ももたろうず。二十三話。
ほら男は、慌てて、家に入ると、薬売りからだまし取った薬を見えないところに隠した。
これがばれると、どうなるかわかったもんじゃない。はよう鬼ヶ島にでもやって、わしはこの村から逃げ出そう。
ほら男は、そう思いながら、見つかるとまずいものを奥にしまった。
一時ほど過ぎて、薬売りが戻ってきた。
ちょうど大きい船を持って居るもんが、つこうてもいいというから借りてきた。
でも、鬼ヶ島に行っても、何もないと、その漁師はいっとったわ。きっと、財宝が隠してあるのを秘密にして、いつか自分で独り占めしようと思うとるぞ。
先にいって、鬼たちを懲らしめてきて、全部、もらった来るぞ。
薬売りは、一団に向かってそう言った。
桃太郎は、どうも納得できない気持ちはあったが、それぞれ目的は違えど、鬼を退治することには変わりないと思い直した。
薬売りが返ってくると、ちょうど、ほら男が、外に出てきて、さあ入って休んでくださいと言った。
中は、前に泊まった時よりは、ずいぶんときれいになっていたが、何もないがらんとした部屋だった。
ほら男が何もないところじゃがというのと聞いて、薬売りは、本当に何もないなーといって笑った。
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