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2020年05月15日01:07

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二つのこぶ

 小学校や中学校のクラスの中に、できる層とできない層がラクダの二つのこぶのようにできており、中間層がいなくなって来たということは、近年大きく取り上げられて来た教育問題です。

 以前は、まかりなりにもクラスが山なりのヒストグラム、つまり一つのこぶの中に収まっていたため、大体中間のレベルの子に向けて授業をしていれば、何となく全体に向けた授業になったのですが、現在の二つのこぶのような状態では、そもそもどこに向けて授業をするのが良いのかを先生も掴みにくく、多くの生徒達にとって的を射ない授業内容になりがちだと言うのです。

 これは本当にそうだと思いますし、学校を学習面だけで捉えた場合の大きな課題です。

 もっとも何度も言っている通り、学校にとっての学習は、全体の3〜4割程度と考えるのが正しく、それ以外の活動の方が大きいと感じられ、そういう意味では学習に対してそのような問題があっても、学校には成長過程の様々な役割があることは間違いありません。

 話を二つのこぶのことに戻しますと、最近よくオンライン学習導入についての報道がテレビでやっていますが、それが一つ目のこぶである、できる層を中心にばかり語られているように思われ、非常に危惧を感じています。

 例えば取材されている学校も、難関の都立中高一貫校とか、上位の私立中学とか、公立高校に至っても都立のトップクラスに限られているのが現状です。

 前にも書いたように、そもそもできる子というのは、オンライン授業などなくても、youtubeで無料の解説動画などを見付けて1人で勉強していますし、そういう子達が学校のオンラインでこんなことをやってますと言われても、アベレージレベルの子供達が同じにできるわけがありません。

 こういうテレビを見て、世のお母さんが、うちの子は遅れてしまうのではないかと思うのは当たり前の話で、そういうお母さんを煽る塾も、コロナ禍の今であってもかなりある印象です。

 昨日のテレビでは、評論家や大学の先生が、「オンライン授業だと普通の授業では質問をしない子が質問してくる」とか「普通の授業で45分の内容が、集中しているので20分で終わった」とか、何やらオンラインにすれば現状が解決されるうえに、プラスアルファのことがあるようなことをまことしやかに語っていましたが、私に言わせれば、そういう層の子達のことを、さも全ての子供達についてのように言わないで頂きたいと思うのです。

 私は、長年様々なレベルの子を指導して来ましたが、二つ目のこぶの層の子達を、何とか脱出させるようなことも非常に多くやって来たため、彼らや彼女達ができることとできないことは、よく分かっているつもりです。

 もちろんアンダーコロナ、ウィズコロナの現状を考えれば、そういう中でもできることを模索していかなければならないという現実はその通りでしょう。

 しかしながら、だからと言って、一つ目のこぶのできる子達に全て合わせてと言われても、できることとできないことがあるというものです。

 恐らく、このコロナウィルスの休校に端を発して、オンライン授業、遠隔管理に流れる中で、二つのこぶはよりはっきりと開いていくことは間違いありません。

 勉強は全ての子にとって大切なものですが、それは苦手な子が勉強を克服していく過程などにもあり、そういう子達のやる気を少しずつでも引き出すようなやり方を考えなければならないのです。

 生徒さんが塾に来る理由は様々ですが、学校の授業がよく分からなくなってという子も少なくありません。

 そんな子が、塾で復習し予習をすることで学校の授業も上手く聞けるようになり、表情が良くなったり、学校が楽しくなったりということをこれまでもずっとお手伝いして来ました。

 学校と言う本来は公平である場において、できる子を中心に考えていくことで、二つのこぶをさらに広げることが当たり前にならないように、平均レベルの子供達ができることを踏まえて取り組んで頂きたいと強く思います。

 テレビの取材をするのであれば、上位校ばかりでなく、平均レベルの高校や、勉強の苦手な子が集まる高校についても同様に報道して、その課題なども一緒に考えるべきです。

 評論家で大学教授でもあるとある先生の「できる範囲でやらなければいけない」という見解は正しいと思いますが、その後に続く「うちの大学では…」というのは全てに当てはまるわけではないのです。

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