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2018年12月06日23:56

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19世紀のドイツと21世紀の中国


現在のグローバリズム(第二次グローバリズム)
において、覇権国アメリカに対する
「挑戦国」と化しつつあるのは、
中華人民共和国です。

それに対し、前回(第一次)の
グローバリズムにおいて、
覇権国イギリスに挑戦したのは
ドイツ帝国でした
(プロイセン統一後のドイツ)。


当時のイギリスとドイツの関係は、
実に興味深いです。

イギリスが「自由貿易」を提唱し、
国内市場を「開放」する反対側で、
ドイツが高関税政策つまりは
「保護主義」を採り、

企業や人材を国内市場中心で育成。
工業生産を中心に、
経済力を強化していきます。

当初、
イギリスは生産性が他国を圧倒し、
「自由貿易」においてさえ
優位を維持していました。

ところが、やがてドイツの
猛追を受けることになります。

ドイツの工業力がイギリスに
追いつきつつあった1896年、
アーネスト・エドウィン・ウィリアムスが
「ドイツ製品」という論文を発表。

ウィリアム氏の論評は、
実に示唆に富んでいます。

『大陸諸国の精力を消耗した
大きな紛争はイギリスの
産業覇権を不動にし、世界市場の
絶対的支配者たらしめた。

その結果イギリスは
世界の萬屋になった。

イギリスの機械、イギリスの金物、
銃器、刃物、イギリスのレール
および橋梁、その他殆どあらゆる
種類の工業製品が、

地球上のあらゆる処に
物質文明を運びこんだ。

イギリスは陸地を鉄道網で覆い、
海上は自国の商品を輸送する
自国船で賑わった。
(略)

イギリス工業の支配力は
巨大かつ無類で人類史上
未曽有のものであった。
(略)

イギリスが全世界に門戸を
開いている間にイギリスの
姉妹国は対英防禦の障壁を築き、

その背後にあって、
しばしば国家の補助金の援けをかりて、
今世紀の半ば以降に
それぞれ独自の産業を発達させた。
(略)

20年前までドイツは
農業国であった。
工業製品は極めて少なく
重要でなかった。

工業資本は小さく輸出貿易も
政府統計家の注意を引かない程小さいもので、
大量に輸入する」という状態であった。

そのドイツが今や
「イギリスの覇権を葬るべく
全力をあげて闘っているのである。
(イギリスにおける「ドイツ製品」騒動
: 19世紀末期英独貿易戦の一齣)』

イギリスの姉妹国とは、
ヴィクトリア女王(当時)の血脈が
ドイツ北部のハノーヴァー家であることから、
「ドイツ帝国」を意味しています。

当時のドイツ追い上げの
理由をまとめますと、

● イギリスで開発されたトマス製鋼法、
塩基性転炉法など、最新技術を積極的に導入

● 国家の支援
 ・保護関税による国内市場の確保
 ・生産性向上による低価格の輸出戦略
 ・輸出奨励金、輸出補助金
 ・国営による採算度外視の鉄道システム
 ・ドイツ海運同盟によるイギリス荷主への差別待遇
 ・在外政府機関による交易支援サービス

● 教育の充実。特に、科学技術教育に対する熱意は、
ドイツ工業の成功に不可欠の一要因だった。
当時の独英の技術教育制度は、
「電灯とローソク」ほどの差があった。

● ドイツ人の勤勉性、貪欲な「学ぶ意欲」。
相手国の「事情」に合わせた売り込み。

一緒にしてしまうと
ドイツ人に怒られるでしょうが、
ドイツ帝国のイギリス猛追は、
2001年以降のアンフェアな
「チャイナ・グローバリズム」に
酷似しています。


特に、技術を外国に依存し、
国内市場を保護。
国家が全面的に産業を支援することで、
自由貿易の覇権国(アメリカ)を
追い上げているところなど、
中国は19世紀のドイツそのままです。

中国の共産党官僚は、
19世紀のドイツを参考に、
より悪質な形で21世紀に
「チャイナ・グローバリズム」を
展開したように思えるのです。

さて、歴史が繰り返すかどうかは
分かりませんが、19世紀から
20世紀初頭にかけ、

ドイツの経済力がイギリスに匹敵し、
欧州の軍事バランスが崩れた結果、
世界で何が起きたのかを
知らなくてはなりません。

もちろん、1914年、
第一次世界大戦の勃発です。
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