第12回【緋色のハザード】ゲームブックリプレイ

※ここより先はゲームブック【緋色のハザード】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。

ぜろです。
国立防疫研究所に役者がそろいました。
更科博士、緒方警部、鷹野記者、赤城会長、銃砲店店主（もと狩猟の会会長）。そして俺。
不在なのは和久井さんのみ。
全員集合のこの状況で、今、真実が明かされる……！　と、いいですね。
それでは、どうぞ。


●アタック03-14　かばいだてをするとためにならんぞ

「やあ、来たね」

更科博士は席についてパソコンを操作しながら、振り返らずに言った。

真っ先に動いたのは緒方警部だった。

突然、拳銃を抜いた博士に突きつけたのだ。

「博士、今回のパンデミックの重要参考人として、任意同行を願おうか」

博士に動じる様子は見えない。俺はここでどうするべきだろうか。

選択肢は博士をかばうか、かばわないか。

正直なところ、緒方警部は敵じゃないと思う。むしろ博士こそ怪しい。けれど、今博士を失ってしまうと、ワクチンのことで困ってしまう可能性が高い。

ここは、博士をかばっておこう。

「待ってください。緒方警部。博士は感染症拡大を防ぐためにワクチンを開発していたんです。重要参考人なんてこと、あるはずがありません」

うわ。またプレイヤーの思惑とは違うキャラクターの台詞が飛びだしたよｗ
どうやらキャラクターの俺は、プレイヤーの俺よりもだいぶ素直な性格をしているようだ。ちょっと人を信じすぎじゃないか。

「そこをどけ。公務執行妨害になるぞ」
「しかし……！」

緒方警部は本気だった。
そしてそういえばすっかり忘れていたのだが、俺はステンレス包丁で武装していたのだった。武器を持つ俺に先手を打たれる前にと、警部は実力行使に出た。

結果、俺はこの、事件の関係者が集まって真相が明らかになるシチュエーションの直前で、命を落としたのだった。


アタック03　緒方警部に射殺される。


●アタック04-1　緋色の研究

全て同じ選択肢を選んできた4人めの俺が今、国立防疫研究所にいる。
今まさに、緒方警部が更科博士に銃をつきつけたところだ。

選択肢は、博士をかばうか、かばわないか。

俺は、博士をかばわないことにした。
緒方警部も、武器を持った俺でもなければ、いきなり博士を殺害したりはすまい。
ここは博士の口からいろいろ語ってもらいたい。

俺は横から口をはさんだ。

「この研究所に『更科研究室』というのがありました。あなたはここで、ウイルスの研究をしていたのでしょう？」

「目ざといね、そのとおりだ」

博士はあっさりと認めた。

「一連の事件は、すべて博士のせいなのですか？」

「上からの命令だった、と言っても言い訳にもなるまいな。禁じられた緋色の研究に手を染めた事実は変えられん」

更科博士は最初こそ研究に没頭したものの、後に自らがしでかしたことに戦慄し、後悔の念に駆られて俺に協力してくれた、という流れを想像した。
「緋色の研究」という単語はシャーロック・ホームズへのオマージュだろう。

ここで、博士の口から事件の真実が語られる。

「この緋川市で、血液の成分の突然変異で正気を失い怪物化するという事件が起こった。国はこの病気を危険視する一方、この感染症をコントロールする研究を始めた。日本だけがワクチンを所持する強力なウイルスは、それだけで強力な兵器となる」

「私は国立防疫研究所、つまりここで研究を重ね、ある特殊な型の血液においてウイルスが爆発的に増殖することを発見した」

『ある特殊な型の血液』という単語が俺の脳裏にクリーンヒット。特殊な血液型を持つ人物といえば、そう、和久井さんだ。

「そのとおりだ。彼女の血液の特殊性に気づいた私は、彼女を研究所の監視下に置いた。彼女が交通事故を起こした時に、かねてからのプランが実行に移された。輸血を理由にウイルスサンプルを投与して、強力なウイルスとそのワクチンを製造するというプランだ」

「しかし、運び込まれた市民病院で実験に入ったせいで、看護師に感染者を出してしまい計画はとん挫し、事態の収拾に当たらなければならなくなった。私も目の前で被害者を出してしまったことで、良心の呵責を感じ始めた。いまさらだがね」

更科博士こそが今回の事件の発端であり、同時に事態の収拾も図ろうとしている人物だったのだ。


次回、更科博士の背後にいる黒幕は誰だ？


■登場人物
和久井　出番の少ないヒロイン枠。ウイルス感染者で絶賛隔離中。
更科博士　ゾンビ化ウイルスに関わっている極東大学附属病院の医師。
鷹野記者　緋川タイムズ新聞社の敏腕っぽい記者。
銃砲店店主　もと狩猟の会会長。昔異形の怪物の山狩りをした人物。
緒方警部　はみだし警部。独自に真相を追っている。もっとはみだせ。
赤城会長　製薬会社の会長。ワクチン流通に関わっているようだ。
俺　俺3号は不用意な発言で射殺される。俺4号は真相にたどり着けるか。


ゲームブックリプレイ【緋色のハザード】目次
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