ところで、毎年この時期になると、忠臣蔵が思い浮かべますが、その発端となった松の廊下での刃傷沙汰で、浅野長矩が切腹で、吉良義央が御咎めなしというのは不公平な裁きという印象がありますが、ぼくはそう思いません。
江戸城内では鯉口三寸抜いただけで、その身は切腹といわれている中、長矩は刀を抜いたばかりか、傷害事件を起こした。さらに義央は、全く抵抗していません。
そのため、長矩の切腹、改易は当然であり、不公平な裁きではありません。それどころか、本来であれば切腹さえも許されない、斬首でもおかしくないのに、武士の礼を以て切腹となったのは、むしろ温情ではないかと思っています。
作家の海音寺潮五郎は、
「松の廊下で一番悪いのは、ぼくは浅野内匠頭だと思う。殿様というのは、今で言えば会社の社長なんだから、軽々しいことはできないのに、一時の感情で癇癪を起して刃傷沙汰になり、当人ばかりか、家自体を潰してしまった。残された家臣やその家族達は、路頭に迷うことになるんです」
という意味合いのことを言っていました。
ログインしてコメントを確認・投稿する