ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治 を読了。
児童精神科医で、少年院での勤務経験もある著者が見てきた事例が書かれています。
タイトルの事例はホールケーキのこと。
三等分にして、という問題なのに真ん中を切ってから別の場所を切ってしまったという。
今は核家族化でホールケーキを食べない家も少なくないでしょうが、
問題はそこではなく。
後先考えず最初に真っ二つにしてから悩んだり、
明らかに出来ていないのに出来た、としてしまう、
思考範囲の狭さや認知の歪みがあるということでしょう。
そういった基礎的思考力自体が低い子とそうでない子で対応を分けないと
根本的な解決にならないのに、現状ではそれが出来ておらず
歪が生まれているのだと。衝撃でもあるし、確かに、ともなりますね。
勿論そういった子供だからといって、被害者がいるというのは変わりませんけれども。
刑罰が新たな被害者を作らないために存在するのであれば、
闇雲に隔離するのではなく、
基礎認知を向上させ、孤立させない環境を用意しないと、と。
以前読んだ麻薬中毒関連の新書とも大分重なりますね。
全員がそうというわけではないでしょうが、
人は孤立していると健全な精神を保つのが難しい。
そういった理由で犯罪を犯してしまった人にどう対応すべきか。
今の社会の抱える難題の一つなのだと考えさせられる本でした。
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