■保育園給食費、無償化の対象外に 財源確保難しく
(朝日新聞デジタル - 11月09日 05:36)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5368188
義務教育の給食費ですら、最高裁の判例（1964年）では、義務教育の無償の範囲は授業料の無償をさし、その他の諸経費については憲法上の無償の範疇には含まれないとされ、判例変更は起きていないのだから、義務教育でもない幼稚園と保育園が無償化するのは夢のまた夢ってやつでしょう。
だったら真っ先に義務教育の給食費が無償化しないと、話の順序が成り立たない。
最高裁大法廷判決1964（昭和39）年2月26日（民集18巻2号343頁,百選��[第5版]146事件）ですが、これは当時公立小学校2年生の保護者が、教科書代は国が負担すべきと主張して、国に対して教科書代徴収の取消しと、すでに支払った代金の返還を求めた件の裁判でした。
最高裁大法廷は全員一致で保護者の主張を退け、「普通教育の義務制ということが、必然的にそのための子女就学に要する一切の費用を無償としなければならないものと即断することは許されない」としました。
その理由として、「単に普通教育が民主国家の存立、繁栄のため必要であるという国家的要請だけによるものではなくして、それがまた子女の人格の完成の必要欠くべからざるものであるということから、親の本来有している子女を教育すべき責務を完うせしめんとする趣旨に出たものである」ことを挙げました。
義務教育は、国政を担う自立した社会人を育てるという国家側の都合のみで行われているのではなく、親が子を育てるという人類史上脈々と受けつがれてきた行為を国がサポートするという側面があり、本来は親がすべき行為を国側が税金を使って支えるという側面に注目すると、親がみずからの責務を放棄して、すべての費用を国（税金）でまかなってもらおうという発想はおこがましいことになる、ということになるわけです。
そして、憲法26条2項後段を、国の義務教育の提供について有償としないことを定めたものであり、「教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である」と解釈した結果、「憲法の義務教育は無償とするとの規定は、授業料のほかに、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない」としたわけです。
なお、授業料以外の費用の負担については、「国がすべての国民に対しその保護する子女をして普通教育を受けさせることを義務として強制しているのであるから、国が保護者の教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは望ましいことであるが、それは国の財政等の事情を考慮して立法政策の問題として解決すべき事柄であって、憲法の規定するところではない」とし、
親は「子に教育を受けさせろ」と強制されているから、親の負担はなるべく軽い方が良いに越したことはないが、親の負担を税金でどれだけ軽減させるかは、税率や支給額といった専門的・技術的な話だから、裁判ではなく民意・知識の集まる政治で解決すべき問題だ、ということを判決に示しました。
今後もし法的側面で向かうなら、保護者は、学校給食法の憲法違反を主張することとなり、憲法学者の中でも少数だが存在する、「憲法26条2項は、義務教育に必要な経費のすべてを無償とする趣旨である」という主張を行い、給食費を保護者に負担させる学校給食法の規定は憲法26条2項に違反すると主張して、争うことが考えられます。
その主張は、「憲法26条2項は授業料不徴収の意味である」と判断した上記の最高裁大法廷判決と真っ向から衝突し、半世紀以上にわたり変わらなかった最高裁判例の変更をめざすことになります。
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義務教育における給食費の負担(1) 負担者は誰か : よっしんの「とりあえずその他」
http://blog.livedoor.jp/rain_of_tears-xls/archives/52228152.html
この現状に対して、「子を食べさせるのは親だ」、「道徳を学ぶ教育現場に対して、非常に不道徳な行いだ」という倫理を前面に出した批判があるという。
しかし、このような道徳・倫理を持ち出す幼稚な水掛け論に乗るつもりはない。 倫理・道徳はしょせん従来の社会でつちかわれた常識的な判断基準にすぎず、その価値観は絶対的ではない。 価値観は人それぞれであるから、道徳・倫理を持ち出したところで、説得力・感化力に欠け、結論にたどりつけない。
道徳・倫理といった一方的な価値観を押し付ける行為は、むしろ、個人を尊重し多様な価値観を認める憲法の理念（13条・19条・20条・21条など）に反し、ひいては近代立憲主義を否定する行為である。
大人なら、大人のケンカ、法的な議論をしよう。
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