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2019年12月28日00:45

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インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」、観ました。
3回目です。
というか、DVDを持っているので、いつでも好きな時に観れるのです。
まだレンタルDVDを利用してなかった頃に買ったDVDの中で、
一番貴重な1本になりました。
中には、「どうせ買うならもっと他にいいのがあったのに」
と思うようなものもあるのですけどね。
1994年リリース、監督がニール・ジョーダン、アン・ライス
の『夜明けのヴァンパイア』という本を原作としている、ということ。女性作家です。
そして、223,664,608ドルの興行収入、224億円くらい?大ヒットです。

まあ、とにかくこの映画で最初に思ったのは、ブラピが病的に美しい、ということでした。
でも最初、違和感もあったのですよ。
「こんなに健康的、体もがっしりして、いかにも健康優良児みたいな人がバンパイアなんて、なんか変・・・」と思ったのです。
バンパイア映画って、たくさんあるけど、演じる人に、共通のイメージがあるんですよね。
「貴族的、インテリ、中性的な美しさ。そして痩せこけて病気みたいな人」、という。
大学のボート部に所属していて有名選手、という雰囲気を持ったバンパイア、といういうのは笑っちゃいます。
でもすぐにーーー始まって大して経たないうちに、体は健康体に見えても、貴族的な雰囲気や複雑繊細なインテリ風な点が、スポーツタイプの雰囲気を消して、バンパイアにふさわしく見えてくるんですよ。

トムクルーズには驚きました。
この人、アイドル的なイメージ?二枚目俳優として名を馳せた人だったはずなのに、後半になると、見るもおぞましい化け物になるんだもの。
ーーそこは吸血鬼、生身の人間じゃないからすぐにまた、元に戻るんだけどーー
この映画はですね、大変豪華キャストでできてます。

ブラッド・ピット、トム・クルーズの他にインタビュアー役にクリスチャン・スレーター、子役のキルスティン・ダンスト、他アントニオ・バンデラス等。

たまきはこの映画を観ていて、「これを書いた人はシェークスピアに影響を受けていそうだな。ま、彼に影響を受けてない作家を探す方が大変かもしれないけど」と思いました。
セリフが耽美的で、詩的です。
音楽も美しいです。
エリオット・ゴールデンサールで、主題歌はローリングストーンの「悪魔を憐れむ歌」ーーークラシック音楽風から、急にロックの主題歌が流れるあたりの使い方も気に入ってます。
サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジの上を車で走る吸血鬼、という最後のシーンも印象的だったし。

映画の冒頭、ブラピ演じるルイがインタビューを受けるシーンに続いて、彼の回想シーンの最初に流れる音楽と港のシーンが美しくて、「ああ、これはいい映画だな」とすぐわかった。
それにブラピのあの深い、内省的な声で流れるナレーションが重なって、いきなり息を詰める感じで見入ってしまいます。

そう言えば、この映画は全て夜。
夜のシーンしかないんですね。
まあ、吸血鬼ものなんだから当然、と言えば言えるけど。
廃屋のような建物の地下、棺桶、動物の死骸、人が次々に殺され、喉に噛みついた吸血鬼達の真っ赤な血の滴る口、といった凄惨なシーン・・・それら全てが、一つの美学で彩られて、観ていて不思議な気持ち、感情に包まれます。
うっとりするような、おぞましいような・・・
行が止まるほど恐ろしいシーンもあったのだけど、それがまた、とてつもなく美しくてエロティック、魅了されるシーンでもあるんですよ。


ブラピ演じるルイは、常に二つの感情に悩まされてるんです。
「人の血を吸いたい」という、吸血鬼としての本能と、「そんな残酷なことはできないし、すべきではない」という。
それに対してトム・クルーズ演じるレスタトは、自分に血を吸われる人間に対する哀れみの感情はほぼ、皆無なのです。

彼はただ、貴族的な、バンパイアとしての美学にとてもこだわっているし、人間を平気でランク分けしたりもする。
貴族らしい残酷さで、人間をただの食べ物、自分達に奉仕するもの、という見方ができる人なんですね。

それに対してルイはーーあ!この人、フランス系のアメリカ人です。ルイという名前が、いかにもフランス的ですね。
レスタトとは全く違う人格、人生観、というかバンパイア感を持って、とても人間的です。
美学なんてあまり興味がないし、ただ、愛する人に飢えているし、生と死の間のような存在になってから、というもの、
「生」とは何か?
そこに幸福や希望といったものはあるのか?
というようなことを考え続けているみたいなんです。
それでいて、現実には人を殺せないので、常に血に渇き、人の血を吸いたい、という本能と、罪悪感との間で苦しんでるんですね。

そこに現れたのがキルスティン・ダンスト演じるクローディア。
ある意味、ルイ以上にたまきが興味を持ったのはこの子です。
幼いころに上記二人のバンパイアによって自分もバンパイアにされたので、彼女は幼いまま、何十年でも年を取らないのです。
しかし数十年経って、人生経験(バンパイア経験?)だけは
たっぷりある子が、体は子供のままって、どういうんだろう?
頭脳は発達するわけですよね?
バンパイアは怪我をしても自己治癒力がすごくて、数秒で血が消えてしまう。
他、あらゆる点で人間とは違う生き物だけど、元は皆、人間だったので、まだ半分は人間なんだと思うのだけど、通常はよくよくのことがない限り、永遠の命を持っているのですね。
でも体は年を取らないのに精神は立派な大人の女になってしまった彼女は、子供?大人?
バンパイアに、12歳の時?なってから、子供特融の率直さと残酷さで、平然と人間を殺して血をすすることができるし、思ったことをストレートに発言、行動をする辺りも子供らしさは大いに残ってるんだけど、妙に醒めた、皮肉な見方をする辺りは大人・・・
キルスティンは非常に魅力的に、ミステリアスにこの子供の
吸血鬼を演じてました。
観ていて興味が尽きません。
彼女の演技は、「クローディア役でボストン映画批評家協会賞助演女優賞などを受賞し、ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされた。」ということです。

そして自分の保護者、つまり親代わりになってくれた、この二人の男性に対しても、ちょっと複雑でミステリアスな感情を抱いている・・・悩まず、ケロリとして。
ルイに対しては、愛する父親に対するように、時には恋人に対するように接するけど、レスタトに対しては殺意を抱くようになる。

ルイも、この子に対して複雑な感情を持ってる。
彼は、クローディアを見た瞬間、欲望を制止しきれなくなって、彼女の首に噛みつき、血をすすってしまう。
吸血鬼としての本能と、美少女に惹かれる気持ちが一緒くたになって、突然襲ったのだけど、ここ、すごいですよね。
この人は普通の人間を襲って血を吸うことが、良心の呵責でできないのです。
なのに、強く心惹かれる少女に対しては、一瞬にして襲う、ということができた。
そしてそのまま、彼女を自分達の仲間にして、生涯をかけて彼女を守り、愛し抜こう、とするんだから。
でも、彼女に吸血鬼としての命を与えたのはルイではなく、レスタトだったの。
これが後々、大きな意味を持ってくるのです。

彼女から見れば、表面的には、ルイとレスタトの間には、親代わり、という立場上の共通点があり、それ以上の違いは何もないだろうと思えるのに、レスタトに対してのみ、「大人の体」をいつまでも持てないことに対する激烈な不満を向ける・・・
う〜ん・・・子供って不思議。
そう思いながら、一方ではとてもストレートに彼女の気持ちが伝わってくる感じもするんですよ。
深く考えない・・・・やはり子供なんですね。
二人とも悪者にしてしまうと、自分を守ってくれる人がいなくなってしまう。
だからレスタト一人を悪者にして、愛するルイと共に二人だけになろうとする・・・やはり子供特有の残酷さと我儘さが
色濃く感じられる。
面白いですね。

でもやはり一番興味深いのは、ルイです。
我々人間の感情に一番近いこと、そして彼は強く、良心と
善人の部分を持っている、そして複雑な思考力を持った人だから、なんですね。

たまきはこれを観ていて、こういう配役って、どうやって決めるんだろう?
と、興味をもって考えてました。
ブラピって、必ずこういう、絶対に悪人になりきれない人を演じるんですね。
そこが彼に弱さを与えて、複雑な人格を形成している、というような。
そして実際、彼はそういう人なのだ、と思うのですよ。
ハリウッドの制作者達って、よく見てますよね、人を。
悪人としての面が極端に欠如してるような人に、極悪人を演じさせたりしないし、その逆もしてない。
トム・ハンクスやグレゴリー・ペックみたいな人が悪人を演じよう、としても無理だし。
もしこれを、トム・クルーズとブラピを逆の役でやったら、
この映画は失敗していたでしょうね。
勿論、ハリウッドの制作者達は切れ者だからそんなことしないし。

ブラピはいつも、正義と人間の欲望、悪の部分、という、複雑な要素を持ち、それを表には出さない分、内面の複雑な人格の人を演じているように思います。
これは、彼の本質に近いのだ、という気がするんですね。
だから配役をする人達って、人を見抜くんだな…と感心したのです。

ちなみに、バンパイア物の映画は多数ありますが、その基となった物語は、「アイルランド人の作家、ブラム・ストーカーの恐怖小説『吸血鬼ドラキュラ』(1897年)に登場する男性の吸血鬼。」ということです。
が、ドラキュラはあくまでも固有名詞。
吸血鬼全般を指す名前ではないんですね。
あと、「ドラキュラのモデルは15世紀のワラキア(現ルーマニア南部)公ヴラド3世(ヴラド・ツェペシュ、ヴラド・ドラキュラ)という人だそうです。
面白いことがわかりました。
ドラキュラ、という名前は父親の「ドラクル」の息子のこと、「ア」が息子を現すので息子はドラキュラ。
そしてドラクルという言葉はルーマニア語でドラゴンのことを言うのだそうですが、もう一つの意味は「悪魔」です。
彼は確かに、噂ではすぐに召使などを処刑してしまう人なので、血を好む残酷な人、「悪魔」と渾名されていた、それが「ドラキュラ伝説」の基となった、という話も聞きました。
が、単なる噂か、本当の話かは、わかりません。

これ観るの3回目ですけど、3回目にして、また新たに大きな刺激を受けました。
ああ・・・たまきも何か物語を書きたいな。

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