どこにそのゴールを定めるか　新型コロナウイルス

　新型コロナウイルス対策として、安倍首相は、出勤者を七割減らすよう要請を出した。確かに、一時的な感染者の増加を防止するには一定の効果があるかもしれない。しかし問題は、どこにそのゴールを定めるかということではないだろうか。その要請により、仮に一時的に感染者の増加が抑えられたとしても、その期間が過ぎてまた人が集まるようになれば、感染が再び増加する懸念は消えない。結局は、薬が開発されるか、人類の大多数が免疫を持つに至るまでは、この問題の終息とはならない。
　一番恐ろしい医療崩壊を免れるための措置ということはわかる。しかし、ここ数カ月の間、国民を最も疲弊させているのは、「出口」が一向に見えてこないことなのではないか。いつまで耐えれば解放されるかわからない対策に、我々は汲々としている。
　一度出来てしまったウイルスを、完全に死滅させることはできない。人類の知恵と努力で、うまく付き合っていくしかないのだ。感染に対しては各個人で十分に留意しつつ、正常な社会生活を維持していくことが、当面は望ましいのではないか。


https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020041101001769.html