ケルトン教授はNHKのインタビューに答えて、
『われわれが最も親和性があるのは、
私たち自身の家計なので、「債務」と聞くと、
個人的な枠組みで考えてしまう、
自分の家計に置き換えて考えてしまうのです。
こんなに借金があったら、これは私にとってすごく悪いことだと。
でも政府は、家計とは全く違います。
その違いを理解していないから、
「債務」や「赤字」ということばが不安をあおるのです。』
と語っていますが、各経済主体によって「負債」「債務」「赤字」の意味が異なるのは「事実」です。
家計にとって、負債、債務、借金は「増やしてはいけないもの」です。
何しろ、家計は最も脆弱な経済主体であり、しかも稼ぎ手は「死ぬ」のです。
家計は稼ぎ手が死ぬまで(あるいは働けなくなるまで)の期間で、
稼いだ所得から負債を返済する必要があります。
主流派経済学の言う「予算制約式」、
つまりは「所得の範囲内でしか借金できない」は、
家計については適用できるのです。
さて、企業にとって、負債とは「成長の源」です。
そもそも、企業が負債を増やし、
投資をすることで資本主義経済は成長するものなのです。
銀行からの借り入れは減価償却として、
長期に渡り費用計上していきます。
借り入れで投資した資本を、長期間、
使用し続ける以上、当たり前です。
さらに、企業は基本的には「永続」が前提になっています。
つまりは「死ぬ前に借金を返済する」といった発想は不要なのです。
この考え方を「ゴーイングコンサーン」と呼びます。
損益計算書上、負債の拡大による投資金額は、
減価償却により「分割」で計上されるため、
投資した企業が赤字になるとは限りません。(というか、普通はなりません)
とはいえ、キャッシュで見れば、
企業は常に赤字(資産不足)でなければならないのです。
さもなければ、企業が投資や成長を
拒否しているということになってしまいます。
まさしく、日本は経済がデフレ化した98年以降、
企業が常に資金過剰になっています。
だからこそ、政府は財政赤字、政府債務を増やし、
経済のバランスを目指さなければならないのです。
具体的には、
「企業が安定的に資金不足になり、
負債・投資を拡大するようになるまで、
政府が財政赤字を拡大し、
政府債務を積み上げなければならない」
のでございます。
そして、政府にとって財政赤字や政府債務の拡大は、
「民間黒字拡大」「政府貨幣発行残高の増加」に過ぎない。
統合政府で見ると、政府の国債発行残高が、
そのまま「貨幣発行残残高」であることが理解できます。
家計にとって、債務は「死ぬまでに返済を強いられるもの」。
企業にとって、債務は「投資し、利益を稼ぐための機能」。
政府にとって、債務は「政府貨幣発行残高」。
経済主体によって、ここまで性質が違う
「債務・負債・借金・借入」について、同じ土俵で考えてしまう。
根本から間違えていることが、子供でも理解できると思います。
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