mixiユーザー(id:1762426)

2020年01月12日09:50

42 view

キリシタン紀行 森本季子ー11

 宿舎”上乃家”到着は七時過ぎ。落日の遅い夏の五島もさすがに夕闇が立ちこめていた。

 五島は魚類の宝庫である。夕食の卓上は魚介類に溢れていた。とにかく鮮度が高い。刺身など馴れない舌にはコチコチと固く、鯛もひらめも分からないという勿体なさ!体長十センチほどのきびなごは初めて見る魚で、美しい銀色の刺身となって並んでいた。初めて、と言えば五島牛の刺身も。

 一日の緊張が食卓についてようやくほぐれていった。
三 福江、久賀島二島をめぐって(1988年8月29日)

●牢屋の窄(さこ)

 早朝、宿舎近くの福江教会にそれぞれ聖体訪問に出かけた。
 教会に入ろうとしてふと見ると、玄関の石段上に鎌倉・聖母訪問会のシスター原田(ベアタ)が立っているではないか。この奇遇に双方が同時に

 「まあ、シスター、どうしてここに?」

 シスター原田は横浜教区主催の五島巡礼団に参加して、団長・浜尾司教司式のミサにあずかるところだと言う。立話をしていると、横浜の巡礼団がゾクゾクと到着した。その中に田代不二男先生はじめ知人の顔ぶれがそこにも、ここにも。そのうち浜尾司教様が元気な足どりで近づいてきて、意外という顔付きで声を掛けられた。

 「シスターは今ここに住んでいるの?」まさかと思う遠隔の地で、知人に会うのはなつかしい。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する