【寄稿】サウジとの同盟は不可欠=米国務長官
カショギ氏殺害は容認しないが、サウジは中東の安定をもたらす強力な存在だ
By Mike Pompeo
2018 年 11 月 28 日 15:43 JST
――筆者のマイク・ポンペオ氏は米国務長官
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首都ワシントン界隈では、米国とサウジアラビアの協力関係を再構築しようとするトランプ政権の努力は評判が良くない。民主、共和両党の政治家らは以前から、サウジの人権をめぐる歴史を理由に同盟関係の格下げを求めてきた。サウジ国籍のジャマル・カショギ氏が10月にトルコで殺害された事件を受け、連邦議会での声高な非難とメディアの騒音が高まっている。しかし、米国とサウジの関係を格下げすれば、米国と同盟諸国の安全保障にとって大きな過ちとなるだろう。
サウジは、中東の安定をもたらす強力な存在だ。イラクの脆弱(ぜいじゃく)な民主主義を守ることに寄与し、イラク政府をイランではなく欧米の利益に結び付けておくことにも貢献している。サウジ政府は、シリア内戦から逃れてきた大量の難民への対応に関しても、受け入れ国の活動を支え、エジプトと緊密に協力し、イスラエルとの関係強化を通じて支援している。また、米国が主導する「イスラム国(IS)」などのテロ組織との戦いに多額の貢献も果たしている。サウジの石油生産と経済的安定は、地域の繁栄と世界のエネルギー安全保障の要となっている。
カショギ氏の殺害事件をトランプ大統領の対サウジ政策を攻撃する武器に利用している人々と、バラク・オバマ氏が大統領時代に進めたイランとの関係修復を支持した人々が一緒であることは、何らかの偶然だろうか。そのイラン政府は、何百人もの米国人を含め、世界中で多くの人々を殺害し、自国民を虐待してきたのだ。イランが世界最大のテロ支援国家としての役割を果たすための大量の資金をオバマ氏が彼らに提供した際、響き渡る批判の声はどこにあったのだろうか。人権の化身のような人々はどこにいたのだろうか。
サウジは米国と同様に(そして批判を唱える人々とは違って)、イランが世界にもたらす重大な脅威を認識している。ヘンリー・キッシンジャー氏の言葉を借りれば、今日のイランは国家ではなく大義である。イランの目的はイスラム革命をテヘランからダマスカスまで広げ、イスラエルを破壊し、イラン国民を手始めとして服従しない全ての人々を従属させることだ。イランを勢い付かせれば、中東でさらに多くの死者と破壊を生み、地域の核開発競争を引き起こし、貿易ルートが脅かされ、世界中でテロリズムが誘発されるだろう。
ムハンマド・ビン・サルマン氏のサウジ皇太子としての最初の仕事の一つは、イエメンの不安定化につながるイランの影響力を排除することだった。イエメンではイランの支援を受けた武装組織フーシ派が2015年に権力を握った。イランは、シーア派武装組織ヒズボラのような存在をアラビア半島に登場させた。それはつまり、レバノン南部にヒズボラが持つミサイルがイスラエルの脅威となっているのと同様に、政治権力を握った武装勢力が、サウジの人口集中地を人質に取るようなものだ。フーシ派はサウジの領土を占拠し、主要港湾の一つを奪い取った。そしてイランの支援を受け、リヤドの国際空港を攻撃できるよう弾道ミサイルの性能を向上させた。この空港は何万人もの米国人が利用している。一方でイランは、イエメン内戦の外交的解決に本質的関心を全く示していない。
トランプ政権はイエメンが戦争や疾病、飢餓から受ける苦悩を軽減するための方策を多く講じている。われわれはサウジの攻撃の精度を向上させ、民間人の犠牲を最小限にするための取り組みを行っているほか、われわれ自身の寛大な実例を通じて、人道支援を促している。
米国はイエメンに1億3100万ドル(約149億円)の追加食糧支援を提供すると発表できることをうれしく思っている。これにより、過去14カ月での人道支援額は6億9700万ドルに上る。資金は世界食糧計画(WFP)のほか、イエメン国民への食糧提供のために働いているその他の組織に提供される。
米国の取り組みがなければ、イエメンの犠牲者数はずっと多くなっていただろう。サウジが同盟を組む中東諸国はこの戦争において不可欠な存在だが、サウジと中東諸国との対立解消のために本気で間に入ろうとする国はないだろう。イランはイエメンの苦悩軽減に全く関心を持っていない。宗教指導者たちはイランの一般市民のことさえ気にかけていないのだ。サウジはイエメンの苦悩軽減のために何十億ドルもの資金を拠出してきた。対するイランはゼロだ。
イエメンはまた、テロとの戦いでも重要な前線だ。それは共和・民主の各政権にわたって続いてきたことだ。現在「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」として知られる集団が最初に米国人に対して大きな攻撃を行ったのは、2000年10月だった。AQAPの工作員がイエメンのアデン港に停泊中だった米海軍のミサイル駆逐艦「コール」に自爆攻撃を行ったのだ。これにより、水兵17人が死亡、39人が負傷した。
AQAPはこれ以降、米国本土や同盟諸国の国益に対して複数の攻撃を企てている。ナイジェリア人テロリストのウマル・ファルーク・アブドルムタラブが2009年のクリスマスにアムステルダムからデトロイトに向かっていたノースウエスト航空253便を爆破しようとした。15年にはパリにある風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の編集部を襲撃して多数を死亡させた。イスラム国もイエメンでプレゼンスを維持し、そこから米国や米同盟国への攻撃を模索している。
米国とサウジの同盟関係の放棄ないし格下げは、サウジ国内をより良い方向に押し進めることにもつながらないだろう。米国とトランプ大統領が常に支持している自由を保障するためは、まだ多くのやるべきことが残っている。だが、ムハンマド皇太子は同国を改革主義的な方向に動かし、女性が自動車を運転したり、スポーツ大会に出席したりできるようにしたほか、宗教警察の権限を抑制し、穏健なイスラムに戻ることを主張している。
米国はカショギ氏殺害を容認しない。これは米国の価値観と根本的に相反するものであり、私はこのことをサウジの指導者に対して公私にわたり伝えてきた。トランプ大統領は事件に対応して措置を講じた。殺害事件の容疑者であるサウジアラビア人21人には米国への入国禁止、ビザ取り消しの措置が取られた。トランプ政権は11月15日、大統領令に基づいてサウジ当局者17人に対し、「マグニツキー法」の下での制裁措置を適用した。われわれはこの対応策への支援を強化するよう努め、フランスとドイツを含む数カ国がこれに従った。カショギ氏殺害に関して新たな事実が明らかになれば、トランプ政権はさらなる制裁措置を検討する。
米国とサウジの同盟関係を批判する人々は、元国連大使のジーン・カークパトリック氏が1979年に発表し、大きな影響を及ぼした論文「独裁主義とダブルスタンダード」に改めて触れてみるのがいいだろう。同論文はカーター政権が米国の国益に対して友好的な専制君主と、米国に執拗に反対する専制君主との違いを見極めることに失敗した問題について分析している。カーター氏の観念主義的傾向は、米国の安全保障上の利益を見えなくし、このところ使われているフレーズを借りれば、米国を最優先とすることを阻害してしまった。
カークパトリック氏は「リベラル理想主義はマゾヒズムと同一である必要はなく、また、自由や国益の擁護と両立しないものではない」と指摘した。現在の米・サウジ関係に関するトランプ大統領による現実的(そして正しい)取り組みへの批判者に対し、何と時宜を得た注意喚起だろう。
https://jp.wsj.com/articles/SB12063094083892523624104584621680079413104
トランプは大統領に就任して1ヶ月足らずでイエメンに特殊部隊を送りましたが、戦死者を出し反米テロリストの暗殺に失敗しました。
今イエメンが中東の火薬庫であり、米国とイランの代理戦争の場になっています。
直接攻撃をやめた米国の代理がサウジでイランの代理が武装組織フーシ派です。
米国はイランの軍資金を断つためにイラン産原油の輸出を阻もうとしています。
インドや日本の反対で封鎖には時間が必要で、軍資金の続く限り戦闘は続くでしょう^^;
日本はイラン産原に代わって米国産ガスや原油を輸入すれば、対米赤字を減らせます。
インドがイラン産に代えてサウジ産原油やガスを購入する様に出来れば、イランへの経済封鎖が完成します。
ただし、イランはパキスタンを経由してインドまで到達するパイプラインを完成させているので封鎖は簡単では無いのです^^;
中東での物流の流れを変えるのは容易では無いので、しばらく米国は代理戦争をやっているサウジを擁護し続けるでしょう。
支那周辺だけでなく中東も含め米国は物流経路を変えようとしています。
米ソ冷戦が終結してようやく北極海経由の航路も開発されようとしていますが、それによって北海道や千島列島の重要度が増す事になります。
21世紀は中東が面してるインド洋圏と共に北極圏が戦場になるかも知れません。
急速に世界は動いていますw
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