)
オルレアン公フィリップ二世を中心に発展
パレ・ロワイヤルにはイタリア出身の音楽家が活躍
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「カンタータ「セファールとあけぼのの女神」から 第1曲」
ジャン・バティスト・ステュック:作曲
(ソプラノ)タリン・フィービック、(合奏)アンサンブル・バティスタン
 曙の女神は眠っている美しい青年を見つける

ステュック:はドイツの血を引くイタリア人チェリスト
トスカナ生まれ、ナポリでチェロのヴィルトゥーソとして活躍後パリに移る
フィリップ二世の宮廷音楽家となり1706年にカンタータ集第一巻を出版し献呈した
レスタティーヴォとアリアで構成
フランスのカンタータは物語の続きではなく教訓的な歌詞で締めくくられる
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「カンタータ「セファールとあけぼのの女神」から 第3曲〜最後まで」
ジャン・バティスト・ステュック:作曲
(ソプラノ)タリン・フィービック、(合奏)アンサンブル・バティスタン

やがて朝が来て立ち去らなければならなくなった
"好きになったら迷ってはならない"が軽快なジーグに乗って
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「カンタータ「エラクリートとデモクリート」から 前半」
ジャン・バティスト・ステュック:作曲
(テノール)ジャン・フランソワ・ノヴェッリ、(バス)アルノ―・マルゾラーティ、(合奏)アンサンブル・リュネジアン

古代ギリシャの哲学者の名を借りているが愛についての議論
悲観的−ヴァイオリンがイタリア的な美しい繋留音
享楽的−理性より快楽が大切

デュヴァルの方を発掘して下さった方が。(2/24)
https://twitter.com/ka_mi_bu_ku_ro/status/1231697382963736576

Jean-Baptiste Stuck 英語版
https://en.wikipedia.org/wiki/Jean-Baptiste_Stuck
(6 May 1680 – 8 December 1755)
幼い頃はよく分かってはいない。
1733年にフランスの市民権を得パリにて没。
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「カンタータ「エラクリートとデモクリート」から 後半」
ジャン・バティスト・ステュック:作曲
(テノール)ジャン・フランソワ・ノヴェッリ、(バス)アルノ―・マルゾラーティ、(合奏)アンサンブル・リュネジアン

前半と構成は同じ、更に具体的な女性との愛がテーマ
エラクリート:美しい女性は気まぐれだ
デモクリート:ため息をついても女性を喜ばせるだけ
二重唱:恋をすると突風や嵐に翻弄される
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「カンタータ「嫉妬深いマルス」から」
ジャン・バティスト・ステュック:作曲
(バス)アルノー・マルゾラーティ、(合奏)アンサンブル・リュネジアン
 抜粋
ステュックの人気は絶大で当時の人々からバティスタと愛称で呼ばれた
宮廷画家の娘と結婚しフランスへ帰化する

レスタティフとアリアが交互に歌われる形式
軍神マルスが妻ヴィーナスへの嫉妬に駆られて探し回る
甘い言葉やため息には騙されないと言いつつ結局許してしまう
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古楽の楽しみ 2020/4/28(火)放送分
▽18世紀のフランス語のカンタータ(2)
ご案内:関根敏子/ルイ・二コラ・クレランボーのカンタータをお送りします。

1710年、ルイ十四世はクレランボーの作品を聴きカンタータを作曲するよう命じる
フランスの繊細な旋律とイタリアのヴァイオリン音楽の響きを結び合わせた
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「カンタータ「オルフェ」から 前半」
クレランボー:作曲
(テノール)シリル・オヴィティ、(合奏)リリアード
第一巻に収録され、当時から絶大な人気
悲しみの淵から勇気を奮い起こし黄泉の国へ行く決心をする場面

ヴァイオリン・オルガン・クラヴサンの様々な作品を発表

クレランボー一族は15cからフランス国王に仕えていた
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「カンタータ「オルフェ」から 後半」
クレランボー:作曲
(テノール)シリル・オヴィティ、(合奏)リリアード
フラウト・トラヴェルソに特別な声部が与えられ通奏低音はヴァイオリン

黄泉の国へ到着したオルフェはエウリディーチェを喪った悲しみを歌い、妻を返してくれるようこの世界の支配者プルトに頼み込む
オルフェの歌に感動したプルトは妻を連れてゆく事を許すが地上に出る前に顔を見てはならないと諭す
物語はここで終わり、愛の勝利を歌う
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オルフェウスは様々な作品に取り上げられている。
不安に駆られ振り向いたことで永遠に失ってしまう弱さを描く悲劇も良い。
地獄のオルフェの筋書きはある意味酷いけど大好き(コラッ

それにしてもこのテノールの見事な声、力強く伸びやかで明確なトリル。
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「カンタータ「レアンドルとエロー」から 前半」
クレランボー:作曲
(メゾ・ソプラノ)エヴァ・ザイシク、(合奏)ル・コンソート

カンタータ第二巻に収録、マクシミリアン二世エマヌエルに献呈
スペイン継承戦争の折一時期フランスに亡命していた、音楽愛好家で知られる

レスタティフとエールの交代
歌詞の内容に合わせ楽器の伴奏が効果的に
レアンドルはエローに会えないことを悲しむ、ふたりの間は荒れ狂う海が隔てている
彼女の許へ行こうと海へ飛び込む
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「カンタータ「レアンドルとエロー」から 後半」
クレランボー:作曲
(メゾ・ソプラノ)エヴァ・ザイシク、(合奏)ル・コンソート

海の神への祈りで始まる。祈りが通じたのか波は穏やかになるがあと少しというところで
突然に激しい北風が吹き始め嵐になる

新しい低音楽器を用いドラマティックに嵐を描く
コントルバス:バス・ド・ヴィオロンかコントラバスかは不明

辿り着けなかったレアンドルの後を追いエローは海に身投げ
二人を憐れんだ海の神のおかげで二人は永遠に結ばれる
最後のエールは教訓、愛の神は恋人達に対し時には冷酷である
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いっそ酸素ボンベを背負い潜水すれば…海中も濁っていたらどうすんだ(身も蓋もない

柔らかく澄んだ高音域、安定した低音域
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「カンタータ「アポロン」から 第4、第6、第7曲」
クレランボー:作曲
(テノール)レイナウト・ファン・メヘレン、(合奏)ア・ノクテ・テンポーリス
1716年出版 第三巻に収録
平和へのカンタータと副題に添えられている

太陽は前年に亡くなったルイ十四世の象徴
戦争と飢えに苦しむ羊飼いは眠っている、そこにアポロンが現れ
フランスの方強い支配者が勝利をもたらすと告げる
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古楽の楽しみ 2020/4/29(水)放送分
▽18世紀のフランス語のカンタータ(3)
ご案内:関根敏子/宮廷やサロンで演奏されたカンタータをご紹介します。

オペラと違って宮廷やサロンで一人か二人の歌手によって歌われた
ルイ14世など貴族に献呈されている

エリザベト・ジャケ・ド・ラ・ゲール
5歳の頃からクラヴサン奏者や作曲家として活躍、結婚後は宮廷から離れる
1708年出版のカンタータ集が国王に捧げられている
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「カンタータ「ジェフテ」から」
エリザベト・ジャケ・ド・ラ・ゲール:作曲
(ソプラノ)ローラ・ハイムズ、(ソプラノ)ジュリアンヌ・ベアード、(合奏)ブランディワイン・バロック、(クラヴサンと指揮)カレン・フリント

旧約聖書
戦で勝利を得たら最初に出会ったものを神にささげます
…最初に自分を迎え入れたのは自分の娘であった
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「カンタータ「女性」から」
カンプラ:作曲
(バリトン)ピーター・ハーヴィー、(合奏)ロンドン・バロック
カンプラはフィリップ二世の宮廷に仕える
1708年出版第一巻に収録

静かな祈りの場にいた男が女性たちに翻弄された過去を思い出す
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「カンタータ「アリアーヌ」から」
フィリップ・クルボワ:作曲
(ソプラノ)ハスナア・ベナニ、(合奏)アンサンブル・ストラヴァガンツァ

生涯について詳しいことは不明だが1710年にカンタータ集を出版
ルイ14世の王子メーム公の妃に捧げられている

アリアドネの物語
歌詞;ラモーのオペラの台本作家
アリアーヌが眠っているところから始まる、テセウスがアリアーヌを置いて船出したことを知り
嘆くとともに怒って復讐を誓うところにバッカスが通りがかり…
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「カンタータ「バッカスに慰められたアリアーヌ」から」
フランソワ・クープラン:作曲
(バリトン)ステファヌ・ドゥグー、(合奏)レ・タラン・リリク、(クラヴサンと指揮)クリストフ・ルセ
 クープランはオルガンやクラヴサン奏者として活躍
 美しい宗教性楽曲で知られるが
 カンタータの楽譜は埋もれていた、21cになってルセが再発見

先程のアリアーヌと同じ場面だが、低い声の男性歌手の為に書かれている
恋人に置き去りにされたアリアーヌ、バッカスが現れ彼女を慰め、アリアーヌはバッカスを愛するようになる
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一途なイメージのハーデースでさえ浮気をしてペルセポネーに怒られているのだから、ギリシャの神々は下半身に正直…(身も蓋もない
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「カンタータ「カフェ」から」
ニコラ・ベルニエ:作曲
(ソプラノ)ジェニファー・パウリーノ、(合奏)レ・グラース
第三巻に収録
この曲だけ神話と無関係
前奏曲の後コーヒーの素晴らしさを称える

17c末ボンに留学
各地の教会などで活躍後オルレアン公フィリップ二世の後援を受け最初期のカンタータを作曲
1703年から1715年にかけてカンタータ集を出版
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古楽の楽しみ 2020/4/30放送分
▽18世紀のフランス語のカンタータ(4)
ご案内:関根敏子/1720年前後のさまざまなカンタータをお送りします。

イタリアのカンタータを手本にして作られ1720年代に隆盛を極める
オペラを思わせる大規模なものからカンタティーユ(小規模)まで800以上作られた

ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール
1687年パリに移った時本来の名前ピニョレのあとにモンテクレールを添える
最初のコントラバス奏者
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「カンタータ「牧神パンとシリンクス」から」
モンテクレール:作曲
(ソプラノ)ジュリアンヌ・ベアード、(合奏)アメリカン・バロック、(指揮)ステファン・シュルツ
オヴィディウスの変身物語から
牧神パンはニンフのシリンクスに恋をし追いかける、もう少しで追いつくと思った時葦に変身してしまう。
その葦で楽器を作り彼女を偲んだ。

牧神パンの嫌われぶりたるや(ノ∀`)
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「カンタータ「オルフェ」から」
ラモー:作曲
(テノール)マティアス・ヴィダル、(合奏)アンサンブル・アマリリス
 まだフランス中部にいた頃書き写された楽譜
ジャン・フィリップ・ラモー
1722年に出した音楽理論書が評判となりパリへ移る
1733年オペラ作曲家として

歌で地獄の支配者を魅了したオルフェは妻を連れてゆくことを許される
が彼女を想うあまり振り向いてはならない約束を破ってしまう
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「カンタティーユ「アンドロメード」」
ルフェビュール:作曲
(メゾ・ソプラノ)エヴァ・ザイシク、(合奏)ル・コンソート
ルイ・アントワーヌ・ルフェビュール
ピカルディ地方生まれ

怪物が海から出現し襲いかかると、空から現れた英雄が怪物を退治する
愛の神は時として残酷だが最後には恋人たちが結ばれる

岩に縛り付けられ震えている王女アンドロメードのもとに怪物が現れる。そこへ恋人のペルセウスが馬に乗って現れ、彼女を救う
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「カンタータ「シルセ」から」
フランソワ・コラン・ド・ブラモン:作曲
(メゾ・ソプラノ)メロディー・ルヴィオ、(合奏)レゾンブル
 17歳でメーム公の后に仕える
21cに発見された本人が改訂した手書き楽譜
シルセ=キルケ ギリシャ神話の魔女
オデュッセウスを想って泣き、怒りのあまり地獄から様々な怪物を呼び出す
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「カンタータ「シルセ」から 最後の部分」
フランソワ・コラン・ド・ブラモン:作曲
(メゾ・ソプラノ)メロディー・ルヴィオ、(合奏)レゾンブル
嵐が収まってもキルケの絶望は治まらない
愛の神の掟は絶対、冬が過ぎれば春はやってくるのに愛の神が去ってしまうともう戻ってこない

19歳で作曲した「シルセ」はドラランドを感動させる
手書きの改訂版は後にルイ15世の妃がヴェルサイユ宮殿で定期的に演奏させたものだったのではないか?
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