職場は人が多く、地下にあるロッカーは部門や職場関係なく割り振られている。自分のロッカーの周りの人は、仕事で関わらない人が多い。
仕事の終わり時間が合わないのか、帰りにロッカーを使うときにあまり他の人に会わない。でも、たまにすぐ近くのロッカーの人に会うことがある。大体自分より若い人なので、ついつい声をかけてしまう。
「おー、ここで会うなんて珍しいね」
とか
「ずいぶん遅い時間までやっているな!。お互いこんな時間までやっててはいかんよな。」
とか、
「おお、なんや、今日は早いがや!」
など、大した話ではない。
ロッカーで周りの人と話す、などということはおそらく今はないのだろうから、声をかけると相手はちょっとビックリしている。しかし、すぐに「いやー、今ピークなんですよ」とか「がんばって進みました」などと言葉を返してくれる。
声をかけるようになってから、しばらくしたら気づいた。私が入社した頃(30年前?!)は、現場や工場も日本にあって、作業のおっちゃんが大勢いた。仕事が終わる時間も揃っているから、定時時間などはおっちゃんの話し声がいっぱいする。
そんな時間に自分がロッカーに行くと、おっちゃんたちは放ってはおかない。
「おー、この前の設備、何とかならんのか?」
とか、
「野球とか見に行くのか? 応援団やっとるやつおるで球場に入りやすいぞ」
とか
「忘年会はやるんか?若いやつはいっぱいいかなあかんぞ」
などと声をかけられた。
別に積極的に会話するわけでもないし、時にはうっとうしかったが、そのちょっとした会話は気持ちをほぐすのに役立っていた。そしてそれが当たり前だった。
今は、そのような会話が見られなくなってしまった。
なんか、それが私にはさみしく思う。だから、つい、近くのロッカーの人に声をかけてしまう。
昔のおっちゃんに、いろいろ声をかけてもらったなぁ。あれは良かったなぁ。懐古趣味や「昔は良かった」のたぐいなのだろうが、今の会話のないロッカーと比べれば、あれが良かったと思うからつい声をかけてしまうのだろう。
30年経ち、昔のおっちゃんに、今の自分はなったようだ。でも、それが自然なような気がする。
https://assoman.hatenablog.com/entry/2019/12/12/231822
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