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2019年06月13日12:01

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「FFXIV」なんの卵?(小説)

事の発端は。
「私、ナンカの卵を食してみたいです!」
 という、シラユキ姉様の言葉から始まった。

「はい…?」
 それを聞いた瞬間。私、ツキカゲはただそう返事をすることしかできず。
 少し間をおいて。
「ええと、姉様。ナンカの卵…というのは?」
「んっとね、このあいだ母様のお客さんに、グナースの人とゴブリンの人が来てたでしょう?」
 姉様が言うにはこうだ。
 先日訪れた蛮族のお客人が、母様と話している時に"ナンカの卵のおいしさをこれでもかと語っていたので自分も食べてみたくなったのだ、と。
 ナンカというのは水棲型のモンスターで、いくつか種類がいるものの、たいていは"ナンカ"と呼ばれることが多い。
 それの卵が食べたいと、姉様は言っているのだとわかった瞬間、私は半泣きになりながら姉様を止めていた。

 そんなことを母様に話した後日。
 母様のご友人で、私の侍の師でもあるクバン様のお宅に姉様とお邪魔した時。
「あなたたちのお母さまから話を聞きましてね、面白いものを取り寄せたんです」
 と、師の奥方様のローズ様が不思議な飲み物を用意してくださり。
「ナンカの卵とは少し違いますが、これはタピオカガエルの卵です。卵自身に味はなく、弾力を楽しむものですよ。消化に優しいので、どうぞツキくんも」
 カエルの卵、と言われ。不覚にも顔に出てしまった私に。
「本当はタピオカイモのでんぷん粉です」
 と、ローズ様は隣で興味津々に紅茶の底に沈んだ黒いつぶつぶを見ていた姉様に聞こえないよう耳打ちをした。
 それを聞いて安心した私は、姉様と共にそれを口にする。
「ただし、ゆっくり飲まないとのどに詰まr」
「ンッンンッ」
 器用に飲んでいる姉様と違い、私はしっかりと喉に詰めました…恥ずかしい…。

 それから、姉様のナンカの卵を食べたい欲求はしっかり解消されたようで。それを望むことはなくなったものの…。
「カエルの卵美味しいね!」
 と、すっかりとタピオカのとりこになってしまい、たびたびローズ様にねだるようになってしまいました…。
 幸いなことに、お優しいローズ様はそんな姉様の願いを聞いてくださって色々と用意してくださるのですが。
「今日は白タピオカガエルのココナッツミルク浸けですよ。黒タピオカはツキくんがのどに詰めるので」
 くすくすと笑ってそう言われ、確かに詰めましたがそれは初めの時だけです!と言いたいものの事実なので言い返せず。
「タピオカガエルの種類多くないですか?」
 とこっそりと聞けば。
「リアルでしょう?」
 完全に姉様をだまし続けるつもりなんですね…。
 くすくすと笑いながら言うローズ様はとても楽しそうで、でも、おかげで姉様の興味がナンカの卵から完全にそれたので、そのままだまし続けていただきたいとお願いしました。




 そして…そんな子供たちが大人になった時、タピオカの正体を知り驚くシラユキの横で。
「えっ……卵じゃねぇの……?!」
 と愕然とするロードライトを見て、知らなかったのか…と苦笑するシュペリエルとツキカゲ。
 そして。
「ロードライトって頭もイイしなんでも器用にこなすけどアホだよね」
 と爆笑するメアリに。
「やかましいこの貧乳!」
「なんだとこのセクハラ野郎!」
 と言いあう二人。
「君たち…ほんと仲良いですよね」
「「良くない!!」」
 そんな二人に肩をすくめてシュペリエルが言うと、彼らが同時に叫ぶという事態が起こるが。
 それはまだまだ先の話なのである。

END


シ「ツッキー、それ何味?」
ツ「ええと、黒糖ミルク…だそうです」
メ「一口ちょうだい!」
シ「私も!」
ツ「ええ、いいですよ」
ロ「………。(ズゾー)」
シュ「…混ざりたければ行けばいいのに」
ロ「そんなんじゃねぇよ!!?」
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