引退してから、4年間迷走して、
そう言えば
「カラオケで歌が上手い」と言われていた事を思い出し、
歌でも歌ってみようと思い、知り合いの音楽の店の店主に、相談しました。
「楽器は?」
と聞かれて
「実は、指が開かなくて、ギターが弾けないんです」
と答えると
「じゃあベースは?」
と言われ、ベースの練習を始めました。
ちょうど、友人からも「一番似合う楽器は、ウッドベース」
と言われていたので、毎週水曜日に、その店に行き、5時間位練習していました。
しかし、実は私は、ベースと言う楽器の事を知らなかったのです。4弦のギターだと思っていた位、音楽には無知でした。
1ヶ月位練習して、そこそこ弾けるようになった頃
「ベースは、弾き語りをする楽器じゃないよ」
と言われましたが、そこは、型にはまらない性格なので、
「ウッドベースの弾き語りをやってやる」
と思って練習していました。
そして、音楽を始めて、8ヶ月経った時に、10組位のミュージシャンが集まるイベントへの出場オファーが来ました。
無謀にも、安請け合いして
「出ます」
と言ってから、大後悔しました。
「大恥をかく
ベースの弾き語りなんて通用しない
」
残された期間は、3ヶ月
ギターのスライド奏法などを知りましたが、練習期間3ヶ月
では、間に合わない
世界中の珍しい民族楽器を調べて、ヤフオクで落札したりしましたが、
「何か今一つ……
そもそもどうやって弾けばいいんだろう…」
そんな事をしている間に、右側のろっ骨に、謎の痛みがあり、そして、右半身に、湿疹が出来ていました。
「帯状疱疹」
と言う神経性の皮膚炎でした。
そしてその痛みは、神経痛だったのです。
大変なストレスで、身体にも、異変が出ていたのです。
周りからは、
「音楽イベントに出るのは、絶対にやめた方がいい(未熟過ぎる)」
とか、
「矢口さん
(バークリー音楽大学出身のプロレスラー矢口いちろうさんです。プロミュージシャンでもあります)
に、サポートギター頼んだら」
と言われましたが、
「それは俺も、何回も考えた。でもそれをやったら負けでしょう」
と答えました。
そんな時、インドの
「テゥンビ」
と言う一本弦の楽器に巡り会います。
一本しか弦がないものの、毎日弾いていると、どんどん、そこそこの音楽になって来ます。
「テゥンビは、ひしゃくに、似ている…
ひしゃくなら、弦を張れば音が出るのでは?
そもそも音楽の世界には、楽器を自分で作ると言う概念がない。作ったら、大変な事になるかも
」
と考え、頭の柔らかい音楽仲間と、音が出そうな物の意見交換をしました。
店の営業前に、シャベルに、ドリルで穴を空けて弦を張りました。そこでタイムアップ
店の営業開始で、仕事をしました。
店の片付けが終わり、夜中の3時頃
「今日中に、音が出るかどうか、確認しないと眠れない」
と、ヘトヘトの身体で、アンプを出して接続して、弾いてみると、何とアンプから、音が出たのです。
「勝った
これで、どんなミュージシャンが出て来ても負けない
」
と思い、眠りにつきました。
ログインしてコメントを確認・投稿する