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2019年04月14日01:13

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「FFXIV」影の抱擁光の微笑み(小説)BL

このお話には以下のお話の内容と
「影の安らぎ光の涙 」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9474188
「朧々の空に太陽と月【腐】」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9475206
忍者のジョブクエスト
「LV54奇妙な刺客」
「LV60融雪の雨に」
の内容が含まれております。
こちらを呼んで気になった方はぜひ読んでプレイしてw(ダイマ

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 その視線に気づいたのは…いつだったか。
 初めのうちはただ純粋に、教えた技が上手く出来たと報告してくるその瞳は純粋にキラキラとしていて。教えているこちらもその腕の上がり様にうれしく感じるほどであった。
 だが、ある日。
 気づいてしまった。

 その時、私は彼とは行動を別にしていた。
 ユキ姫様を守るため、彼女にかかった追手を欺き、おびき寄せ攪乱させる。
 ただ、それだけの任務だった。
 しかし、この時。
 彼に付いた追手は、今の彼よりも手練れで。
「ぶっ殺して、腹掻っ捌いて。全部吐かせなきゃ………ウン!」
 私がその場に到着した時、彼は浅瀬とはいえ水の中に押さえつけられており。
「っ!」
 とっさに投げた手裏剣は腕をかすめる程度で避けられたが、男の手は彼から離れ。
「なっ!!?」
 その瞬間、水柱と共に飛び上がった彼は男を斬りつけ、互いに距離を取った。
 その後、我らは連携によりその男を退け。姫も無事に逃げおおせており。任務は達成した。
 そして、このあたりから気が付いたのだ…。己に向けられる視線に込められたものが、憧れだけではないという事に。
 だが、当人は必死にその感情を隠しているのか…むしろ気付いていないのか。
 視線が語っていても、言動でそれを示してくることはなく。
 ならばこちらから何かを言う事もあるまい。
 そう、接していたのだが…。
 ユキ姫様が捕まり、私がまず囮となり敵が油断したところを一気に叩くという作戦を実行する時。
 敵方に我らが仲間割れを起こしたと思わせるため私は彼を大声で罵った。
 もちろん本心ではないし、彼にもそれは伝わっているはずだ。
 だが。
 一瞬。ほんの一瞬ではあるが、彼の表情が曇った。
 それを見た瞬間、思わずその頬に手を伸ばしそうになり。それではこの作戦の意味を無くしてしまうと手をおさえ。
「……すまんな」
 と、小さく声を出してその場を離れた。
 そうして、ユキ姫様を無事救出し、彼も忍びとしてずいぶんと成長した。
 もう、私の教えなど必要ないほどに。
 そう考えた時、私の胸が締め付けられるような痛みを感じだ。
 すでに私の手など必要のない彼は、いづれ私の元から去ってしまうだろう。そう気づいてしまったからだ。

 それをつらいと、苦しいと感じるという事は、私も…彼の事を………。

 しかし、彼がその感情をひた隠しにしている以上。私も悪戯にそれを表に出してはいけないと。悟られぬよう心に蓋をした。
 だが、あの日。
 久方ぶりに長屋に現れた彼の姿にいつもの覇気はなく。
 今にも泣きだしそうなところをひた隠しにしているその姿があまりに痛々しくて。
 私は何も見ていないという体を作り、その感情を吐き出させた。
 顔は見ていないが…背中越しに感じる、幼子のように泣くその声に、その姿に、こみ上げてくるものがあった…。
 何度振り返りその小さな体を抱きしめてやりたいと思ったことか。
 だが、それをしてはいけないと己に言い聞かせ、その夜は彼が酔いつぶれるまで傍にいた。



 それからまた、しばらくの時が流れ。
 突如、里へ帰ったツバメから文が届き。その内容に気が遠くなった。
 ユキ姫様が帰られてから、文が来ることは覚悟していたのだが…。
 その内容は、思っていたものとはずいぶんと違い。どうするべきかと思案するまもなく里の実力者の一人でもあるサイゾウ殿が平屋へと現れた。
 サイゾウ殿は私の顔を見るなり。
「なるほど、なるほど」
 とニヤニヤとしながら顎鬚をさすり。
「修行一辺倒だったぬしにもようやく春が来たか。これはめでたい」
 これは、完全に面白がっている。
「しかし、今の時世色恋は自由とはいえ。ぬしは里の中でも優秀な忍びの一人…どこの馬の骨ともわからぬ者と付き合い、色呆けられても困るのでなぁ」

 そして今、私は愚か者の滝で一人佇んでいる。
 正確には数人の忍びがあたりに潜んでいるので、一人ではないが…。
 どれほど待っていただろうか。
 ずいぶん待っていたような、あっという間だったような。
 かすかに聞こえたチョコボの足音に私は身を隠す。
 忍び達から少々慌てた気配を感じたが、騒ぎ出すことはなかった。
 まあ、そうでなければ忍びなど勤まらぬ。

 ほどなくして、先ほどまで私が立っていた場所に一羽のチョコボが駆け込んできた。
 そのチョコボの背には一人のミコッテ族の青年が。
 彼はチョコボから降りると辺りを見回して…。
 一見普通に見えるが、私にはわかる。どことなく寂しげな雰囲気を纏わせた彼から、チョコボが離れたのを見計らい。
「っ!?」
「逃げるぞ」
 彼の前に飛び出して抱き寄せ、煙幕で周りの忍び達の視界を奪い。
「シロガネ、私についてこれるな?」


 こうして、見張りの忍び達から身を隠し。彼に何故このような状況になっているのか…サイゾウ殿が、私の"良い人"を見極めると名目でこちらに来ているのだという事を説明すると。
「ええと…。つまり…この状況からすると、オボロ様のイイ人って…」
 ゆっくりと己を指さす彼の顔はほのかに紅い。
「咄嗟だったとはいえ、お主を巻き込んでしまった…本当に申し訳ない」
「あ…いえ…」
 本人に同意なく巻き込んでしまっているこの状況に私は頭を下げる。
「…オボロ様」
 すると、彼は私の顔を上げるよう促すと。
「むしろ、貴方こそいいんですか?俺なんかが相手で…」
 本来ならば怒っていいはずのこの場面で。おずおずと、困惑の表情で言うその姿が愛らしく思え。
「…私は、お主の様に心の広い者を知らぬ…」
 私はそう言って苦笑し、見つめてくる彼の頬を撫で。
「ツバメがとっさに言った相手がお主でよかった…」
 頬に添えた手はふり払われることもなく、見つめ合う視線に熱がこもる。
 心の臓の鼓動が酷くうるさく感じる。
 ああ、愛らしい、愛おしい。
 自然と互いの距離が近づく。
 太陽と月を思わせるような瞳がそっと閉じられ、私も………。
「見つけましたぞ!オボロさ…!!?」
 そんな時、突如一人の下忍が現れ。
「……。」
「………。」
「あ…」
 私は静かに印を結び。
「も、もうしわけ…」
「雷遁!!」
「ギャー!!!!」
 ………邪魔をされて怒ったわけではないぞ、決して。



 そうして、様々な事がありつつも、今。
「……んん…」
 心地よい風を肌に感じ、寝返りをうつ。
 すると、くすくすと笑う愛らしい声と髪を撫でる優し感覚にゆっくりと目を開けた。
「…すまぬ、寝てしまったか」
 シロガネの膝を枕にしていたことに気付き、身を起こそうとすると止められ。
「大丈夫ですよ」
「しかし…」
「ん〜…。俺が、そうしててほしいから…て言っても、だめですか?」
 そんなことを言われては、その言葉に甘えるしかできず。
 再び彼の膝を枕に目をつぶる。
 髪を優しく撫でられ、再び眠りに落ちてしまいそうになる前に、ゆっくりと目を開くと。
 彼の優しい微笑に胸が温かくなる。
 そっと手を伸ばして頬に触れ、体を起こして……。
 すると、まるで見計らったかのように聞こえてきたリンクシェルの呼び出し音に、私たちは顔を見合わせ苦笑した。
「…もしもし?」
 彼は私にごめんなさいと小さく頭を下げてからリンクシェルに応えると…徐々にその表情は険しくなり。
 私は、時が来たのだと悟った。
「……オボロ様」
 話を終え、リンクシェルから手を放した彼がまっすぐとこちらを見つめる。
 私もその目をじっと見つめ。
「行くのだな」
「…はい…っ!?」
 頷く彼を強く抱きしめた。
「必ず、戻ってくるのだぞ」
 初めは驚いて固まっていた彼も、私の背に腕を回し。
「…はい…はい。必ず、貴方の元へ」
 今一度、互いに強く抱きしめあい。私たちは触れるだけの口づけをして。
 体を離すと、彼の姿は瞬時に忍びのそれへと変わる。
「クロ」
「おう」
 そして、短く名を呼べば彼の分身とも呼べるクロガネがすっと現れる。
「…では、行ってまいります」
「うむ、お主の武運長久を祈っているぞ」
 そうして、二人は私の前から消えた。
 
 私とシロガネの関係は今や恋人ではあるが…。
 彼は、世界の"英雄"だ。
 今回もまた、危険な地へと赴かなければならぬという。
 私はその地へ付いて行く事は叶わぬのだ。
 だから…この地で、彼の帰りを待ちながら、この場所を守ろう。
 彼が帰ってくる、その日まで。

END

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・・・これも夢小説に入るのだろうかw
シロはオボロ様が好きって気づいてからずっと隠してた”つもり”だったんだけど、バレバレだったっていう。
漆黒につながる感じで書いたけど、どうなるのかなぁ?
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