今年の芥川賞より、上田岳弘の「ニムロッド」を読んだ。
薄っぺらい小説で奥行きも行間もまるで感じられない。登場人物の心のひだにも興味がわかない。
それは宗教論に基づかないバベルの塔や、ロックンロールを聞いてもいないクラブ27とか、航空機開発史に基づかないダメな飛行機コレクションといった上辺だけのエピソードに付き合わされるせいだ。
作者もそれを認めていて、neverまとめやWikipediaといったソースも開示している。ではこれはダメな小説コレクションかというと、今のネット社会を体現する作風として認めてあげても良い。
全編に紋様のように登場する仮想通貨同様、これは仮想私小説なのだろう。
ログインしてコメントを確認・投稿する