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2019年04月01日06:18

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小説 紅蓮 83

小説 紅蓮 83
 入院して5日が過ぎた。どこでどう知ったのか、思いがけない常連客が顔を出す。客とはつかず離れずの距離を取っていた俺だが、それほど親しくはしていなかった客も多い。そのほとんどが俺の離婚を知らない。最初の情報源である由紀子と大木さんがそのことを黙っていたにちがい違いない。
「奥さん心配したでしょう?」
「まぁ、入院したりして、夫婦の愛情は深まるものだから・・」
 あいまいな笑みを浮かべて、俺はやり過ごした。大部屋に移ってもいた。4人部屋だ。すぐ隣のベッドは仏の顔を連想させる老人。70前後と思われたが、奥様が毎日着替えなどを持って顔を出す。時には娘さんや孫たちも来て、その度に騒々しい。奥様が気遣って、孫たちが走り回るのをいつも詫びに来る。向こうのベッドには40代とおぼしき男性二人。一人は結婚してるようで、時々奥様が顔を出す。もう一人は時々病室から消えて、いつも看護師さんに怒られている。病院の敷地内が禁煙なので、敷地外へ出てタバコを吸ったり酒を飲んだりしているらしい。俺も我慢していたが、そろそろタバコの禁断症状が出始めていた。でも足の甲にひびが入っているので、まだ歩くのがおぼつかない。
 入院して良かったのは、自室に引きこもってばかりいた娘の美佳が毎日病室へ来るようになったことだ。美佳の話しで、佳代子が義母を施設に入れたことを知った。離婚の事を知った義母が佳代子と衝突したのが原因だと言う。
「美佳は大丈夫なの?お母さんがここに来るのを怒っているのじゃない?」
「わたしは平気よ。お父さんかお母さんを択べって言われたらお父さんを選ぶってはっきり言ったもの」
「お母さんも正直になれたらねぇ・・本当は婆ちゃんや美佳を大事に思っているのだけどね」
「大事に思っているなら不倫なんてしないわよ」
「そう言うなよ。元々お母さんが好きだったのはお父さん以外の人だったのだよ。だからお父さんに嫌われることを言って、結婚しないようにと思ったのに、お父さんが常識を外れてるから調子が狂ってしまったんだ。お母さんの辛さも解ってやりなよ」
 佳代子のことを思うと、すべては俺が悪かったように思える。佳代子との最初の見合いの時、結婚する気が無いとはっきり言っていたらそれで話しは終わり、2度目に合うことも無かったし、初夜の夜に佳代子がセックスが目的で結婚したわけでは無いと言った時、俺はセックスしたいと正直に答えたら、もしくはつべこべ言うな、もう結婚したんだと、強引に犯していたら、それを理由に佳代子は即離婚できたはずなのだ。(続く)

獅子座クウネルのつぶやき獅子座
 今日から4月ですね。新しい元号も発表されるし、食料品などの値上げも始まる・・大きく変わりそうな予感目
 母智丘公園の桜まつりイベントで踊った社交ダンス仲間の写真をプリントするために久々に宮カメへ行きました。店長とも久々の歓談。そう言えば今月から所属する写真クラブの例会が日曜日から水曜日に変わります。メンバーで唯一の女性がたこ焼き屋さんをやって言えて、日曜日が休めず、ずっと例会に来れなかったので、水曜日に変更です。どんな女性か楽しみです(笑)今日の写真は母智丘桜まつりから・・

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