「昨夜、めちゃめちゃお腹が痛くなって、のたうち回っちゃたよ〜」
なんてな事を言いますが、この『のたうち回る』という言葉は、
イノシシが語源なんだそうですね。
イノシシというのは、
ダニなどの寄生虫を落としたり体温調節をするために、よく泥浴だとか水浴を行うんですね。
そして泥浴、水浴後には体を木に擦りつけるんだそうです。
この、イノシシが泥浴を行う場所は『沼田場』(ぬたば)と呼ばれ、
イノシシが横になり転がりながら全身に泥を塗る様子が、
苦しみもがいて転げ回っているように見える事から、
『ぬたうち回る』(のたうちまわる)という言葉が生まれたんだそうですね。
仮に『暴力団員の方が好きな動物は、何だと思いますか?』という質問をされたら、
すぐに、ああいう方々の背中のデザインが思い浮かぶでしょうから、
『龍』とか『虎』とか『獅子』なんて答える方が多いんじゃないかと思いますが、
実は『イノシシ』だという話がありましてね。
「ああ、なるほど。一位がイノシシで、二位がシカで、三位が蝶だね」
って、そういう事じゃなくて、実際に東北から北関東にかけての田舎では
『イノシシが出ると、ヤクザが喜ぶ』という言葉が存在するようですね。
『○○町にイノシシ出現』とか
『○○の山道で、イノシシが大量出現』なんてニュースが流れると、
暴力団員が集まってくるんだそうです。
それは別に、ヤクザの皆さんとレディースが、シシ鍋合コンしようというわけではなくて、
『心おきなく銃の試し撃ちができるから』だそうですね。
猪突猛進と言われるように、
イノシシというのはあんな、ずんぐりむっくりの体型でありながら、
時速四十五キロくらいのスピードで走り回る事ができるため、
射撃の腕を磨くための、格好のターゲットになるわけですね。
しかもかなり頑丈だから、一発当たったくらいでは死なないんですね。
拳銃の弾をくらっても果敢に立ち向かってくる勇敢なヤツもいるようで、
仲間内では『イノシシ知らず』と呼ばれてるそうですね。
しかも、イノシシの出没するところというのは、大抵は山奥や人気のない寒村ですから、
銃を撃っても通報される危険性が少ないんですね。
ですから暴力団員は、イノシシ情報に敏感でして、
どこかでイノシシが出たと聞くと、『今こそ腕を磨くチャンス!』とばかりに、
現地に馳せ参じて、銃を撃ちまくるわけです。
とは言っても、向こうも逃げるわけですから、
そう簡単には当たらなかったりしますよね。
ですから命中度を上げるために、イノシシを一旦罠で捕まえて、
目立つシャツを着せて再び放つんだそうですね。
「それで、シャツのどこを狙って撃つんですか?」ったら、
「もちろん、ボタンです」
と言ってましたけどね。
「当たった!兄貴、イノシシに当たりましたよ」
「本当に当たったのか?」
「本当ですよ。だって当たった瞬間、『痛い!』って言いましたから」
なんてんで・・・これはイノシシではない可能性が凄く高いですよね。
微笑亭さん太
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