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2020年03月01日20:16

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レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い

「レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い」、観ました。初めてです。
1994年リリース、だからブラピが30歳の時でしょうか?
監督はエドワード・ズウィック。ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス、エイダン・クイン、ジュリア・オーモンド出演。
興行収入160,638,883ドル、というから170億円近いですね。
大ヒットです。
ブラピの人気かな?
この頃から既に大スターだったんですね。

舞台はアメリカの、1900年代初めころからの数十年間です。
こんなに感動した映画は久々かな?
感動、と言っていいのかわかりませんけど。
涙が出たりするわけではなくて。
感動、ではなくて、胸が締め付けられるような思い、というのが久々だったのです。
何と呼ぶべき感情か、わかりません。

あまり冷静になって感想なんか書いてると、そういう、言葉にできない感情って、ふわふわと風のように掻き消えてしまうんですよ。
だからしばらく書かないでいたかった。
でも一方では書くのがとても楽しみで。
映画に恋しちゃった状態ですね。

何なんでしょう、この映画を一口で言って。
恋愛映画、といっても、その背景にはアメリカ、という、独特の歴史と状況を持った国があり、第一次世界大戦、という大きなイベントがあり、禁酒法時代、それ故に生まれたアルコールの密売、それを行う人々同士の紛争、という事情があって、恋愛もそういった時代に翻弄される人々の話にはなってくるので。

だけどたまきは、陳腐な考えかもしれないけど、どうもこの感動は、「古き良き時代のアメリカ」と、それを体現する人々、でも現実の新しい時代の波、その中で人間らしさを模索しながら生きる人々から感じるものだったように思います。

昔、北米に最初に移住してきたのはイギリス人だった。
最初の1年で、ピリグリム達100人のうち、約半数が、飢えと寒さと病気で死んでしまった。
でもその後、アメリカ先住民に野菜の栽培の仕方、猟の仕方
、その他、アメリカの大地で生きのびるあらゆる方法を教えてもらい、ようやく移住者達は活路を見出して、この見知らぬ地で生きていけるようになった。
だからピルグリム達は毎年、秋の収穫期に「感謝祭」という、収穫に感謝する祭りを開催する時に、先住民を招待するようになった。

しかしその後、ヨーロッパの各地から移住者が続々と到着、大きな白人社会を形成すると、昔の恩を忘れてーーというか、新しい移住者はその成り行きさえよく知らずに、最初からこの土地が自分達のものであったかのように、先住民(大昔からこの大陸に住んでいた人達)を無視して勝手に振る舞い始める。
それに抗議、反対する先住民を容赦なく武力で踏みにじるようになり、大きな戦争へ、と発展する。

そしてついに先住民からこの土地を丸ごと奪ってしまう…。
そうした中で、先住民たちは、彼らの文化や狩猟の場も奪い取られてしまう。
消え去る人々、失われる古代からの知恵と文化…

この映画の主役は、ウイリアム・ラドロー大佐の2番目の息子、トリスタンです。
彼は、白人社会の文化と知性を信じている長男のアルフレッドと違い、狩猟を好み、先住民の文化と暮らしに精通し、彼らと共に生きることに魅力を感じている、野生児のような人。
3男は、二人の兄に溺愛されるあまり、頭を押さえつけられて、ナイーブで繊細ながらも、「男」になることに異常な情熱を燃やすインテリ男性。
そして父のウイリアムは、3人の息子のうち、「野生児」トリスタンを最も愛しているのです。

たまきには、父が彼を特別に愛する理由が、感覚でわかるように感じました。
この人は、軍隊で活躍して大佐にまでなった人だけど、そういった世俗的な栄誉や都会暮らしが性に合わず、田舎に家族ごと引っ越してきて、先住民を雇って牧場を経営するのです。
妻は田舎暮らしを嫌って別居生活。
そこへやってきたのが、ハーバード大学を卒業したサミュエルの婚約者として連れられてきた、スザンナでした。

彼女をめぐる、3人兄弟の恋愛物語になるのだけど、この話には、胸が痛むほど甘く、切ない部分があります。
それは、たまきにとっては、「アメリカの古き良き時代」と
先住民の暮らしと白人が融合していた時代、それを体現しているかのようなトリスタン、それを意識することなく彼を愛する父と、スザンナなのです。

何故切ないか?
それは、トリスタンが体現している「自然や、先住民との融合」というのは、「消えゆく時代」であり、「アメリカの、最後の良心」とも呼ぶべきものだからです。
彼は、インテリの3男や、いつも「いい子」の長男と違い、
規則もろくに守らない、野生児のような人です。
けど、アメリカの、そしてある時代の最も美しい部分を全身に持っているような人なのです。

そこに惹かれる人達は、彼の周囲に何人もいて、しかも彼らは何故彼にそんなに惹かれるのか、意識していない。
先住民の娘にも、幼い頃から「トリスタンの奥さんになる」
と勝手に決めつけるほど愛されているのですね。

でも切ないかな、悲しいかな、彼が体現しているものは、消えゆく運命なのですよ。
ブラピはこの映画で本当に美しく、そのトリスタンを完璧に再現しています。
胸締め付けられるほど甘く、そしてはかなげな存在です。
たくましいのですよ。
はかなげ、といっても彼はとてもたくましく、どこで何をしても周囲の人をリードする、生まれつきの素質を持っていて、男らしく、責任感も強い。
だけど、アメリカが無情に切り落とした「先住民との融合」
を全身で生きている人だから、「時代に置き去りにされる人
」なわけです。

先住民のことだけを言ったけど、昔のアメリカにあったような、「古い時代の男の倫理観」をも体現していて、「誰に対してそこまで自分に厳しくしなければならないの?」と現代人なら首をかしげるほど、倫理的な潔癖さの中に生きる人なのです。
死ぬまで。

あのね、ブラピって人は、こういうところのある人です。
とたまきは思ってます。
以前から思ってたけど、彼は古い時代の、「男が真に男らしく、人に尊敬されるに値する人間になる」という、現代では
失われつつある倫理観?、価値観を持っているのですよ。
それでかなり無理して、自分に厳しくしてるとこがあって、
それで損してるな、と感じる反面、それが彼にあの深い演技力を与えているのだ、と感じます。
彼が指導力を発揮したり、人を守ったり何か大切なものを守ろう、とする人を演じる時、とても自然で説得力のある演技をする。

その彼自身と、トリスタンが完全に重なって見えてきました。
結局のところ、トリスタンという人は、3人兄弟の中で一番
責任感が強いし、ある意味最もインテリだし、詩人のようで
繊細でもある、という人です。
だけど欠点もあった。
あまりにも古い時代の倫理観に縛られていたし、弟を愛しすぎてもいた。
弟が戦争にあんなにも行きたがったのも、兄二人からの、息のつまるような過保護から逃れたい、一人前の男だ、ということを周囲に認めさせたい一心だった、とたまきは思うのです。
その戦争でも、命を賭けてでも戦功をあげて、「一人前の男」と認められたい、と無茶ぶりをしたことが不運を招いている。

ブラピはどうか、って?
たまき思うに、彼はね、この3人兄弟全員の性格を併せ持ってますね。
長男のアルフレッドのように、非常に常識的で決して規則を破ったりしないし、新しい時代に即慣れて、先駆けしていくタイプでもあるし、3男のサミュエルのようにナイーブでインテリで、その分弱さも隠し持ってる、という。

トリスタンは3人の中で、ある意味野生児のような人だけど、最もロマンティストで、義理堅く、愛情に満ちた人だったのです。
そう思ってます。

それにしてもカナダでの撮影、ということ。
大自然がまだ充分に残ってるところで、映像の美しさに息を飲みます。
そして父親役の アンソニー・ホプキンス 、まだ50歳くらいでしょうか?
ハンサムで、いかにも古い時代のよき父親像、よかったです。
スザンナ役のジュリア・オーモンドさんも、昔の女性はさもありなん、という、古い時代の天使のような美しさ、優しさ、知性的な雰囲気、いいなぁ。

そうそう。
これは三角関係、か、もっと複雑?
それで「エデンの東」を思い出した。
兄弟で一人の女性を愛する、父親の愛も欲しがる、嫉妬する兄弟の話。
そしてジェームス・ディーン主演。
ブラピの役、ジェームス・ディーンとイメージが重ならなくもない。
けど、ブラピの方がずっといいです。
頼りがいのあるタフガイ、という感じで。
ジェームスさん、ちょっと頼りなさそうに見えるもんね。

ラブシーンが美しかった。
もっと見たかったけどちょっとだけで、残念。
「テルマ&ルイーズ」ではもっと素敵なラブシーンが見れる
らしいから、楽しみにしよ。

ブラピ、30歳よりも若く見えるけど、この美しさを守る為に
肌の手入れをきちんとしてるかしら?
と考えずにいられなかった。
あの人はほんとに体形も顔も、キャラ的な特徴も、この頃から変わらなくて、「この人はバンパイアなのでは?」なんて
言う人もいるけど、お肌だけは彼だってしっかりしわが刻まれたりするわけだから、きちんと手入れして欲しいですね。
人前に出る仕事してる人の、最も重要な仕事の一つで、基本だから。
あと、健康の為に野菜をたくさん食べて、添加物を避ける為に、極力外食は避けて、無添加の食べ物だけにして欲しい。
マドンナみたいに日本人のコックさん(日本人じゃなくても
)を家に住まわせて、栄養面で完璧になるようにしていただきたいです。

あの美しさが映画界から消えたら寂しいですよ。
先日観た映画「紅の翼」の中に、いいセリフがありました。

「男性の若さは、本人が捨てない限りなくならない」

いいセリフでしょ?
たまきはこれを、女性にも当てはめて、自分の物にできないかな?
と思ってます。

最後に。
たまきは「古き良きアメリカ」、「アメリカの良心」、そうしたものが消えゆく運命にあった、と前述しましたが、考えてみたらそうとばかりも言えませんね。
ある種の人々の中に、その心の奥底に、それは生きている、
今もなお、受け継がれている、と感じます。
「男が真に男らしく、人に尊敬されるに値する人間になる」
という、昔の人が掲げた理想像は、一部の人の中にしっかり
息づいている、と思うのです。
それは、実はけっこう多いのかもしれない。
ブラッド・ピットは、間違いなくその中の一人です。
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