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2019年03月24日02:39

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『古典基礎語辞典』散策 〜稲と番能邇邇芸〜

漢文の訓読(読み下し文)や現代語訳を読んでもいまいちピンと来ないのに、英訳を見ると非常に分かりやすい、どうも漢文がちゃんと読めていないことが気になり、漢文をもう一度勉強してみようと漢文の参考書や漢文法書を集めていました。

最初は訓読を通さず、外国語として漢文(古い時代の中国語)を理解してみたいという方針でしたが、訓読自体も様々な時代の語法がその中に保存されていて非常に面白いので、古文も勉強し直すことにして、また気になる本を集めに掛かり、『古典基礎語辞典』大野晋編も入手しました。

そのなかで「いのち」の語源説がこんな風に説明してありました。
「イは息。ノは格助詞。チはイカヅチ(雷)やヲロチ(大蛇)のチと同じで、霊力の意。イノチは霊力を表し、自然物の持つ息(=生)の力の意か。」

同じページに「いね【稲】」の項目があり読んでみると稲から邇邇藝命へ導かれました。
以下、気になる項目の簡略な抜書です。この辞典には嵌りました。

いね 稲
…稲そのものをいうニという単語があり、神名のホノニニギのニニギ(稲饒[ににぎ]、にぎやかに実る稲の意)やニホ(稲積)のニに残っている。

ほ 秀
高く出ていて目立つもの。稲や薄[すすき]の花序の部分をいうホ(穂)と同根。
「波の穂」、「巌[いわほ]」、「垣穂[かきほ]」
「国の秀」国のすぐれた所の意。
国見のときのほめことばである「まほらま」は、完全の意の接頭語マ と名詞ホ(秀) に、場所を表す接尾辞ラ のついたマホラに、さらに、状態を表す接尾辞マが付いた複合語。 「まほろば」はこのマホラマの転じた語。優れたよい場所を意味する。
また、「秀に出づ」と使って恋の思いや人の仲など物事が外に現れて目立つさまもいう。
動詞 ニホフ(匂ふ)も、ニ(丹、赤い色)ホ(秀)接尾辞フから成る。

まほら
上代語。マは美称の接頭語。ホは、イナホ(稲穂)・イハホ(巌)などのホと同根で、傑出・突出したものやところをいう。ラはイヅラ(何方)・コチラ(此方)のラで漠然と場所や方向を示す接尾辞。

にほ 稲積
ニは稲の意で、複合語の中だけに見出される。神名ホノニニギはニ(稲)ニギ(饒)の意である。ホはうず高く積まれたもの。ニホは刈り取った稲を束ねて円錐形に高く積み上げたもの。稲むら。

にほふ 匂ふ
ニ(丹、赤い意)ホ(秀、ぬきんでて表れているもの)フ(接尾辞)から成る語。赤い色が浮き出て表れるのが原義。そこから、美しいものの色や色つやについていうのに使われた。

ほのににぎ 番能邇邇芸
ホ(穂)ノ(助詞)ニ(稲)ニギ(饒)
ホノニニギは「稲の豊穣の神」の意。ホは、「穂」。ニは「稲」、ニギはニギハフ(賑はふ)のニギで「にぎやかに実る」意。ニニギはニギニギの約であるとする説が一般的だが、ニギニギの約ならばニニギではなくニギギとなるはずである。大野晋はニニギについて、ニはニホ(稲積、刈り取った稲を束ねて円錐形に積んだもの)のニと同じで「稲」の意、それとニギの結合であるという。本居宣長は「丹[に]饒[にぎ]」とし、穂が赤く熟すことを表すとみる。

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