mixiユーザー(id:6061081)

2020年02月01日22:10

188 view

映画「リチャード・ジュエル」

昨日の18:25の回、MOVIX堺で鑑賞。
イーストウッド監督の新作!

「リチャード・ジュエル」Richard Jewell 
主演 ポール・ウォルター・ハウザー サム・ロックウェル キャシー・ベイツ 
監督 クリント・イーストウッド 

1996年のアトランタオリンピック開催中、会場近くの公園で大勢の客で賑わうコンサート。
警備員のリチャード・ジュエルは爆弾入りのバッグを発見する。
彼の早い発見で被害はあったが大勢の人を避難させることが出来た。
その事で一躍に英雄として有名となったリチャードだったが、
FBIや新聞が彼を自作自演の容疑者として祭り上げる事に。


クリント・イーストウッド監督の作品なんで鑑賞。
去年は主演も兼ねた「運び屋」が良くて去年のベスト3位に上げたほど。
それだけ、毎回新しい題材に意欲的に挑み、面白い作品を作るのは流石だ。
休まずに毎年新作を作るこの元気さは何だろう?
この人、何十年も役者から監督と第一線で活躍してるのは本当に凄い。
今回も実話であるが、やはり、


今回も、はっきり言って間違いなく傑作。
色々と考えさせられる事や、ドラマ的にも心揺さぶられた。


イーストウッド監督の作品の良い所は、
冒頭からラストまで無駄がなく順を追って見せてくれるところ。
それと、やはりキャスティングと役者の演技の引き出しの上手さ!
本当、これに尽きる。

テーマ的には今でも通ずる「作られたメディアの怖さ」
こういう事は存在するのは分かっていたが、
この映画はその怖さを体現するかのようにじっくり見せる。

よく事件で〇〇容疑者逮捕のニュースは日常茶飯事のようにある。
確実な証拠や現行犯ならまだしも、状況的に「こいつだろ?」と決めつけられたような事件はどうなんだろう?
今の社会はメディアに動かされてると言っても過言ではない。
自分もニュースで「こいつが悪いかも?」と思ったらそれこそ動かされてるのかもしれない。

この映画に出てくるマスコミは本当に酷い。
でも、このマスコミの酷さは映画の中では無い。現実なんですよ。
爆弾を発見した奴が犯人?
過去にもそんな例があったから?
真実より、何か自分らに都合の良い筋書きを作ろうとしてるように思う。
これは見てて腹立たしいし、

主人公リチャード・ジュエルは人一倍正義感が強く、人のために役に立ちたい。
ただそれだけの純粋な男であったのだが…
逆にその純粋さが世間の絶好の餌食にされたように思う。
よく「人が良い人ほど騙されやすい」と言うが、そんな感じにも思う。
 
【注意】ここからネタバレあり
















前半の爆破シーンは、見てる自分もびっくりしたほど、あの緊張感あふれるサスペンス演出が上手い。
そこはやはりイーストウッド監督。
そのあとはFBIや新聞記者によって尽く虐げられるリチャード。
この辺りは、見てて悲しいというか悔しいというか、凄くモヤモヤさせられる。
それもそのはずで、鑑賞してるこちらが「もしも自分だったら?」
とリチャードを自分と置き換えてしまう見せ方の上手さにあった!

しかし、後半の反撃シーンは良かった!
リチャードの味方である弁護士ワトソン・ブライアントの「反撃するぞ!」
クライマックスのFBIとの尋問シーン。
ワトソンに頼りがちだったが彼の励ましもあり、リチャード自らFBIのやり方にグサッと釘を打つ。

いや、リチャードの心のマグナムと言った方がいいかも。

こういうところはダーティハリーで真の正義は何かと貫いたイーストウッドだからこそなのかもしれない。
他の監督が演出したら、こういうドラマ運びは無かったと思う。
ここでのリチャードはFBIが憎いのではなく、失望した事が大きかった。
警官やFBIなど人を守る仕事がしたいと目指してたリチャードだが、
その憧れのFBIには、正義は無く、こんなに汚いとは…と失望した心の叫びだったと。

それとリチャードの母親が記者の前で会見するシーンも、
凄く心打たれた。
まさに母としての心の叫び、そのものだった。

劇中でも分かるんですが、ちゃんと捜査すればリチャードが真犯人ではないと分かるものだが…
あの公園から脅迫電話のあった公衆電話の距離では行き来するのが完全に無理な事。
こういう所からして、世間は犯人にしやすい奴を仕立てたいのか?


キャストでは、

リチャード役のポール・ウォルター・ハウザー
映画では「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」や「ブラッククランズマン」に出てるんですが、2本ともいまだに未見なんで初めて拝見する役者さん。
巨漢の特徴あるルックスに特徴のある喋り方など、実際の本人に近い表現で演じたのであろう。これは見事であった。
リチャードは正義感が強すぎて行き過ぎた所があったり(学園の警備員のくだり)とか、
真面目過ぎるがゆえに行き過ぎてしまうのが、マスコミの格好の餌食だったのか。
それと、所々にあったあ彼のルックスへの見た目の偏見が、今の世の中を表してるようだった。

ワトソン役のサム・ロックウェル
彼と言えば一昨年に拝見した「スリー・ビルボード」の嫌味な警官役が良かった。
変わり者というかクセのあるキャラを演じると上手い役者。
最近、動画配信で鑑賞した「バッド・バディ!私とカレの暗殺デート」の殺し屋なんて実にサムならではの変な殺し屋だった。
今回の弁護士役も実にサムならではの風変わりな弁護士。
最初、この弁護士で大丈夫か?と思うものの、リチャードの親友というか良き兄貴のような存在で見て行くうちに頼もしく見える。

リチャードの母親ボビ役のキャシー・ベイツ
劇場で拝見するの久々のような気がする。
昔劇場で見た「ミザリー」の怖い役や「タイタニック」など上手い名女優さんです。
また、この母親役が良かった。
先にも書いた涙の訴えるシーンは、キャシー・ベイツの演技の凄さを感じる。

FBIのショウ捜査官役のジョン・ハム
最近では「ベイビードライバー」でしぶとい強盗団の敵役を演じてたのが印象に残る。
この捜査官も本当に絵に描いたように憎たらしい。
捜査ではなく、リチャードを犯人に仕立て上げようとするのに躍起になってるのが実に汚い。

新聞記者キャシー役のオリビア・ワイルド
以前に「カウボーイ & エイリアン」や「ラザロ・エフェクト」などレビューした事ありますが、久々の拝見。
今回は見るからにまさにビッチ!汚れ役。
この新聞記者も絵に描いたようで実に憎たらしい。
捜査官と記者を敢えてステレオタイプに描いてるのはイーストウッドの狙いかと思う。
実際のマスコミも本当にこんな人だろうと想像つく。


アメリカに限らず日本でもこんな免罪事件は本当にある。
真実より作られた正義に鋭いメス(いや、マグナムか)を入れるかのような作品だった。
やっぱし、役者が良かったよ。
当たり前だけど、映画は演出脚本が良くても結局はそれを動かす役者次第だと言う事。

これはおススメ!
3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年02月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829

最近の日記