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2019年10月25日05:31

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世界一素敵なフェラーリスタ (0190 FERRARI 250LM)

フェラーリに乗っている人を羨望と尊敬の念を込めて"Ferrarista(フェラーリスタ、イタリア語)"と言うことがあります。例えば、かなり前のカーグラTVでニューヨークの岡田さんを「世界一素敵なフェラーリスタ｣と表現しています。
https://youtu.be/ROy0OrsO0OA

実は先日、古いスーパーCG誌(No.5、1990年春号)を読み返していて、その岡田さんの記事に接したんです。それでYOUTUBEを探したワケで。
この御仁、ニューヨークでフェラーリLMをアシにしていました。なんともマアいやはや！としか言いようがありません。だってLMって純レーシングカーですよ、稀代の名車250GTO(オークションでのクルマの最高額51億円！本稿0038参照)の後継として登場したマシンです。

250GTOは、FIA(国際自動車連盟)のマニュファクチャラーズ選手権で1962・63年のGTⅢクラス(排気量2リットル超)でチャンピオンとなったのですが、デヴューから月日が経過してそろそろ戦闘力低下が否めないようになってきました。そこで1964年シーズンを闘うために後継車を必要としたのですが、それに対するフェラーリの回答がLMで、1963年秋のパリ・サロンに登場させたというワケです。

フェラーリは、LMを250GTOのエボリューション・モデル(進化型)としてマニュファクチャラーズ選手権(GTⅢクラス)のホモロゲーション(公認)を取得しようとしましたが、FIAはフロント・エンジンのGTOに対してミドシップ・エンジンのLMを進化型とは認めず、ホモロゲーションを与えませんでした。
GTOの時は、前身のSWBのエボリューション・モデルとしてホモロゲーションが与えられたのですけどね。同じフロント・エンジンの似たような構成のクルマですから。GTOという名称の所以ですね(GTOの"O"はイタリア語でホモロゲーションを表すomologatoの頭文字)。
またLMは1963年に32台しか生産されなかったので、新規ホモロゲーション条件(連続する12ヶ月で100台以上生産すること)も満たしておらず、少量生産の新モデルとしてプロトタイプ・クラスに入れられてしまったのです。

そういうワケでGTⅢクラスに入れてもらえなかったLMですが、エンジンはGTOと同じ水冷V12OHC2953ccでした(シャシー番号5149を除いて3286ccという記述も複数あります)。出力は330bhp前後だったようです。それをミドシップに搭載した純レーシングカーで、当時の技術の粋を結集していました(しかもフェラーリの)。4輪ともダブル・ウィッシュボーン式の独立懸架＋ディスク・ブレーキという先進的なシャシーはサーキットを速く走るためだけに作られていて、車重は850kg、最高速度は290km/hと言われています。

LMは"Le Mans"の意味で、ル・マン24時間耐久レースに勝つために作られたようなクルマです。1964年のル・マンでは熟成不足のため1台が16位に入ったのみ(この年は「フェラーリ・イヤー｣で他のモデルが優勝・2・3・5・6・9位)ですが、翌1965年には1・2・6位を占めて溜飲を下げました。

岡田さんは純レーシングカーのLMをマンハッタンで使うために色々と工夫されていたようです。スペアタイヤをエンジンルームに配するなど。
日常的なメインテナンスも当然こなしていらっしゃいましたけど、気難しさと暑さとノイズには辟易してらしたのでは？