その昔、まだまだ世界がとても小さかった頃の話。
私は周りとの不和に悩んでいた。
いまだって決して上手とは言えない人付き合いが、苦痛で苦痛で仕方がなかったのだ。
特段に勉強も運動もお道化もうまくない上に、偶さか同時期に同地域で生まれただけの良心的な子供達がどこか異星人のように見えて(それはいまも変わらないんだけど)、会話が成り立たず、また良心的でない小賢しい小鬼のような輩たちとは全くそりが合わないため、衝突に次ぐ衝突で、周辺との不和は日増しに増大、学校を滅亡させることばかりを毎日夢想していた。
実に不穏なことである。
それが証拠に小学校の卒業文集の裏を見返すと往時書いたものであろう、ちょっとここに書くことが憚れるような用語が日付入りで殴り書きされている。
怒りの確証のようなその文字を、久々年末に帰郷した折に目にして、この文章を書き起こした次第である。
そのストレスがピークに達したのが、目に見えて増幅する性欲に振り回され始めた中学2年の頃で、周辺とは完全に没交渉になってしまっているにもかかわらず、身体が激しく異性を求めるため、再びその周辺と繋がりを作ろうとあがいた結果、さらに溝が深まり、私の神経は堪え難いほどにブレークダウンして、毎日学校に行くことを考えるだけで嘔吐するほどであった。
しかしあることがあり、全ては嘘のように収束した。
底の底に行けばあとは上がるだけみたいな話ではなく、宝くじに当たったというような、まさに僥倖、ラッキーな出来事だった。
それから21歳まで、私は悩みとは無縁の生活を送ることができた。
ラッキーってすごいよねって話。
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