中国を統一した秦は、その時から腐敗し崩壊していく。
原因は趙高といういびつな思考法をもった男だ。
趙高は始皇帝の死を利用し、自分の教え子だった胡亥を二代目皇帝に据え、操り始める。
趙高に教え込まれた胡亥の思考は、皇帝は、自分の欲望を思いのままに遂げることを許されている。欲望のまま自由にふるまうことで、権力は強まる。
最初の叛乱は、始皇帝がまだ生きていた時。それが拡大し、流賊がいるという形で、胡亥の耳に入る。胡亥は自分に反対する3人の重臣のせいだときめつけ、彼らを排除する。
それからも、叛乱とそれに対処するべく軍の出動要請が各地から来るか、趙高はそれをすべて握りつぶしてしまう。
ただ自分の権力を守るために。
著者は「胡亥は秦を滅ぼすにいたる反乱者たちの名を知ることなく、生涯を終える」と記した。
たび重なる大きな土木工事で民の生活が困窮しているのに、工事続行。
治安の乱れは、無視。そして、皇帝自らは連日連夜遊び呆ける。
その代償は、胡亥本人だけでなく、秦という国の滅亡だった。
◇
今の日本、この滅亡寸前の秦そっくりではないだろうか。
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