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2019年07月07日17:08

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食品ロスを減らす取り組みについて

 食品ロスを減らす取り組みの重要性が言われている。しかしその対策の多くが、弁当や総菜などの最終製品についての対策であったり、飲食店での食べ残し対策であったりと、食品が消費者に渡る最終段階での取り組みばかり注視しれていることが気になる。
 食品を製造する仕事に携わっている私から見ると、最終出口での廃棄をいくら減らしたところで、食品全体の廃棄量の中ではごくわずかな量の削減にしかならない。実は消費者に届く以前で、さらに多くの食品廃棄が日常的に行われているからだ。
 特に日本人は、世界で最も食品の見た目にこだわるという。店に並ぶ全ての弁当や総菜が、それぞれ同じ大きさ、同じ色、同じ見た目でないと許されない。少しでも他と違えば、クレームにさえなりかねない。だから食品工場では、各食材への規格を事細かに決めている。そして規格から外れるものは、食べて健康上何ら問題ないものであっても、惜しみなく捨てる。クレームの方が面倒だからだ。
 だが、考えてみていただきたい。大根といえば、必ず全てが芯まで真っ白だろうか。魚といえば、必ず全てが同じ大きさだろうか。かぼちゃのスープの中に、かぼちゃの種が入っていたらいけないのだろうか。
 それらは、いずれもそんなはずはないことのはずだ。そもそも食材は本来すべて「生きもの」である。同じ種類に属するものでも、色や形、大きさや味にはそれぞれ「個性」があるのが当たり前だ。全ての食材の大きさや形が揃っている状況こそ、不自然なのである。
 もし本当に食品ロスに真剣に取り組みたいと思うならば、まずは消費者の意識を変えることが必要だ。多少の違いには目をつむり、受け入れる。それを消費者が良しとしない以上は、作る側の態勢も変えることなどできない。
 食べ残しや売り残しを減らしたところで、食品廃棄の問題は何ら改善しないことをどうか知っていただきたい。

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