今日の出来事：６４３年−上宮王家滅亡：山背大兄王自害、１５６８年−第一次薩埵峠の戦い、１９０１年−相馬愛蔵・黒光夫妻がパン屋「中村屋」を創業、１９２２年−世界初の社会主義国家・ソビエト社会主義共和国連邦が建国、１９２７年−日本初の地下鉄開業
今日は、上宮王家滅亡：山背大兄王自害です。山背大兄王は、厩戸皇子（聖徳太子）の子です。推古天皇が病没した後に、その後継問題が発生し、蘇我氏の庶流・境部摩理勢らは山背大兄王を擁立しました。その結果、蘇我蝦夷の擁立する田村皇子らと皇位を争う事になりました。しかし、蘇我蝦夷から山背大兄王に対して自重を求める意見をされた事もあって、皇位は田村皇子が継承する事となり、６２９年に即位して舒明天皇となりました。しかし、蘇我氏の実権が蝦夷の息子・蘇我入鹿に移ると、入鹿は蘇我氏の意のままになると見られた古人大兄皇子の擁立を企て、その中継ぎとして皇極天皇を擁立しました。このため、山背大兄王と蘇我氏の関係は悪化しました。６４３年、蘇我入鹿は巨勢徳多、土師猪手、大伴長徳ら１００名の兵に、斑鳩宮の山背大兄王を襲撃させました。山背大兄王の奴三成と舎人１０数人が矢で土師娑婆連を殺し、馬の骨を残し一族と三輪文屋君（敏達天皇に仕えた三輪君逆の孫）、舎人田目連とその娘、莵田諸石、伊勢阿倍堅経らを連れて斑鳩宮から脱出し、生駒山に逃亡しました。家臣・三輪文屋君は、「東国に難を避けて再起を期し、蘇我入鹿を討つべし」と進言しましたが、山背大兄王は戦闘を望まず、「兵を起して入鹿を伐てば、勝てるでしょう。しかし、そのために多くの百姓を傷つける事は出来ません。ならば我が命一つを入鹿に賜わん」と言いました。山中で山背大兄王発見の報をうけた蘇我入鹿は、高向国押に逮捕するように命じましたが断られました。結局、山背大兄王は生駒山を下りて斑鳩寺に入り、１２月３０日に山背大兄王と妃妾など一族はともに首をくくって自害しました。こうして、上宮王家はここに絶える事となりました。蘇我蝦夷は、入鹿が山背大兄王を殺害した事を聞き、激怒しました。法輪寺近郊にある「岡の原」という小山が山背大兄王墓であると言われています。当時の天皇は、長男による世襲制度ではなく、皇族から天皇に相応しい人物が選ばれていました。その基準は人格のほか年齢、代々の天皇や諸侯との血縁関係でした。これは天皇家の権力が絶対ではなく、あくまでも諸豪族を束ねる長（おさ）という立場であったためです。また、推古天皇の後継者争いには敏達天皇系（田村皇子）と用明天皇系（山背大兄王）の対立がありました。更に、山背大兄王の暗殺には多数の皇族が加わっていたと言われており、山背大兄王を疎んじていた蘇我入鹿と、皇位継承における優位を画策する諸皇族の思惑が一致して起こった事件でした。当時の後継者選びの基準が上宮王家一族を悲劇へと追い込んだのでした。この上宮王家滅亡により、聖徳太子の血統は消滅しました。
次に、第一次薩埵峠の戦いです。桶狭間の戦いで今川義元が織田信長に討たれた後、今川氏真が家督を継承しましたが、長年の今川氏の領国支配から三河の松平元康（後の徳川家康）が離反しました。この状況を見た甲斐の武田信玄は、長年維持してきた「甲相駿三国同盟」を破棄して今川領である駿河を併合して「海への出口」を確保する方針に転換しました。徳川家康と秘かに約束を結び、駿河と遠江の境界となっていた大井川を境として武田・徳川両氏が今川領を分割する事としました。１９６８年１２月２４日に武田信玄は甲府を出発し、６日後に駿河国庵原郡内房（現在の静岡県富士宮市）に達しました。この知らせに驚いた今川氏真は、直ちに庵原忠胤に１５０００の兵を率いて薩埵峠で迎え討つように命じ、自らは清見寺に陣を構えました。更に自らの義父で相模の北条氏康に使者を発し、直ちに出陣して武田信玄の背後を突くように要請しました。今川氏真は武田軍が今川氏の本拠地・駿府を攻めるには薩埵峠を経由する他なく、ここを固めて迎撃すれば必ず北条氏の援軍と挟みうちに出来ると読んでいました。３０日より峠の東側で戦いが始まり、今川軍は峠を守りました。しかし、武田方、徳川方は重臣にも内通を呼びかけており、朝比奈氏・葛山氏など２１名が秘かに武田方に内通しました。身の危険を感じた今川氏真は清見寺を脱出して駿府の今川館に逃れ、駿府の北西にある詰城・賤機山城に籠城しようとしました。しかし、今川氏真の撤退が最前線に伝わると総崩れを起こし、これを追いかける形で武田軍は薩埵峠を突破し、その日のうちに駿府に突入しました。武田軍の先鋒・馬場信春は、直ちに賤機山城を占拠して今川軍の退路を断ちました。このため、今川氏真の計画は破綻し、やむなく重臣で今川氏に従っていた朝比奈泰朝がいる遠江の掛川城に向かって落ちのびました。この時、北条氏康の娘であった今川氏真の正室・早川殿は、乗り物を得られずに徒歩で駿府から脱出しました。こうして、今川氏の本拠地・駿府は陥落しました。馬場信春は、駿府の町と今川館を焼き払って廃墟にしました。武田信玄から、今川館に今川氏代々の貴重な宝物があるため火をかけてはならないと命じられていましたが、敢えてこれらの宝物を焼き払いました。その後、その事を追及された馬場信春は「武田氏は今川の財宝が目当てで駿府を攻めたと思われては名折れである」と言い、武田信玄もこれを認めました。
その次に、中村屋創業です。中村屋は、東京都新宿区に本社を置く老舗の食品メーカーです。一般には老舗の「新宿中村屋」で知られています。和菓子・洋菓子の他、菓子パン、中華まん、レトルト・缶詰のカレー等を製造販売している他、デパ地下やショッピングセンター等に菓子の名店として出店（直営店１６０店）、レストラン（直営店２０店）を営業しています。関東で販売される「中華まん」のシェアトップを占めており、コンビニエンスストア向け業務用食品も販売しています。１９０１年１２月３０日、現・文京区本郷の東京大学正門前にあったパン販売店「中村屋」を相馬愛蔵・黒光夫妻が買い取り、個人経営で創業し、独創的なパン・食品を作りました。１９０４年にはシュークリームをヒントに現在もポピュラーな菓子パンである「クリームパン」を考案しました。１９２７年には現在の「中華まん」の元となる「中華饅頭」を発売しました。これが現在の「中華まん」の始まりとなりました。１９１８年に娘がインドの独立運動家のラス・ビハリ・ボースと結婚をした事から、本格的なカリーの調理を学び、１９２７年に当時の日本では珍しい「純インド式カリー」を販売しました。本店のカリーのキャッチフレーズ「恋と革命の味」はここから生まれ、引き継がれました。フランスパンを日本で最初に発売した京都の「進々堂」創業者の続木斎や、「山��製パン」創業者の飯島籐十郎も相馬のもとで勤務していました。新宿本店には愛蔵・黒光の人柄に惹かれた文化人が盛んに来店しました。その中にロシアの童話作家ヴァスィリー・エロシェンコもおり、彼がレシピを伝えたボルシチも、カリーと並び本店レストランの開店以来の人気メニューとなりました。また、エロシェンコが着用していたロシアの民族服ルバシカが、その機能性から店員制服として採用されました。
その次の次に、世界初の社会主義国家・ソビエト社会主義共和国連邦が建国です。ペトログラードのデモに端を発する１９１７年の「２月革命」後、漸進的な改革を志向する臨時政府が成立していましたが、「第一次世界大戦」でドイツ軍との戦線は既に破綻し、国内の政治的混乱が収拾していませんでした。８月にラーヴル・コルニーロフ将軍による反乱が失敗した後、「ボリシェヴィキ」に対する支持が高まりました。そこで「ボリシェヴィキ」は武装蜂起をして権力を奪取した「十月革命」を起こしました。これが「ロシア革命記念日」です。その後の列強による「干渉戦争」や「ロシア内戦」にも勝利して権力を確立しました。「ボリシェヴィキ」は１９１９年に「共産党」と改称しました。また内戦中に戦時共産主義を導入しましたが、これは農業と工業の崩壊という結果に終わりました。１９２１年よりネップ（新経済政策）が導入され、経済はようやく持ち直しました。「ロシア内戦」が終わった１９２２年、第１回全連邦ソビエト大会が開催され、１２月３０日に「ソビエト社会主義共和国連邦」の樹立が宣言されました。しかし、その僅か１年１ヶ月後の１９２４年１月、ウラジーミル・レーニンが死去しました。レーニンの死後、共産党政治局内での権力闘争の末、ヨシフ・スターリンが権力の座につきました。彼は世界革命を唱えたレフ・トロツキー、レーニンの側近だったグリゴリー・ジノヴィエフやレフ・カーメネフ、レーニンから「党の寵児」と呼ばれたニコライ・ブハーリンなどを次々と排除し、独裁的権力を握りました。スターリンはネップを終わらせ、計画経済への転換によるソ連の工業化をはかりました。１９２８年から「第一次五ヶ年計画」が始まり、鉄鋼生産の増強、農業の集団化、電化や機械化に重点を置いた「工業化」が達成されました。同時期に欧米諸国が世界恐慌によって多数の失業者を輩出し、経済を縮小させたのと比較して、ソ連の経済成長率は世界最高を記録しました。 しかし一方で、「コルホーズ」に代表される強引な農業集団化は農民層の強烈な抵抗に遭い、最終的にはソ連の農民層は大部分が工業労働者となったりして集団農場に組織されたましたが、弾圧や飢餓で多くの犠牲者がでました。また、白海・バルト海運河計画などの大規模インフラの建設には、集団化に抵抗した農民や弾圧された共産党員たちの、囚人労働者が動員されていました。スターリン時代の「大粛清」時（ピークは１９３６年〜１９３８年）には、多くの党員や軍人、国民が死刑もしくは流罪などにより粛清されました。この頃には、流罪の受け入れ先として大規模な強制収容所（シベリアのコルィマ鉱山など）が整備されました。「大粛清」による犠牲者数は、当時行われた正式な報告によると、１９３０年代に「反革命罪」で死刑判決を受けたものは約７２万人とされています。スターリンは、ソ連は経済建設期にあり、深刻な戦争には耐えられないと考えていました。そこで彼は西方の安全保障を確保するために１９３９年、それまで敵対していたドイツと「独ソ不可侵条約」を結びました。同年のドイツ軍の「ポーランド侵攻」の際には「ソ連・ポーランド不可侵条約」を一方的に破棄して侵攻し、ポーランドの東半分を占領しました。また「バルト三国」に圧力をかけ、ソ連軍の通過と親ソ政権の樹立を要求し、その回答を待たずに３国に進駐し、親ソ政権を組織して併合しました。こうして「第二次世界大戦」勃発のきっかけをドイツと共に作りました。
最後に、日本初の地下鉄開業です。日本に地下鉄を敷設する計画は、１９０６年に東京地下電気鉄道が高輪−浅草間及び銀座−新宿間の免許を申請したのが初です。これは実際に建設する事を目的にしたというよりも、欧米の地下鉄敷設状況を知り、先行して鉄道免許を取得しようとしたものでした。しかし、東京市の反対もあり却下されてしまいました。その中で１９１５年、東京駅の地下を走行する郵便物貨物専用の地下鉄が開通しました。建設を前提としての免許申請は１９１７年、早川徳次によって申請されました。１９１４年にロンドンの地下鉄を見学した早川徳次は、東京への地下鉄導入の必要性を痛感しました。東京軽便地下鉄道を設立し、高輪−浅草及び上野−南千住間で「軽便鉄道法」による敷設免許を申請しました。計画によれば総延長１５．３キロ、軌間は１３７２ミリ、電気は第三軌条式です。１９１９年１１月１７日に東京軽便地下鉄道に、免許が交付されました。東京市より免許交付を受けた早川徳次は、１９２０年に「東京地下鉄道株式会社」を設立、１９１９年に「軽便鉄道法」から「地方鉄道法」に従い、計画軌間も１４３５ミリへと変更しました。そして、地質調査を進めた結果、１９２３年に新橋−上野間の工事施行認可を受けました。しかし、９月１日に発生した「関東大震災」の影響で施行区間を上野−浅草に変更し、１９２５年９月２７日に着工されました。東京地下鉄道によるオープンカット工法を採用した深度１．５メートルの路下式地下鉄は、着工から２年後の１９２７年１２月３０日に開業しました。車両は１０００型と呼ばれる全鋼製車両で、日本初のドア・エンジンを採用しました。安全面ではニューヨークの地下鉄同様、打子式の自動列車停止装置を採用し、安全畳垣も装備していました。１９３０年１月１日には万世橋、１９３１年１１月２１日には神田までと順調に伸延され、１９３４年６月２１日には新橋までの路線が完成しました。一方、東京市より免許を譲り受けた「東京高速鉄道株式会社」により、東京に２本目の地下鉄建設工事が１９３５年に開始されました。着工区間は渋谷−新橋で、１９３８年１１月１８日に最初の青山六丁目（現・表参道駅）−虎ノ門が開通したのを皮切りに、１９３９年までに渋谷−新橋間の６．３キロを営業供用しました。１９４０年には先行する「地下」と線路がつながり、渋谷−浅草間の直通運転が開始され、現在の「銀座線」の形が完成しました。また、空襲被害を受けた際の防空壕としての用途も考慮され、１９４１年３月７日に「帝都高速度交通営団法」を制定、７月４日に特殊法人の「帝都高速度交通営団」（営団地下鉄、現・東京地下鉄株式会社（通称「東京メトロ」））が設立され、「地下」、「高速」の２社が「営団」に統合されました。
今日の誕生日：東條英機（第４０代内閣総理大臣）、マイク・ネスミス（元モンキーズ）、デイビー・ジョーンズ（元モンキーズ）、ベン・ジョンソン、小川菜摘、元木大介、タイガー・ウッズ、藤田憲右（トータルテンボス）、戸田和幸、小島太一、藤原さくら、植村あかり（Ｊｕｉｃｅ＝Ｊｕｉｃｅ）
今日の記念日：地下鉄記念日
今日の「今日訓」：本日は、１９２７年に日本で初めて地下鉄が、東京の「上野〜浅草間」２．２キロが開通した事で「地下鉄記念日」となりました。
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