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2019年03月05日18:49

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旅する落し物の話

沖縄と東京を旅してきた落し物

先日、仕事場からほど近い渋谷のビルのたまり場のような場所で、携帯電話を拾った。
そこは、学生やサラリーマンも溜まりやすい休憩所のような作りになっていて
雨やどりや、電話をしながら用を済ますのに何かと人の出入りが多い場所だった。

クーラーの室外機がむき出しになっていて、そこに埃をかぶって、室外機の色と同化するように携帯電話がちょこんと横たわっていた。

こんなご時世だし、今や携帯を落としてしまうと、生活していけなくなるくらい携帯電話に何かと依存している僕たちのライフワーク。落とされた方も不便極まりないだろうなと思って、ちょうど充電器を持っていたので、充電をしてみたところ

「I PHONEを探す」という機能を使われていた携帯みたいで
トップ画面に、「緊急の際はこちらまで連絡してください 「○○○ー○○○」
とありがたいことに番号が表示してあった。

さっそく表示された番号に連絡をすると電話口の主はすっとんきょうな声で

「携帯??はぁ??落し物ぉ??渋谷からぁ???はぁ??」

と、いまいち伝わらない様子。。。
すると、「心当たりがあるものがいるかもなので確認します」
とのこと。

僕の方も「心当たり??確認???。。。少しずつ不安になってくる」
とりあえず、返事を待つことに。

「電話変わりました、、○○というものです。携帯電話の裏はどんな模様になっていますか??」

「碁盤目状に線が入っていますね」

「あぁ、携帯カバーの染みだなぁ。カバーはとられたんだなぁ」とブツブツ

「それ、僕ので間違いなさそうです」

「渋谷ですよね。。。おかしいなぁ、どこで拾われたんですか??」

「仕事場がこの近くにあって、ビルの横でたまたま見つけたんですよ、それで連絡をさしあげたんです」

「そうだったんですか。僕が無くした場所は、、沖縄なんです」

「えぇーーっ」

僕もびっくり、向こうもびっくり
お互い、びっくりで、お互い、何かしらわからないが
顔も名も知らない同士、熱い、こう、何か得体のしれない絆のような
強い気持ちで結ばれはじめ、電話が熱を帯びていく。

出会い系や、マッチングアプリというのは、このように
気持ちが惹かれあっていくものなのかもしれない。

ごほん、、閑話休題。

「僕が沖縄の〇〇という地名で無くして、、全然見つからずに、、結局携帯も止めて、それが11月なんです」

僕が携帯を見つけたのは2月の話。
この話は生まれたてほやほやなのだ。

僕と、携帯をなくされた方の、渋谷と沖縄を結ぶ奇妙なやりとりはここから更に熱を帯びていく。

持ち主が見つかった後、やはり話題は、この携帯は誰によって、この沖縄から東京は渋谷の街までたどり着いたのか?ということが話題の焦点になってくる。
観光客か、外国人か、はたまたサラリーマンか、悪さをしようと思ったのか、出来ずに捨てたのか???

そこそこ忙しい僕の毎日も、そこそこ忙しいであろう携帯を無くされた方の平日の真昼間から、熱い絆の下、東京、沖縄間で僕らふたりは、「うーん、どうやってここまで旅してきたんだろう??」とふたり携帯越しに首を傾げながら20,30分語り合った。笑

僕はその方に、「あなたの携帯電話送ってあげますよ」と解決策を申し出た。
携帯を無くされた方も「ありがとうございます」と言って、お互いの連絡先を交換して
電話を切った。

相手の方が、「東京から沖縄の着払いってどのくらい料金かかりますかね??」
というので、僕はまた別日に「このくらいかかりますよ」と連絡を返した。
また別の日には「携帯届きましたか??」「いえ、まだ届いていません」など
荷物の発送状況を連絡取り合った

僕らは、顔もお互いの素性も何もしらない他人同士。
たった一つの携帯電話が、沖縄に住む彼と、東京に住む僕らを繋ぐ。

もう3度目の電話の時は、お互い冗談まで言い合うくらい仲が良くなっていて
相手の方は、沖縄の〇〇っていうイオンでなくしましてね。。とすごくローカルな情報まで話し合う仲になっていた。

いよいよ、お別れのとき

本当にありがとうございました。と礼を言ってくださり、僕もよかったですね。
お互い落し物には気をつけましょう。と労いあい電話をきった。

携帯電話は持ち主のもとに、長い家出から無事もどることができ

そして、ぼくのもとには

沖縄ののイオンで購入したのだろう

お礼で送られてきた紅芋タルトが置いてある。

僕は、この紅芋タルトを、仕事やライブで沖縄にいくたびに
これから思い出すのだろう。

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