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2019年08月31日03:27

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【映画日記】『ガルヴェストン』〜僕は好きです〜

 8月30日、金曜日。

 あまり眠られないまま朝に起床。痛風の薬は効くのだけれど、僕の場合、副作用が酷く、医師が「あちゃー。その副作用出たかー。じゃあ、ダメ。普通の痛み止めで」となった。よって、けっこう痛い……(TT)

 買い物に行って、帰宅してからセコセコと自宅で仕事。

 「もう少しで一段落つくけど、『東京裁判 デジタルリマスター版』、観たいなあ。明日からは、とてもとても小さいハコでの上映になるから行くなら今日だな。よし、行こう」と思った直後に電話が鳴った。職場からであった。

 一瞬、「僕がミスったのか…… あわわ……」と慌てたが違った。違ったけれども対応はしなくてはならない。「無理して来なくてもイイよ」とのことであったけれども、行ける時に行っておかないと、次の出勤日に惨たらしい発作が起きたり、倒れたり、事故に遭ったり、天災の可能性もゼロではないし……、と考える。これは性格だ。遠出している最中なら「無理です、すみません」と言うけれども、そうではないから行こう。ただまあ、「無理して来なくてもイイよ」なので、半ば押しかけだ。だからタイムカードは押さない。

 行った。着いた途端にバケツをひっくり返したような大雨。そして雷。「あー、こりゃあ、しばらく帰られないな。傘を借りてもビチャビチャになるわ……」と思い、まず最優先作業。次いで、「今、やっときゃイイや。なーーんにもしないでボケーっとしているよりはイイだろう。後が楽になるし」と思い、他の作業も。

 なんだかんだで4時間ちょっと。丁度良く雨も止んだ。ただなあ、スクリーン、見つめたいなあ。今日、昼間はそのつもりだったわけだし。

 というわけで、遅めのレイトショーにあたる時間帯に1本観ることにした。1時間半ほどなので終電には間に合うし。

 上映まで1時間ちょっと時間があったけれど、それまでは、他にすることは探せばあったし。


●『ガルヴェストン』

 原作はアメリカ小説。ニック・ピゾラットの『逃亡のガルヴェストン』(ハヤカワ・ミステリ:刊)。これは面白いですよ。おすすめです。2009年に邦訳版が出て、なんとなしに読んだら「おー! 面白い!」と。

 監督は『イングロリアス・バスターズ』、『オーケストラ!』で注目されたフランスの女優、メラニー・ロラン。監督作品も複数あり、将来を嘱望されている才媛。まだ30代! 若い! 尚、本作はアメリカ映画。脚本を書いたジム・ハメットはニック・ピゾラットの変名です。

【裏社会で生きてきたアウトロー! 突然かつ非情な末期癌宣告! 組織は男を切り捨てた! 居合わせた美しき娼婦との逃避行が始まる!】というスジなんだけど、これ、一か所、ブラフ仕掛けてます。

 主な舞台はテキサス州の港湾都市ガルヴェストン。メキシコ湾に浮かぶ島ですね。そこに逃げる。

 本筋部分の時代設定は1988年。現在時制は2008年。原作は時間軸をシャッフルして構成しているから、大方の展開は読めてしまう。けれど、それはそれで良いストーリーテリング。けれど、映画版は時系列に沿った構成になっているので、展開が読めない。それもまた良し。原作に忠実な映画化も良いけれど、そうでないのもアリでしょう。

 主役のアウトローを演じるのはベン・フォスター。地味だけれど良い俳優ですね。ヒロインの娼婦役はエル・ファニング。もう【ダコタ・ファニングの妹】とは呼ばせない!、とばかりに、立派に一本立ちしている。僕はエル・ファニングの方が好きだな。演技はダコタ・ファニングの方が上手いけれど、最近、逆転しつつあるように思う。本作でも、よくある【爛れきって落ちぶれた娼婦】という風ではなく、可憐で美しく、それでいて同時に哀感を纏っている。まだ幼さの残る顔立ちで、マスクで言えばダイアン・クルーガーやジェニファー・ローレンスの方が好みなのだけれど、これはエル・ファニングがぴったりでしょう。

 ただ、本作は評価が分かれるだろうなあ。タルいといえばタルいもの。けれど、僕は随所に挿入される風景描写や、けだるさ・やるせなさを伴ったムードがとても好みだった。

 終盤の捻り(というか、オチというか)には、「そんなのアリかよ!?」と思いつつ、笑いさえしたけれど、決して悪くは無い。

 尚、早くで、主人公たちを警戒しながら宿泊させるモーテルの女主人を演じたおばちゃん女優の存在感&演技が◎。只者ではない。助演の鏡。

 助演といえば、チラリとボー・ブリッジスが出演していたのにも驚いた。ロイド・ブリッジスの息子にして、ジェフ・ブリッジスのお兄さん。もう77歳なのだなあ。スクリーンで目にするのはとても久し振りで嬉しかった。チョイ役だけれども、重要な役どころでキッチリと場を引き締めてくれる。
 
 手持ちとフィックスの使い分けや、シネマスコープ・サイズの画面を活かすべく計算された撮影にも唸った。

 僕は概ね好きですよ。先述した「そんなんアリか!?」な展開はまあ御愛嬌ということにして、ね。

 機会がありましたら、皆さんもどうぞ。10月初めにDVDもリリースされますし。

 いやー、しかし、上映時間90分ほどというのは、イイ! 正直、2時間超えの作品が多過ぎるんですよ。封切館だと予告編の垂れ流しで10〜15分は取られるけど、そういうのは余程の大作だけでイイと思うんです、正直なところ。その点、本作はコンパクトで良かった。

 鑑賞後、駅までダッシュしたが、目の前の終電に飛び乗ろうとしたらドアが無情にも閉められた。別ルートで帰宅。1時頃になっちゃった。余分に交通費も掛かったし。エンドロールを最後まで観たからだな。でも、観たいし。ワンシーン挿入や付け足しがあるかも知れないしね。

 いやあ、それでも観て良かったですよ。僕は好きです、コレ。

 とびきりじゃあないけれど、オススメしたい作品でした。

 と、以上です。


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