”僕たちのラストステージ”
4月に公開された映画、チャップリンやキートンと並ぶ戦前に活躍した
喜劇役者ローレル＆ハーディの伝記映画。
その頃忙しくて見逃したけれど、名画座でかかっていたので鑑賞。
1937年、スタン・ローレル（スティーヴ・クーガン）とオリバー・ハーディ
（ジョン・C・ライリー）によるお笑いコンビ、ローレル＆ハーディは、
観客からも批評家からも愛され、出演映画は世界中で上映され、
ハリウッド・コメディ界の頂点に君臨していた。
1953年、ローレル＆ハーディは、イギリスでホールツアーを開始するも、
既に二人は過去の人になっていた。待遇は悪く、客席もガラガラ。
互いを笑わせあいながら、過酷なツアーを頑張って続けるうちに、
やがて二人はファンを取り戻していくが、ある日の口論をきっかけに、
オリバーはコンビ解消を心に決め、スタンに「引退する」と告げる―――。
（公式HPより）
とても暖かい映画でした。
二人の友情、楽しいコンビ芸、そして芸人としての誇りが満載、
最後のステージのシーンでは気がついたら涙が流れてました。
冒頭の全盛期の撮影前の楽屋での馬鹿話から撮影スタートする、
長いワンカットのシーンで二人の人となり、周りの人との暖かい関係、
そして彼らの素晴らしい息のあった芸が流れるように語られ、
すぐに映画に引き込まれます。
そこから16年後、すっかり落ちぶれた二人の復活をかけたイギリスツアー、
客は少ないけれど二人のやる気は衰えてない。それはツアーを成功させて
念願のロビンフッドの映画を撮るという目標があるから。
過去には、ローレンが搾取され続けた事務所から独立しようと先に抜けたのに、
借金があったハーディが抜けることができず他の相方と組んだという
仲違いの時代もあったけれど、それも水に流して。
今までしなかったマスコミ向けのサービスをしたりして、最終公演地ロンドンに
向けて次第に人気が出て、何かと言い争う二人の妻たちも彼らの勇姿を見ようと
アメリカからやってくる。しかしひょんなことから諍いが起こり、
さらにはオリバーが心臓発作で取れてしまい、念願のロンドン公演は中止に、、、。
ここから先の展開がもう、コンビ二人の家族とは違う絆の深さ、
病気の相棒に舞台を続けさせるのかの葛藤、
動けない相棒が進めた代役と公演をするのか？
芸人が舞台を降りる決意、最後の舞台にかける意地と、感動が続きます。
最後のカーテンコール、身体の負担が少ない歌で良かったのに、
踊りまで踊ってしまう二人の芸人魂に涙、涙でした。
全編にちらばめられた二人のネタ、今の笑いから見るとゆるいですが、
時々吉本新喜劇ばりのベタな動きの連続で大笑い、息のあった踊りにほっこり、
老若男女誰にでも受け入れられる笑いです。
それらを見事に再現させた二人の主役の演技が見事でした。
二人の妻のいがみ合いもいいアクセントになってます。
今回の上映では名画座らしいサービスで上映後、
彼らの作品が4分ほど上映されました。
実際の彼らをみて、映画の二人の容姿とギャグが本人たちと
そっくりなのに改めてびっくりしました。
特にピアノ運びのネタが傑作。
チャップリンほど知名度はありませんが、才能あるコメディアンの芸、
そしてその生き様を知ることができる、素晴らしい映画でした。
ちなみに9/18からDVD発売です。、
今回見に行った名画座は歴史ある飯田橋のギンレイホール、
上映前にビロードの緞帳が左右に開く由緒正しい映画館で、
古き良きコメディアンの映画を見るのにぴったり。
https://www.youtube.com/watch?v=2-j0zYFEUQo
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