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2020年02月10日20:40

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二月大歌舞伎 昼の部

二月大歌舞伎 昼の部 歌舞伎座

行ってきましたー!
令和二年初歌舞伎。

十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言ってことで
1階18000円。13列の花道横。奮発しました。

「菅原伝授手習鑑 加茂堤」11:00−11:27
背景は漠とした平野と川。牛車。
4人の牛飼舎人がわーわー。
そこに桜丸(勘九郎)。
なんという明るさ、なんというユーモア。
花道から出てくる八重(孝太郎)、顔隠しをして手を引かれてくる刈屋姫(千之助)。
斎世親王(米吉)との逢引。
見守る桜丸「あーもうたまらん」と妻と八重とブチュー。わはは。
敵対している者に見つかり逃げる若い二人。
逃げたのに気づいて追いかける桜丸が花道を走って行くところの速さ!
目で追えないくらいの速さでした。
八重と牛のやりとりもユーモラスで楽しい場面。
米吉さんの立ち役初めて見た。
仕草が女性やんなあ、と思って見てて、あとで米吉さんだと知りました。
千之助さんの女形も初めて見たけど、立ち役よりこっちの方がいいな、役に気持ちが入って見える。顔ちっこいし。

幕間 35分
昼食に木挽町市場で購入した柿の葉寿し。鯖入り。
1階席は割と席でゆったり食べられるからいいですね。
写真付き筋書きの郵送を依頼する。

「菅原伝授手習鑑 筆法伝授」12:02−1:25
希世(橘太郎)の上方言葉にうれしくなる。
しかし彼は成り上がりたい嫌なやつ。でも芝居的にはコミカルで笑いを添える。
橘太郎さんの背の低さ、フォルム、歩き方、全てが道化的なおもしろさ。
ちょっとしか出てこない腰元勝野(莟玉)の可愛らしさ、麗しさよ。
そして、園生の前(秀太郎)の威厳、強さ、可愛らしさ。
源蔵(梅玉)連れて部屋を移る際の周るセットも面白し。
屋敷の広さを感じさせる。
で、なんといっても、菅丞相(仁左衛門)。
私はこの芝居を初めて見るのでどこで菅丞相が出るかわからない。
わからないにも関わらず、あ、ここで出るのか、とわかったのは、
空気が変わったのでした。
しん、として、張り詰めて、冷たい緊張感、舞台から目が離せない。
そしたら御簾が開いて出てきました、白い衣装の菅丞相が。
源蔵の邪魔する希世とか、梅王丸(橋之助)の勢いとか、面白い場面も多い。
とはいえ、菅丞相はひっとられる。
ひっとられて花道を連れて行かれる時の、護衛みたいな人たちが、
竹をバシバシ打ちながら歩いて行くのがすごい音だし、怖いー。
打つと、竹先、本当に割れてるし、こっち睨むし。
でもって、源蔵と戸波(時蔵)夫婦が菅秀才を預かる、
という、「寺子屋」につながる話。

幕間 20分
館内ウロウロ。
仁左衛門夫人と、勘九郎夫人がお話されてました。おきれいですなあ。

「菅原伝授手習鑑 道明寺」1:45−3:37
覚寿(玉三郎)出てきた! 
全体的に色が薄い灰色。背が高い。顔が小さい。首が長い。形が美しい。
そして台詞のわかりやすさ!
それは仁左衛門さんもだけど、声の通りだけでなく、言葉がわからなくても、何をいってのか伝わる。
覚寿はおばあさんだけど、矍鑠と、菅丞相をひっとられる原因を作った子供の刈屋姫と立田の前(孝太郎)を棒でしばこうとしている。
のちには仇をとったりもする、すごい女性。
話は、菅丞相が木像になったり、本物が現れたり、という奇妙な話。
殺人も起こる。
サスペンス仕立てのところは、奴宅内(勘九郎)がまたひと笑いさせてくれます。
菅丞相については、なんとも神々しい。
この幕の時はお香の香りが強く漂っていました。
木像であるときの菅丞相の「無」。
無としか言いようがない佇まい。
人であるときの菅丞相はまたちがう。
娘の刈屋姫との別れを悲しむ場面、花道での後ろ髪引かれる姿、花道を毅然としてるけれど(本当に)涙を流しながら去って行く姿。
菅丞相の動きが、とにかくゆっくりなので、
見ているときは、ドラマチックにわかりやすく盛り上がらないのだけど、
花道をゆく姿を、間近で見ていて、
去った後に、心がざわざわし、涙が溢れました。
あれはなんでしょうね。何かが伝わってくるんだと思います。
その後、追うように花道を行く、菅丞相の味方をしてくれている輝国(芝翫)の、どうにもできない理不尽さのようなものへの哀愁を帯びた表情もよし。

いやあ、しみじみ、感動しています。
終わった後、頭の中でいろんなシーンを反芻する。
「筆法伝授」の時に、冠が落ちた菅丞相が、冠を付け直して顎紐を結ぶ所作の、ゆったりとした美しさ。かつ、白い衣装に黒い紐が垂れた形の美しさ。
菅丞相、とにかく動きがゆっくり。
今の世の中、こんなにゆっくりしたものを、息を詰めて見ることって、ほとんどない。
時間の流れが違ってました。
そこには平安時代がありました。

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