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2020年02月15日22:28

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『象は静かに座っている』 ☆☆☆★ 2020年1作目 フォーラム仙台

『象は静かに座っている』 ☆☆☆★ 2020年1作目 フォーラム仙台
http://www.bitters.co.jp/elephant/

 2020年の1作目、映画初めは昨年、2019年から繰り越した『象は静かに座っている』。
 中国の映画で、これが長編デビュー作なんだけれど、自死の為遺作。
 先ずもって長い。
 234分。3時間54分で休憩無し。
 正直、長い。観る前は「耐えられるかな?」と心配だったけど、むしろ逆。
 もっと早く観るべきだった。

 中国の地方都市が舞台で、生き辛さを感じてる人達が「一日中座っている象」を見る為に電車で長旅をする話。
 との触れ込みなんだけど、実際は「何故、そこに至ったのか」を淡々と描いている。
 なので、ひたすら日常の描写が続く。延々と続く。
 一つ一つのシーンが長く、シーン自体も平凡なシーンが多く、正直「長くね?」「このシーン必要なの?」と思った。
 思ったんだけど、音楽のない演出と相まって実にリアル。
 シーン一つ一つの長さも、無駄とも思えるシーンの数々も、実際の日常そのままを反映しているように感じた。
 平凡なシーンや台詞で日常が出来ているのであって、日常を描いた映画ならば平凡なシーンや台詞であふれているのはあたりまえ。
 その中に時たま意味深いシーンや台詞があるからこそ、シーンの重みや台詞が生きてくるのであって、シーンの長さや多さは必然に感じた。
 シーン自体も、誰かが騒いでいるか、チンピラが居るかで、正直不愉快なシーンが多いんだけれど、理不尽さ、不愉快さも「現実」を表しているようでリアルに感じた。
 ただ歩くシーンも、煙草を吸うシーンも、最初は「長いな」「このシーン必要なの?」と感じたけれど、逆に「脚色していない現実」に感じた。

 話自体は、居場所の無い少年と老人。それとヤクザの話なんだけど、個々の悩みや思いはそれなりに深刻なのに淡々とした描き方がリアルさを増しているし、だからこその234分なんだと納得した。
 「デビュー作にして遺作」なのが本当に惜しい作品です。


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