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2019年02月12日08:32

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正確さは不正確さを生み出す

 「正確な時間」を測るには、まず原子時計のように高精度の時計が、そして、その時計の精密さを測るために、もう一つ同じくらい高精度の時計が必要となる。この二つの正確な「時計」は、同じ空間にあると、互いに作用し合うことになる。では、どのような作用なのか。
 ハイゼンベルクの「不確定性原理」は、相補関係にある一対の物理的性質をより正確に知ろうとすれば、他方の物理量が曖昧になると主張する、つまり、位置・運動量や、時間・エネルギーなどを「同時に正確に」知るのは原理的に限界があると主張する。時計の場合、限りなく正確に時を刻む高精度の時計は、そのエネルギーが途方もなく大きくなることになる。
 一般相対性理論は「時間の遅れ」を主張する。運動している状態やエネルギー、または重力場の強さによって、時間の進み方が変化すると言うのである。通常、大きな質量をもつ天体の近くや、光速に近い速さで運動する物体の時間の進み方は遅くなる。アインシュタインは静止した物質の質量とエネルギーの間には等価性があることを示した。すると、巨大な質量をもつ天体のように莫大なエネルギーをもつ物体は、空間を歪ませ時間の進みを変化させることになる。
 量子力学は、高精度の時計とはエネルギーの不確定性を非常に大きくする可能性を予測するし、一般相対性理論は、エネルギーの不確定性が大きいほど、その時計の近くの時間の不確定性は大きくなると予測する。これら二つをつなげると、「同じ空間に置かれた時計は必ず互いに干渉し合い、最終的に計測される時間の精度を落としてしまう」という帰結になる。
*詳しくはhttps://www.pnas.org/content/114/12/E2303を参照。あるいはPhilosophy SocietyのEntanglement of quantum clocks through gravityを参照。

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