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2019年03月21日07:58

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閔妃(ミンピ)暗殺(朝鮮王朝末期の国母)角田房子著 新潮文庫ー10

(※は本文より転載)
大院君、政権を握る

 (悲運をかこつ王族の一人に興宣君是応<フンソンゲンハウン>がいた。彼は一八二○年の生まれで、王家との血縁はあまり近くはないが、祖父の恩信君<ウンシンゲン>が第二十二代の王正祖の弟なので、まぎれもない王族の一人だった。彼は”君”の爵位<しゃくい>を与えられて興宣君となったが、陵墓の守り役など王室の端役ばかりをつとめる逆境の中で、細々と一家を養っていた。
 江華島から連れ出されて王位についた哲宗(「私は書中の文字をよく解し得ない」と言った)の時代になると、ただでさえみじめな王族たちの気持をいっそう暗くする事件が続発した。
 まず、王族の一人である慶平君李世輔<キョンピョンゲンイセボ>が、勢道政治の中心人物である金左根、金ムンゲンらを中傷、誹謗したという理由で爵位を剥奪され、孤島に流刑となった。無実を叫ぶ声は黙殺された。
 次の李夏銓<イハジョン>の事件も、王家の一族に強い衝撃を与えた。李夏銓は王族中の俊英とうたわれ、憲宗没後には次の王の候補に挙げられた人物であった。金氏一族から危険視された李夏銓は、彼の支持者が失脚したのを機に、”大逆不道罪”の名で処刑された。

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