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2019年10月30日17:16

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内藤コレクション展 ゴシック写本の小宇宙+国立西洋美術館常設展示

国立西洋美術館の版画素描展示室で行われている 内藤コレクション展『ゴシック写本の小宇宙』に行きました。
↓公式HP
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019gothic_manuscripts.html

サブタイトルは“文字に棲まう絵、言葉を越えてゆく絵”。まさにそんな感じです。カリグラフィの美しさ。細密な絵が描かれた装飾イニシャルの美麗さ。1時間時間をとったのですが、とても足りなかった。もっと観たかった。正直企画展のハプスブグ展より、私にはこちらの方が面白かったです。(本好きだからかも知れないが)

まず、こんなに纏めてゴシック期の本を観るコトがない。ほぼ13世紀の物で、良く残っていたよなと。

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入口。入口には、写本の作り方の映像が流れていて、これを観てから展示を観た方が凄さが分かる。羊皮紙に写すのだが、手間がもの凄い。文字を写すのも大変そうだが、金箔貼ったり金泥塗ったり。文字は、まず罫線を引きそこから文字を写していた。金箔は、メノオの棒で擦って磨くんですね。こんなのいちいちやって、どれだけ写すのに時間がかかるんだろう。印刷がなかった時代、本が貴重だった理由も良く分かる。

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ラテン語聖書零葉:創世記(イニシアルI/天地創造)55行のテクスト2欄形式。中央の7個のメダイヨンに天地創造とアダムとエヴァの話を描いている。1225-1235年。イングランド。小さい中に細密に描かれる・文字も小さく細かくて、まさに米粒写経(^_^;)。単眼鏡があって良かった。

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ラテン語詩詩編集零葉:暦 表面5月(鷹狩)裏面(薪集め)1260年?フランドル。小さな暦。詩篇冒頭部に月ごとの祝祭日や主要聖人の命日を記していた。これはそれらしい。他の月の展示もあった。これは5月で鷹狩なので、手に鷹を乗せた絵が描かれている。

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ラテン語詩詩篇零葉:詩篇49(イニシアルD/座る人物)1250-1260年 フランドル 周りに描かれるのは鳥?イニシアル部分の絵の座ってる人は本を読んでいるのか?

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ラテン語詩詩篇集零葉:詩篇109(イニシアルD/三位一体) 冒頭のイニシアルは三位一体を表す。イニシアルの中にキリスト、右に父なる神、2人の間には精霊を表す鳩もいる。この狭い中に、良くそれだけ描くいたな。

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詩篇集零葉:キリストの鞭打ち・十字架を担うキリスト 1260-1270年 パリ これは詩篇の扉絵。上にキリストの鞭打ちの様子、下に十字架を背負うキリストの姿が描かれる。鞭打ち場面にはハンマーを持ってる人もいて、これから磔刑の準備をするのだなと分かる(イエスの手に釘を打つハンマーよね?)

ファクシミリ版…ようは複製なのだが、そちらは本の形になっていて、これまた本好きには堪らない逸品。

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聖王ルイの詩篇 1972年(だったかな?)複製制作。元はルイ9世の持っていた詩篇。ファクシミリ版ってどう作るのだろう?写真撮影するの?その説明もあると良かったかな。

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ファクシミリ版「ランベス黙示録」 1990年複製制作。元はレオノールド・クインシー(カンタベリー女伯だったかな?)の為に1260年に制作された物。

ここから、又、1葉物へ。
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ラテン語聖書零葉:詩篇109(イニシアルD/玉座のキリスト)1260-1270年 パリ イニシアルDの挿絵部分は玉座のキリストの姿。この本は特に小さくて、本当に米粒並みの小ささの文字がみっちり並んでいた。書いた人はきっと目が良い!

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ラテン語聖書零葉:エゼキエル書序文(イニシアルE/鳥の頭部の混成人間)1290-1310年 鳥の頭部を持った人間…ようは鳥人(とりじん。笑い飯の言い方・笑)が描かれている。しかし、どこの神話にも鳥人間いるよね。日本なら迦楼羅様。何故なんだろう?

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ラテン語詩詩篇集零葉:詩篇69(イニシアルS/ 水中から天の神に祈るダヴィデ王)年代も制作地もメモし忘れたが(^_^;)、これもやはり1260年くらいに作られた物だったと思う。イニシアルSの部分の挿絵には水中で祈るダヴィデ王の姿がある。

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キリスト系図。これも面白かった。系図だからキリストの家系がどうなってるかってコトなんでしょうかね。

図録があったら買っていたケド、残念ながら図録はなかった。
内藤氏が、日本の美術館はゴシック関連の作品展示が少ないというコトで、寄贈してくれたとあったかな。確かに、あんまりゴシック期の絵って観ないね。たまに、ジォット展とかやってくれるケド。
綺麗な本(一葉)が沢山観られて眼福でした。

以下、通常の常設展の物。
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説教する洗礼者ヨハネ ロダンの彫刻。これ、手が実際の人間の手より長いんだよね。確かに手を下ろすと、膝くらいまで手がきそう。釈迦如来か!(笑)別にロダンが長さを間違ったのではなく、わざとそうしたらしい。ロダンは写実と言われるケド、そのまま写実ではない。そのままではないから、より本物の人間っぽく見える。

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ダヴィデを装った若い男の肖像 これは部分です。企画展の方にティントレットの作品が来ていて、「この人、ハプスブルグ展の絵の人に似てないか?」と思って撮影した。帰宅後確認したら、そんなに似てもなかった(笑)。似てたの髭と目ぐらいだったよ。

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ホロフェルネスの首を持つユディト 私の好きなルーカス・クラーナハ(父)。この絵を購入してくれて有難う、国立西洋美術館。妙に妖艶なユディト。このユディトはちょっとファムファタルのような、男を堕落させる魔性の女にも見えるよね。

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羊飼いの礼拝&キリスト降架 アントニオ・ベルッチ
おそらく、以前プラド美術館展で、私がいたく気に入った絵がベルッチのだったと思う。そうだよね?名前アントニオだし(スペイン系だよね?)。このザクザク加減の筆致はそうだと思うんだ。その時の絵もザクザク筆致で良かったケド。
イエスを見る羊飼い。方や、天を仰ぐマリアはぐったりと力尽きたイエスを抱えている。

国立西洋美術館はやはり常設展が凄いし面白いと思う。凄くて、後で常設を観ると企画展で観たコト忘れちゃうんだケドね(^_^;)。
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