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2018年11月27日16:53

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教誨師・・・

 一昨日の日記に映画の話を書いて、しばらく映画を観ていないと気が付き、
 以前から上映されたら観ようと思っていた映画を思い出しました。
 昨日の午前9時40分からの上映に行こうと思っていましたが、
 寝坊してしまい、洗濯をする必要もあったので、
 午後3時15分からの上映にしました。
 その他、多少、細々とした事もあったため、日記は休みました。

 その映画は、大杉漣が最後に主演した「教誨師」でした。
 大杉漣は、ご存知のように、今年2月21日に急逝しました。
 彼は、主演するとともにプロデュースしていますので、
 精魂込めた映画だったのだろうと思います。
 長く日記を読んで下さっている方は、
 僕がかなり強固な死刑廃止論者であるのをご承知の事と思います。
 死刑制度をどのような観点で捉えた映画なのかも気になり、
 観たいと思った次第です。

 教誨師とは、刑務所や少年院等の矯正施設で、被収容者の宗教上の希望に応じ、
 所属する宗教・宗派の教義に基づいた
 宗教教誨活動(宗教行事、礼拝、面接、講話等)を行う民間の篤志の宗教家です。
 大杉漣が演じる教誨師の佐伯は、教誨師になったばかりのプロテスタントの牧師です。
 映画は、導入部もなく、死刑囚との対話で始まります。
 6人の死刑囚との対話の場面が、繰り返されながら話が進んで行きます。
 どのような罪で死刑を言い渡されたのかの説明もなく、
 全て対話の中で、彼らの犯罪が少しずつ明らかになって行くとともに、
 少しずつ死刑囚も変化して行きます。
 それと同時に、最初は上辺だけだった佐伯の言葉も、
 深みが増して行くように感じられました。

 何度教誨を行っていても、一言も発しなかった鈴木が、
 佐伯の兄が殺人を犯した話をすると、
 突然話をし出し、彼がストーカー殺人を犯した事が分かり、
 被害者の女性と気持ちが通じたと叫び、
 あの世で結婚するのだと言う辺りにストーカーの心理が表れていました。

 野口と言う女性死刑囚は、拘置所から出たら、また美容室を再建すると言っています。
 賑やかで話好きの大阪のおばちゃんと言う感じもしますが、
 死刑を言い渡された事を理解しておらず、自分の空想の中で生きています。
 しかし、突然カッとなる事で、事件がリンチ殺人だった事が分かります。

 文盲で、ホームレスの進藤は、佐伯から字を教わり、洗礼を受けます。
 脳梗塞か何かで倒れ、
 彼が宝物にしていたグラビアアイドルの写真を佐伯に渡しますが、
 その裏に、「あなたがたのうち、だれがわたしをつみにとえるだろうか」と
 書かれているのを最後のシーンで佐伯が読み、
 愕然とする佐伯の表情も良かったと思います。

 気の良いヤクザの吉田は、自分が犯した別の罪を告白し、
 刑務官に言うなと自分で言いながら、言わなかった佐伯に掴みかかろうとします。
 刑の執行を少しでも遅らせようとし、
 刑の執行が多い年末が近づくと、かなりナーバスになります。

 個人商店を営んでいて、経営が上手く行かなくなって家計の苦しい小川は、
 家族思いなのだけれど、家族の面会はありません。
 殺人を犯した経緯も状況も記憶にないと言うので、
 佐伯は再審を勧めようとして小川に逆に止められます。

 何らかの福祉施設で17人の大量殺人を犯した高宮は、佐伯に議論を吹っかけます。
 高宮にほとんど言い負けてしまう佐伯が、
 建前を述べる聖職者の立場を離れて、向かい合った時に、
 高宮に変化が生まれ、彼が執行の宣告を受け、茫然自失となりながらも、
 佐伯にすがりつく姿に、彼の贖罪の気持ちが表れているような感じがしました。
 手錠を掛けられ、目隠しの覆面をされた時に、
 「あれ?」と発する彼の一言はどのような意味があったのでしょうか?

 拘置所の1部屋で、6人の死刑囚と向き合い、話をする場面が大部分の映画です。
 低予算の映画のような印象を受けました。
 しかし、映画の中身は、人間の生き方とは何かを語り掛けるような感じで、
 重い内容でしたが、とても良い映画だと思いました。


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