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2019年12月15日23:17

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日本フィル 横浜定期演奏会@353 広上さんのバッハと東京音大の第九

2019.12.14 18:00〜 於:みなとみらいホール

(前半)
J.C.バッハ
 シンフォニア 変ロ長調 op.18-2

(後半)
ベートーヴェン
 交響曲第9番 ニ短調 op.125

指揮:広上 淳一

ソプラノ:中村 恵理
カウンターテナー:藤木 大地
テノール:吉田 浩之
バリトン:大西 宇宙

合唱:東京音楽大学

コンマス:田野倉 雅秋
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

例年この時期はめっきり冷え込み澄んだ空気に横浜の夜景が映えるのですが、土曜日の最高気温は17度! 今年の異常な天候を総括するような暑さを感じつつ、師走のみなとみらいへ向かいました。

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前半はバッハ。通常、第九の時の前半はオマケ、前座的な短い曲が多く、これでオーケストラも温まりお客さんも音楽を聴く状態まで心を落ち着かせる事が出来ます。今回はJ.C.バッハの10分ほどのシンフォニア。ちょっと遅れて舞台に現われたマエストロを眺めつつ、汗をかいた体と心拍を整える事に集中しようと(油断)していると、古典特有のメリハリがあり小気味良い響きと自然と聴感をフル回転にして弦の細かい動きを追う快感が体を走ります。広上さんの明確(勿論素人の私は分からなくて、きっと分かり易いだろうという想定)な指揮も刺激的です。

「ああ、バッハは素敵」

現代楽器の限界や年の瀬の独特な雰囲気が(聴く側に)影響してか、いわゆる室内楽的な音作りとは違う感じはありましたが、それなりに快適なサウンドです。

「ああ、広上さんの回で良かった」

バッハと言っても末息子なので、音楽はモーツアルトに近い感じです。andanteに入ると優しいメロディーが弦楽器とオーボエのユニゾンで奏でられます。オーボエの音に極端にうるっときてしまう私はここでうっとり音楽に身を委ね(第九をじっくり聴く体制の)準備完了となりました。それにしても今日のオーボエ(松岡さん?)は職人技が光りました。クラリネットも同様。木管のおじさん達にもう少しこのまま心を奪われていたい・・と思いましたが曲は再び祝祭的で賑やかな調子に戻りフィナーレとなりました。前半からブラボーが出るのは久しぶりな気がします。

前半の演奏時間より長い休憩を挟み後半(第九)です。

今回の演奏、何と言うか、音楽がじわじわ盛り上がり、マエストロの意図もだんだん明確に(私にも理解できるように)になる、そして極めて音楽指導者的なタクトが、エネルギッシュな音大のコーラスにも良い影響を与え、例年にも増す名演になったと感じました。

先ず第九の時期には仕方のない事ですが、馴染みの演奏者があちこち欠けており、オケのバランスがあまり良くない・・というのが最初の印象。メリハリや抑揚もそれほどはっきりせず「悪くないけど少しぼんやり?」という感じ。

ところが、この「もやもや」は「これでもか!」と、こだわった「ティンパニ」の強打によって強い緊張感と纏まりが生じ、とてもスリリングになって行きます。
同様にコントラバス、チェロ、ヴィオラなど中低音系の響きも強調されていて、重厚感やメリハリも加わります。

演奏中はあちこちに施されたこの「味付け」が面白くてマエストロの指揮姿とその先のパートの出す音に集中していたため、あっという間に時間が経ってしまい、大好きな第三楽章も一瞬で終わってしまいました。(特に三楽章後半は速すぎで浸れませんでした。。)

そしてソリスト。今回はやや固定化していたメンバが入れ替わり、ソプラノ(女声/女性)をカウンターテナー(男声/男性)に置き換えるなどの変化や、ソリスト一人ひとりのスター性もあり、なかなか華やかな組み合わせでした。
特にバリトンの大西さん、のっけから圧倒的な美声、音量でホールを圧倒します。吉田さんも良く通る心地よいテノールにもうっとり。中村さんのソプラノも安定したパフォーマンスです。そしてカウンターテナーの藤木さん、初めアルトが入れ替わっている事に気付かず「あれ?女声足りなくない?」などと眺めていましたが、最終楽章始まって納得でした。

それにしても、こうした変形パターンでもプロは纏まるものなのですねえ。。

毎年素晴らしい「東京音大」の合唱。今年も期待通りの出来で、本当に感謝!感激!です。

大学なので、学生は順々に入れ替わっていると思うのですが、出て来る音楽のレベルはいつも安定して高く、これは学生さんの質、努力、合唱指揮の先生陣の充実によるものなのだとうなあ、と激しく感じています。

今回はそれに「広上先生」の指導も加わり、うまく消化(昇華)された結果、メリハリ・発音・姿勢、そして声を出す方向(多分天井?)全ての要素が「音」として最高の結果を出したのだと思いました。

最後のヴィオラとの掛け合いでは、音楽(合唱)の中に「宇宙」や「永遠」「普遍」みたいな感覚まで感じる事が出来ました。毎年ですが、ブラーヴィ! ブラーヴェ!

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