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2018年10月14日21:47

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ドゥーチュィムニー「翁長沖縄県知事死去。沖縄の民主主義をどう守る?」

 沖縄の翁長雄志知事がすい臓がんで亡くなった。
翁長氏は辺野古新基地建設の阻止を最大の公約に掲げ、高い支持率で当選して以降、米海兵隊の普天間基地の辺野古移設を強硬に推し進める日本政府と闘い続けてきた。アメリカ国防総省に対する直訴活動はアメリカでも知られている。
翁長氏死去に対して、ワシントンポストは、知事当選前に翁長知事がワシントンポスト紙(2014年)に語った「沖縄はずっと苦しみ続けてきた。なぜ私たちはさらに苦しまなければならないのか?」「私たちが言いたいのは、この負担を日本全体でシェアしてほしいということ」という言葉も紹介して報道している。

アメリカ国内で、沖縄の基地問題がどう語られているのかを知っている日本人はあまり多くはないだろう。
小学校銃撃事件やトランプ氏関連などと比べて、決してメジャーなニュースとは言えないが、それでもアメリカの新聞は保守系からリベラル系まで、沖縄基地問題を伝え続けてきた。
アメリカ国内でも翁長氏に対する注目は高かった。
2014年の沖縄知事選に際して、ワシントンポスト紙はこの選挙が沖縄県民にとっての民主主義の戦いであることを伝えている。
記事では、2014年の選挙は沖縄史上初めて基地問題が争点となった、沖縄の民意を問う選挙であること、翁長氏は米軍基地反対なのでも、日米同盟反対なのでもなく、そもそもアメリカ好きを公言している保守派である、ということを伝えている。
記事の中で、翁長氏は「そんなに日米同盟が重要だと言うなら、その負担は日本全体で負うべきではないのか。普天間基地について文句を言うと、親米なのか反米なのか反日なのかと問われる。どうやってこんな状態で生きていけばいいのか?」と語っている。
ワシントンポスト紙は保守だが、沖縄基地問題においては日本政府、さらに言うならば本土の日本人に対して批判的だ。

フォーブス紙(2015年)に至っては、翁長氏を日本でもっとも勇気のある人物として賞賛している。
翁長氏以外の誰が「日本政府と米政府、米国防省、右翼的な日本の政治状況、安倍に懐柔された日本のメディアと闘い続けられるだろうか」と、その勇気と行動力を褒めちぎっている。

一方、アメリカ国防総省で運営されている星条旗新聞(Stars and Stripes)は、普天間基地移設問題が起こった契機まで遡って、現状を説明する記事を出した(2018年7月)。
日本人の多くも忘れているであろう、米兵による12歳の少女の誘拐・レイプ事件、それに対するデモ、そして安全面での不安から普天間基地移設が起こったことを説明するとともに、翁長知事が国を相手取った訴訟を起こして移設工事を遅らせてきたこと、滑走路のための埋め立て工事で絶滅危惧種のサンゴを傷つける恐れがあること、それを考慮した新たな工事方法が用いられることなどを詳細に伝えた。

同じく星条旗新聞は、今年2月には、旧ソ連の民主化の立役者であったミハイル・ゴルバチョフ氏が琉球新報に対して、翁長知事と沖縄県の辺野古移設反対運動を支持し、国際紛争は武力(米軍基地)で解決できない、沖縄の自然を守るべきだ、と語ったことなどを紹介している。
アメリカ国防総省運営の新聞なので、中国や北朝鮮の脅威に対抗するために沖縄に基地があることは重要だ、という日本とアメリカの政治家の意見も紹介しているが、沖縄の状況には理解を示している。

アメリカにとってこの問題は「日本国内の問題」である。
アメリカ政府が「辺野古に移設したい」と言ったわけではないし、翁長氏が2015年にアメリカを訪問した際にも国防総省は「日本政府と沖縄県の問題である」という回答をしている。
アメリカ政府にとってもアメリカ軍にとっても、どこに移設するかはあくまで日本側が決めるべきことであり、日本政府が辺野古と決めたから辺野古なのである。
移設先がどこになるかはあくまでも日本国内の問題であり、沖縄県民の民意を無視して辺野古移転を決めたのは日本政府である。
もちろん、沖縄に米軍基地があることで苦しむ人々がいることにアメリカ政府、アメリカ軍、アメリカ人が無関心でいていいわけではない。
だからこそ、アメリカのメディアの中には沖縄県の状況や翁長氏の立場を擁護する論調があるのだ。
翁長氏が亡くなり、次の沖縄知事選挙が9月に行われる。
国防というのは、反対していようが、賛成していようが、全く無関心だろうが、知らぬうちにその恩恵を受けるものである。
それが最も有効な紛争解決手段であるかどうかとは別に、日米同盟が「仮想敵国」に対して抑止力になっていることが事実である以上、日本国内に住んでいる人はみな、意識していなくとも日米同盟と米軍基地の恩恵を受けている。
そして同時に、私たちは皆、沖縄の人々に、日本政府の横暴と日本人の無関心との闘いを強いている。
国土の1%もない場所に7割以上の基地を負担させている現状は、沖縄の人々に対する数の暴力であり、私たち本土の日本人による沖縄の人々に対する暴力である。
日本人として沖縄県、そして基地問題とどう向き合うべきなのか、私たち一人一人が考えなければならない。
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