mixiユーザー(id:12923117)

2019年05月21日10:23

228 view

『金子文子と朴烈(パクヨル)』感想

〜1923年、東京。社会主義者たちが集う有楽町のおでん屋で働く金子文子は、「犬ころ」という詩に心を奪われる。この詩を書いたのは朝鮮人アナキストの朴烈。出会ってすぐに朴烈の強靭な意志とその孤独さに共鳴した文子は、唯一無二の同志、そして恋人として共に生きる事を決めた。ふたりの発案により日本人や在日朝鮮人による「不逞社」が結成された。しかし同年9月1日、日本列島を襲った関東大震災により、ふたりの運命は大きなうねりに巻き込まれていく。 日本政府は、関東大震災の人々の不安を鎮めるため、朝鮮人や社会主義者らを無差別に総検束。朴烈、文子たちも検束された。社会のどん底で生きてきたふたりは、社会を変える為、そして自分たちの誇りの為に、獄中で闘う事を決意。ふたりの闘いは韓国にも広まり、多くの支持者を得ると同時に、日本の内閣を混乱に陥れていた。そして国家を根底から揺るがす歴史的な裁判に身を投じていく事になるふたりには、過酷な運命が待ち受けていた…〜 <公式HPより>

フォト


            フォト   フォト

巷のじわじわとした高(好)評価がずっと気になっていたものの、イメフォまでは遠いので、泣く泣く諦めようとしていたところに、常連館さんが1週間限定で公開するという情報が!!!
よっしゃ〜〜〜!!! コーヒー、バリバリ飲んで、しっかり観れました指でOK

関東大震災時の朝鮮人虐殺の事は、多少は知ってました。
ただ、この2人のことはまるで知らなかった。。。

まず理解できなかったのが、震災時、なぜ非難の目が朝鮮人に向けられたのかということ。
「火災の拡大は朝鮮人が爆弾を投げたからだ」「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」

作品の冒頭、朴烈が日本人から不当な暴行をされます。
当時の朝鮮人がいかに日本で差別されていたかがまず描かれます。
そこから大震災→根拠のないデマ→自警団による朝鮮人狩り。
「十五円五十銭」と言ってみろ!

〜お勉強コーナー〜
地震によって刑務所から放たれた受刑者たちが暴動を起こすと言う噂、平生の世の中に不満を持つ社会主義者たちが混乱に乗じて暗躍すると言う噂…。そして、日本社会で虐げられてきた朝鮮人が、震災を千載一遇のチャンスとばかりに日本人に対する逆襲を行うと言う噂です。世情不安型の噂の中でも、朝鮮人に関する噂に対する反応は、前二者に比べてひときわ鋭敏だったようで、つまるところそれが虐殺に結びつきました。

当時の日本人の多くは、自分達が朝鮮人から恨まれているという自覚を持っていました。背景には、朝鮮の植民地化と、そこに住んでいた朝鮮人に対する苛烈な差別待遇がありました。植民地化に伴って、日本政府は朝鮮の土地所有に関する調査を行いました。そして、朝鮮人の土地を没収して日本人に分け与えました。その結果、土地を奪われ働き口をなくした朝鮮人は、生きる道を探して日本へ渡ります。しかし、そこでも差別待遇が待ち受けていました。
http://www5d.biglobe.ne.jp/DD2/Rumor/column/earthquake_demagogie.htm

殺された朝鮮人・・・6000人・・・。(←様々な見解あり)
そして、その出来事は、当時の政府によって、徹底的に隠蔽されたのだ。
言葉にならない衝撃。。。

作品の感想に戻ります。

社会主義おでんを売る文子が、朴烈の書いた詩に惚れて、交際を申し込み、2人は恋人同士に。
2人は危険な思想ゆえに(!?)拘束され、やがて大逆罪で起訴され有罪に。
後に死刑判決が下るものの、無期懲役に減刑。だが、2人は別々の刑務所へと引き離されることに。。。

私、映画を観終わって公式さんのHP見るまで、メインキャストはほぼ皆、日本人だと思っていたんです。とくに金子文子役の女優さん。
そしたら、ほとんどが韓国人の俳優さんってわかって、もう、ビックリ!
チェ・ヒソさん、日本語上手すぎ!!!てっきり韓国語の上手な日本人女優さんだと思ったあせあせ(飛び散る汗)
他の俳優さんたちも、まるで日本語に違和感なかった。これだけでも、相当素晴らしかった。

メインの感想としては・・・凄まじくも心底愛し合った2人の生き様につきます。
明日には、死刑になるかもしれない。いや、必ずその時は来るとわかってる。
それでも、最後の最後まで、思想を語り、互いへの愛を貫き、誇らしく母国を想い、裁判を自分たちの発言の場として、有効に利用しようとします。

法廷での、2人ののびやかな態度ったら!
清々しいほど自由でいきいき、かつ凛としたその態度には目を見張ります。
自分たちの裁判が注目されれば、記録にも残るし、社会を変えることができるかもしれない。。。

チェ・ヒソの金子文子がとりわけチャーミングで魅力的。
どことなく現代的な表情で「それってあり?」とか思っちゃうんだけど、やけに説得力があって、こちらは、どんどん彼女の虜になっていってしまう。

「ただ、動いているだけでは生きているとは言えない。意志があって動くからこそ、生きているのだ」
「パクと死ねるなら、私は満足しよう」

シリアスな題材なのに、ところどころ、プッって、笑いがもれるところもところどころにあって、それがまた妙にリアルだったり。
ずっと心臓がバクバクしてて、2人の一挙一動、全ての表情から、終始目が離せなかった。

文子の最期は自殺だったのか、それとも・・・。

終わった瞬間、場内は拍手が起こっていました。思わず、私も加わりました拍手
いや、もう、とてつもなく素晴らしかったです。
冒頭の出会いのところだけがちょっと展開が早すぎて、そこだけがわずかな残念箇所。
あとは、もう、絶賛ではないでしょうか指でOK 
ちなみに、原題は『朴烈』。今回は邦題にも拍手かも拍手
観れて本当に本当に良かった。しばらくは余韻が残って動きがおかしくなっていた私でした。
ほぼ満点の4.5☆
6 10

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年05月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記