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2019年08月11日06:45

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GSOMIAに関する考察。

GSOMIAに関しては非常に情報が少なく、その実態は調べ難い。喋りたがりのコメンテーターたちが内容をほとんど解説しないことを見ても、あまり多くの情報は出回っていないと思われる。
ただ、ものが「情報保護協定」である以上、一般的な企業間のそれから類推して、ある程度確度の高い推測が可能だろうとは思う。

・情報をランクづけし、その取り扱い基準の合意
・情報の通達と、報道に関する合意
・保存方法など具体的な制約の合意
・情報の譲渡しの義務

などだろう。ランクづけとは、例えばAランクは同盟国なら共有していいよ、Bランクは敵対国以外なら共有していいよなどの取り決め。報道に関しては、情報を入手したからと言ってすぐに公開されては困る、というような取り決め。情報共有の順序や意図的な序列化もあるかもしれない。保護方法はインターネット接続されているサーバーには保存しないとかそういう実務的な取り決め。譲渡しの義務は、例えば「北朝鮮に関する情報は隠さないでね」「じゃあこっちはロシアに関する情報は全部渡してね」というような合意。

なので、世間一般に取りざたされているような、イコール軍事同盟とはちょっと違うように思う。軍事同盟がなくてもGSOMIAは締結できるし(現状がそう)、逆もできる。


これに関して面白いのは、各国の態度だ。日米韓に話を限定するが、
韓国:破棄すれば日本は困る、自分は困らないと思っている。
日本:破棄されても別に困らないと思っている。
米国:日米間で破棄されると、同盟が揺らぎ、破棄にさえいたると思っている。
と、三者三様に別れている。

まず締結の経緯を調べてみると、米国の要請で、韓国にメリットを与える意味で締結されているので、やはり米国はこの協定が軍事同盟に匹敵するほどの重要なものだと考えていて、日韓はそれほど重要に感じていないことがわかる。ちなみに多国間でGSOMIAを結ぶこともあるが、日米韓で統括的に結んでいないのはやはり日韓の特殊な事情があるからと考えるべきだろう。

韓国、日本は、それぞれ破棄されても困らないと思っているが、韓国がこれをちらつかせるのは米国を介入させ、日韓関係を改善したい思惑があるからだと言われている。日本をビビらせて一歩引かせたいわけだ。
 日本がそれを困らないと思っているのは、まず政治的に一歩引かないという決意があることが大きい。しかしここでは政治を抜いて軍事だけで考えてみると、日韓共に
「GSOMIAを破棄されても米国から見捨てられることはない」
という計算が働いていることになる。しかし米国は、GSOMIAの破棄が軍事同盟の決裂にいたると分析している。となると問題は「決裂されるのはどっちか?」という点だ。

日本人であることの贔屓目を差し引いたとしても、人口や地理的条件から、日本が切り捨てられる可能性は極めて低いだろう。となると、韓国の行動は自殺行為に等しい。
しかし韓国は米国の意図を読みきれていないと思われる。

先日の北朝鮮の弾道弾ミサイル発射問題で韓国が正確な追尾ができず、日本は追尾ができていたことを考慮しても、日韓GSOMIAのメリットは韓国の方が大きい。それにもかかわらずに韓国が破棄しても「困らない」と考えるには、相応の理由がいる。これは推測でしかないが、日本に対する普段の態度から推測すると、韓国は情報を日本からもらう分には問題がないと考えているのだろう。

どういうことかというと、GSOMIAは言ってみれば「貸したDVDを傷つけずに返すための取り扱いの約束」に過ぎないから、韓国はその取り決めをしなくても「DVDを借りること自体はできる」と考えているのだ。その上で、擦り傷を増やされたり、味噌汁をぶっかけられたりしたら日本が困るでしょう?という考え方だ。
一方で日本が「特に困らない」と思っているのは、情報自体を提供しない、「DVD自体を貸さないから困らない」と思っていると推測できる。

一方で、米国がそこまで厳しくGSOMIA破棄を受け止めているのは解釈が難しい。実際問題として、日米、米韓ではGSOMIAが結ばれているため、
日→米→韓
韓→米→日
という経由での情報共有は可能だ。しかも、日韓GSOMIAの締結以前は、この形で情報共有をしていたわけで、日本も韓国もそこまで重要視していない理由はそこにある。

これも推測になるが、GSOMIAが大きな問題になるのは戦闘用のデータリンクだ。GSOMIAによって日米は瞬時に同期を取ることができるが、韓国は現時点で(数年前まで?)米国とのデータリンクができない。システム的には韓国の兵器も米国製なので、やろうと思えばできるのだ。だができない。当然、日本ともできない。米国の狙いとしては、この戦闘用データリンクを3国で共有するためにGSOMIAを日韓に要求したのではないか。

例によって、韓国の暴走・自信過剰は目につくところではあるが、日韓共に米国の意思を測りかねているのは面白い。あくまでも雰囲気で言えば、日本の政治家、特に官邸周辺はGSOMIAのために譲歩をするつもりはなさそうだ。アメリカが困っている部分はそこだろう。米国も韓国側の特殊性は理解しているので、その場合は同盟決裂もやむなしというのことなのか。あるいは韓国同様、米国も、ブラフを張っているだけなのか。

どう分析してみても現時点では、GSOMIAの破棄、あるいは破棄をチラつかせたことは悪手にしか見えない。韓国の起死回生の一手があるのであればみてみたいものだ。



■政府、強硬姿勢貫く=日韓泥沼化は不可避−対米関係に影響も
(時事通信社 - 08月03日 08:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5733771
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