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2020年01月03日13:26

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2019年映画ベストテン【外国映画編】

勝手に毎年恒例でやっている映画ベストテンの発表です。

2019年は外国/日本/旧作、全部合わせて282本 見てました。

■外国映画
1:スケート・キッチン(クリスタル・モーゼル監督)
2:グリーンブック(ピーター・ファレリー監督)
3:女王陛下のお気に入り(ヨルゴス・ランティモス監督)
4:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(クェンティン・タランティーノ監督)
5:ウトヤ島、7月22日(エリック・ポッペ監督)
6:家族を想うとき(ケン・ローチ監督)
7:ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち(キム・グエン監督)
8:マリッジ・ストーリー(ノア・バームバック監督)
9:たちあがる女(ベネディクト・エルリングソン監督)
10:視床下部すべてで、好き(ドウェイン・バルタザール監督)
次:さらば愛しきアウトロー、バジュランギおじさんと、小さな迷子、スパイダーマン:スパイダーバース

 ほとんど上半期のベストテンと変わらないような印象になってしまった。

 1位はスケボーを滑ることが大好きな女の子の話。いきなり冒頭から技に失敗し、股が裂けて出血、病院へ運ばれるヒロイン。当然家族は反対するが、それでも抜け出してスケボーを続ける。男ならよくて女がやっちゃダメなんてものはない! やがてニューヨークで同じ境遇である女の子のスケボー集団を見つけ、家出して一緒に生活するようになる。彼女たちが公園や街でスケボーをする場面は本物の人たちだけあって、本当に楽しそう。中でもローアングルで車道を疾走する場面をとらえた映像は、キラキラと眩しく、彼女たちの若さがそのまま映り込んだよう。ヒロインのスケボー大好き具合がぐいぐい伝わってくる。しかし、いつまでも無邪気な子供のままでいられるはずがなく、ヒロインはグループの他の女の子の元カレと親しくなってしまい、それがみんなにバレて、村八分にされてしまう。ラストは仲直りして、またみんなと一緒にスケボーで疾走している場面で終わるが、現実であるとも、彼女の夢であるとも、どちらとも取れる演出で泣けた。監督は無名、俳優も街でスケボーをやっていた素人の女の子たちで、ぜんぜん宣伝もされずにひっそりと終わったが、見逃すともったいない映画だと思い1位にした。

 長くなったので駆け足。2位は昨年アカデミー賞を席巻した黒人への謝罪映画の一本だが、そういう枠に収まらないハートウォーミングな佳作。オチがよくできた落語みたいでほんと素晴らしい! これぞ名人芸。

 3位はタイトルどおり女王陛下の寵愛を受けようと、レイチェル・ワイズとエマ・ストーンの二人があの手この手で騙し合い、競い合うのをエッジの効いた演出で見せる。アン王女を演じたオリヴィア・コールマンも含め、女優三人の演技合戦が見もの。争いの果ての結末はやはり虚しく辛い。

 4位のタランティーノ作品は仰天オチが話題だが、M・ロビー演じるシャロン・テイトが一人で自分の出た映画を見る場面が素晴らしい。映画を映画館で見る喜びをここまで丁寧に描いた映画はなかなかない。4DXにも勝る、当時の映画館で見ることのバーチャル体験。

 バーチャルといえば5位のワンカット72分映画もスゴい。『ホテル・ムンバイ』も同様のテロに巻き込まれた人々の実録もので捨てがたかったが、こちらの犯人どころか、何が起こっているのか、なかなか全貌がわからない恐怖は臨場感映画の究極ともいえ、忘れられない。

 6位のケン・ローチ作品はネット時代における宅配ドライバーの残酷物語を描いている。個人事業で独立した宅配ドライバーという名目で、朝から晩まで働かせ、そのくせノルマは厳しいという実態が、主人公一家の日常ドラマとして描かれる。善良で真面目に働く主人公なのに、反して借金は雪だるま式に膨れ上がっていく。一体なぜ、と思う。始終冷静だった奥さんが最後の最後でとうとうキレて叫ぶところで、見ているこちらも堰を切ったように涙が溢れた。かつての松竹の森崎東監督が得意とした怒喜劇を見ているようだった。我々がAmazonでポチッと気楽に買い物しているその裏で、泣いている人たちがいる現実を教えてくれる作品である。

 7位もネット時代ならではの物語で、無謀なケーブル配信事業に賭けた男たちの話…といってもTVの「プロジェクトX」でやっているようなものでなく、変人たちのコメディというエンタメ映画として作っているのがよい。この映画を見るとアメリカは依然としてチャンスの国というのがよくわかるし、それに敗れた者の姿もちゃんと描かれている。あの最後のお天気雨には泣けたなあ。主人公たちをあの手この手で妨害する元上司役のサルマ・ハエックが強烈なキャラクターで怪演。

 8位は秋口から立て続けに劇場公開したnetflix作品の中の一本。マーティン・スコセッシ監督の『アイリシュマン』は長尺にも関わらず大ヒット、ロングラン上映中だが、私はそちらよりもこちら。ある夫婦の離婚劇、というと目新しくないが、裁判の手続きなどを具体的に描き、いかに愛し合っていた二人が憎しみ合うようになるのかという過程を、時にユーモラスに、時に残酷なタッチで描いていた。マーベル映画のスカーレット・ヨハンソン、『スター・ウォーズ』シリーズのアダム・ドライバーが離婚する夫婦役だが、やはりこういう普通の人の役が見たかった。二人とも最高の演技を見せる。

 9位はアイスランド映画。表の顔は合唱団の教師、裏はたった一人の環境テロリスト。そんな彼女の日常を描くのだが、彼女の背後にはいつも観客にしか見えない楽団がついている。彼女の心の動きを、小編成の楽団が代弁しているという仕掛けである。やっぱり北欧圏の映画は変テコなことをするなあ、と驚かされた。やたらとだだっ広い風景も素晴らしかった。

 10位は大阪アジアン映画祭で上映されたフィリピン映画で一般劇場未公開だが、面白かったので入れておきたい。内容は上半期のベストテンで書いたので略すけど、これも変な映画で、男たちの孤独がこれ以上ないほど浮かび上がってくる。なぜかオープニングで徳永英明の「最後の言い訳」(フィリピン語カバー版)が流れたのも印象に残った。

さらっと軽く流す程度に書こうと思ったら、予想以上に調子が出てずいぶん長く書いてしまった。こんなの誰も読まないだろうなあ。仕方がないので前編後編に分けます。

日本映画編につづく・・・
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