ももたろうず。三話。
洗濯物を取りに行ったおじいさんが戻ってこんことを、おばあさんが不安に思い始めてころ、もう一人のおじいさんが戻ってきなさった。
ばあさん、ばあさん、鉄砲水が出たいうて、大騒ぎになっとるわ。
おじいさんは、そういいながら、家に入ってくると、入り口の傍らに大きな桃がおいてあった。
これまた大きな桃じゃあ。
おじいさんが声をあげると、奥からおばあさんが出てきた。
じいさん、じいさん、大変じゃ。じいさんが川にいって帰ってこんのじゃ。
それを聞いたおじいさんは、それは大変じゃ。探しにいってくると言い残し、家を出ていった。
川についたじいさんは、普段の三倍にもなっとる川を見て、肝を冷やした。
こりゃ、どうにもならんわ。どうすりゃあええんじゃ。
そうつぶやいたあと、
じいさん、おるかー。と、大声で叫んだ。
が、聞こえるのは、濁流のゴゴーっという音だけだった。
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