そのうちに、玉は町はずれの百姓の家
の庭へコロコロところがりこんだかと思うと、ピョンとやぶれた障子の穴から、家の中へとびこんでしまいました。
みんなが中へ入ると、百姓がひとり柱にもたれて、大きな口をパックリあけて眠っていました。
玉
はその口の中へピョ−ンと入ってしまいました。
🤨「これこれ、おきんかい
」と、百姓をゆさぶりおこすと、
🤨「おまえ、いま、その大きな口で、なにを食ったんじゃ
」と、聞きました。
「わしは、なにも食っとらん。いまやっとのことで、家へもどってきたとこですわい。ああ、しんど」
🤨「なに?家へもどったところじゃと」
「ヘエ、わしゃ、用がありまして、さっき代官橋
まで行きましたら、どこの人やらしれんが、いやもう恐ろしい人に追いかけられて、にげてにげて、やっといま、家にもどったところですわい」
百姓のことばを聞くと、町の人はひどくおかしくなってきて、みんなでクスクス
と笑いだしました。
「さては和尚さんは、この百姓のたましいを追いかけてござったんじゃ」
和尚さんは、きまりがわるくなって、あわててその家をとびだすと、ショボショボと家へ帰りました。
そして、
「それにしても、百姓のたましい
ってものは、きれいなもんじゃなあ」と、つぶやいたそうな。
ちゃんちゃん【日本昔話】
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